BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

宮島グラチャンTOPICS 初日

峰リュー、今度こそ!!

 

 

 

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『SGにもっとも近い男』峰竜太が、悲願の初戴冠へ大きく前進だ。なんて、初日の段階でこんなことを書いたら鬼に笑われそうだが、今日のレースっぷりはV候補筆頭と呼ぶに相応しいものだった。まずはオープニングの1Rでドカーーーーンッ!!4カドまくりの大花火。起こしからスリットまでの行き足がスムースかつ強力で、そこから伸びが売り切れることがない。昨日の記事で「全部が強めのバランス型」と書いたが、まさにその通りのゴキゲンパワーだ。

 後半の8Rはさらに遠い6号艇6コース。が、絶好調モードに突入した峰リューに不可能の文字はない。バチッとゼロ台のスタートを決め、伸びなりのまくり差しハンドルを入れると、あれよあれよと逃げる仲口を捉えきってしまった。ターン自体も絶品だったが、ここで特筆すべきはあのバック直線の鬼足だな。本人も「仲口さんまでは届かないと思ってました」という位置から、2マークの手前で舳先を並べてしまったのである。あの直線のパワーは、前検の見立て以上の凄みを感じさせた。この足を持ってして峰のターン力を掛け合わせれば、もはや核融合レベルの破壊力と言っていいだろう。

 

 

 

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 4号艇・6号艇でのピンピン連勝発進。枠なり主体の現代SGにあって、この意味はとてつもなくでかい。残る枠は1・2・3・5号艇。仮に艇番通りの着順だったとしても、予選成績8・00というトップ争いレベルの数値に到達するのだ。もちろん、こんな確変モードから何度も落とし穴に嵌った峰ではあるのだが、今節はこれまでよりも弱点が少ないような気がするな。パワー噴き過ぎのFに注意しつつ落ち着いて自分らしいレースに徹すれば、ごくごく自然に最終日最終レースの白カポックが見えてくるだろう。

 

地元勢、奮闘。

 

 

 

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 さすが、待ちに待った13年ぶりの大舞台! 初日から地元広島4人衆のパッツンパッツンの気合が宮島水面に響き渡った。口火を切った先鋒は、2R1号艇の前本泰和。前検のスタート練習から本番さながらの全速Sをバチバチ決めていた前本は、今日の本番でもしっかり踏み込んで豪快に逃げきった。昨日も書いたが、今日の前本からも炎のオーラみたいなメラメラしたものを感じたなぁ。なんか、全身から噴き出してるんですって。私の前本に対するイメージは「いつもは超クールで、時折ブルファイターに変身」みたいな感じなのだが、今節は120%後者の前本なのだと思う。おそらく、今後は前付けや突進気味の猛アタックなども見せてくれるだろう。いつもの冷静沈着な捌き屋と思っちゃいけませんぜ。

 

 

 

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 広島勢の次鋒は、開会式で涙混じりに素晴らしい選手宣誓を謳いあげた山口剛だ。3Rで6コースを選択したツヨポンは、全速コンマ12のトップS。ただ、ダッシュ勢はほぼ横並びで、自力で攻めきる隊形ではない。すかさず最アウト差しを選択したものの、さすがに1マークは遠くバックの入り口では5、6番手を強いられた。

 いきなり大敗なのか、ツヨポン??

 と思いきや、ここからの追い上げが凄かった。切り返し、強ツケマイ、全速ぶん回しなどあの手この手の猛攻を駆使して、貴重な3着をゲット。選手紹介で「すべての思いをぶつけて真剣勝負します!」と宣言したとおりのレースぶりだった。まあ、私の勝手な本音を言わせてもらえば、待機行動から「宮島の山口剛、ここにあり!」の気迫を見たかったのだが、おそらく「アウトからでも十分に勝ち負けできる」と踏んでの6コース勝負だったのだろう。6号艇での3着。地元勢の若きムードメーカーとして、上々の立ち回りを見せたツヨポンだった。

 

 

 

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 圧巻は、続く4Rに登場した辻栄蔵だ。2コース激差し。インの平石和男を回してから、1マークを掠めるような無駄のないターンであっという間に突き抜けた。回りきった瞬間に、「舳先が完全に届いてる」と一目でわかる完勝劇。何百回も何千回も周回した水面だからこその、芸術的な差しハンドルだった。

 で、まったく同じように「さすが、地元水面」と唸らせたのが後半の9Rだ。今度は3コースからのまくり差し。2コース石川真二がやや凹んでいる利もあったが、空から獲物に襲い掛かる大鷲のような的確かつスピーディなハンドルで、一撃の割り差しを突き刺した。艇界屈指の捌きのエキスパートが、地元水面ではどれだけ芸術的な捌きをやらかすのか。13年ぶりの桧舞台で、栄蔵は全国のファンにその名人芸を余すところなく魅せつけた。前出、峰リューと並ぶピンピン発進。もちろん、V戦線の有力候補だ。

 以上、この地元選手3人ののべ成績は①①①③。申し分のないロケットスタートである。ただひとり……大将と呼ぶべき市川哲也だけが、道中で見せ場すら作れない6着大敗を喫した。開会式で「優勝信じて来ました。優勝、誓いますっ!!」と高らかにV宣言した市川だったが、いきなり苦境に立たされたわけだ(市川の予選は1号艇のない5走予定)。直前の江戸川周年でも5日目の敗者戦でFを切るなど、リズムそのものがやや狂っている印象は否めないな。今日もコンマ00、実況が悲鳴をあげるほどのキワまで踏み込んで、しかも6着……。

 

 

 

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 だがしかし、この舞台を誰よりも待ち焦がれていたであろう市川は、間違いなく明日も死ぬ気で攻める。これは推測や想像ではなく、確定事項だ。「死ぬ気」というのも、誇張ではない。市川哲也というレーサーの勝負根性や情の深さを思えば、行かないわけがないのだ。その思いが結果につながるかどうかはともかく、読者諸兄も46歳にして地元SGに初参戦する男(最初で最後になる可能性も否めない)の覚悟と決意に満ちたレースぶりを見守ってもらいたい。もちろん、今日のコンマ00を「首の皮一枚の僥倖、運よく生き残った」と前向きに捉えれば、リズム的にも逆転の予選突破やミラクルVもありえると思う。明日の2R3号艇は必見ですぞっ!!(photos/シギー中尾、text/畠山)