BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――13年ぶりSG前検@宮島

 

 

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 なんかペラ室が大盛況だなあ。SGの前検といえば、さっそく自分の形にペラを叩き変える選手も少なくないので、いつもペラ室は人の姿で埋まるわけだが、今日はいつも以上に人口密度が高いように思える。スタート練習&タイム測定が始まる前からけっこうな混雑ぶりで、前半組(1班~5班=ドリーム組と登番古いほうから寺田祥まで)が練習&測定を終わったあとには、その前半組が大勢、ペラを叩き始めている。ドリーム戦の共同会見が終わって、ペラ叩きに取りかかろうとした山崎智也が、入口でいきなり立ちすくんだように動きを止めた。ペラを叩くスペースが見当たらないのだ。仕方なく、入口脇のほんの30cmほど空いていたところにしゃがみ込んだが(さすがの体の柔らかさでした)、しかしハンマーが見当たらず、またハンマーがあったとしても大きく振りかぶるのは難しそうだった。というわけで、智也はいったんペラ叩きを断念。その後、何人かが調整を終えるのを見計らって、隅のほうのスペースで調整を始めている。作業の空間を確保するのもなかなか大変なのだ。

 

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 で、服部幸男や馬場貴也など何人かは、えらく強めにペラを叩いていた。思い切りハンマーを振り下ろして、まるっきり叩き変えている様子だ。特に目を惹かれたのは西山貴浩。険しい表情で、ガンガンとペラを叩き続けていた。頃合いとしては、まもなく後半組の練習&測定が始まるというタイミング。水面では試運転の音がブインブインと響いており、装着場にはたった1艇を除いて、ボートはすでになくなっている。そのたった1艇が西山のボート。西山は、着水することもなく、したがって試運転もいっさいする前から、ペラを大幅に叩き変えていたのだ。モーターもらってペラ見たら、「何だこりゃ?」となったのだろう。自分の形とはあまりにかけ離れていたがゆえの、いきなりのペラ調整。

「西山選手、ボートを着水してください」

 やがて、競技本部からのアナウンスがかかった。早く練習&測定の準備を済ませてください、というわけだ。それを聞いて西山はようやく調整の手を止め、モーターにペラを装着して、大急ぎで水面に出ていった。どこまで自分の納得するところまで叩き変えられただろうか。明日は3Rに登場。また朝からペラを叩きまくるのだろう。

 

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 前検らしい光景といえば、整備室で選手が機歴簿を見つめるというもの。これは節中でも見られるものではあるが、何人かが一斉に機歴簿を見ている、というのが前検の光景。引き当てたモーターの成績や整備歴をチェックして、自分の調整の方向性を確かめるわけだ。写真は馬場貴也と深谷知博だが、実は手前のほうにも田中信一郎ら何人かが機歴簿を開いていた。ノブさんは別の動きです。

 

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 また、練習&測定を終えた選手たちで整備室が賑わう、というのも前検らしいもの。ペラ調整やギアケース調整に取り掛かる選手もたくさんいるが、それらを終えた選手たちはモーター格納の作業をしていて、隣り合わせた選手同士が会話を交わしていたりもする。おぉ、松井繁と寺田祥。この組み合わせ、珍しいなあ。テラショーが王者にアドバイスを求めているような雰囲気にも見えたぞ。松井はこの直前まで、整備室隅のテーブルでリードバルブ調整をしていた。僕が確認した範囲で、リードバルブに手をつけていたのは松井だけだった。というわけで、このテーブルは松井が独占状態なのでありました。

 

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 さてさて、明日はドリーム戦。5号艇に深川真二がいることで、誰もが前付けを想定しているだろう。戦う選手も、舟券買う我々も。

「深川に内側をカチャカチャにしてもらいます(笑)」(山崎智也)

「コースはともかく、スローから。ダッシュからは行きません……とか言ってダッシュから行ったりして(笑)」(今村豊)

「コースはいろいろ考えますよ。足の状態次第で」(毒島誠)

 今村さんのジョークは別として(笑)、やはり深川が動くと踏んで、対処をアタマに描いているわけだ。

 ところが深川は「現状のままならダッシュのほうがいい」と会見で語った。伸び型のモーターなのだ。しかも、その伸びがいいわけである。深川の引いた21号機は、数字こそそれほどでもないけれども、宮島の評判機。ストレートの足に秀でているわけである。もちろん、深川はそのうえで自分のスタイルに近づけようと調整をしていくわけだが、それでも伸び優勢なら……ということのようである。深川といえば、昨年グラチャン優勝戦で6号艇6コース、チルト3度で沸かせたわけだが、明日は「3度はもうやりません(笑)」ながらも、カマシで攻めることも考えつつ、ドリームに臨むわけである。「動くときは展示から動きます」とのことなので、ドリーム戦はスタート展示も注目ですぞ。

 

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 あ、ドリーム会見では毒島の雰囲気がよかったですね。先輩の智也に「お前の足、いいね!」と言われたらしい。なにしろ智也の引いた15号機は数字も高い評判機。その智也に評価されたのだから、毒島も手応えを感じているだろう。プロペラがまっさらな新ペラだそうで、明日はそのあたりの調整にも追われることになりそうだが、手の付けようもないほど強い毒島誠、になりそうな雰囲気も感じたけど、果たして。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)