BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――闘志あふるる

 

 

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 1R、山口剛が快勝! 1R1号艇は、いわば“地元番組”だが、石川真二が4号艇にいたりして、決して楽なカードではない。実際、石川が前付けに動いてきたが、山口はもちろんインを死守。そして、トップスタートを決めて、逃げ切った。これで広島勢は4勝目。気合が結果にもあらわれている。

 そんな山口に、今村がおかしそうに声をかけた。

「ちょっとドキドキしただろぉ~?」

 ヘルメットの奥で、山口の目が細くなる。

「(スタート正常の)ランプつけーーーーっ、って(笑)」

 なにしろ、スリットで明らかに山口の舳先は突出して前にいたのだ。もしかして……?という気分になるでしょうなあ。スタートタイミング、コンマ04! まさに気合のスタート! 切ってたらもちろん笑えるはずがなかったので、この苦笑混じりの笑みは好リズムを約束するものと考えたい。

 

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 2Rの市川哲也は3着。結果としては、満足し切れないものだっただろう。市川については、展示から戻ってきたときの表情が恐ろしいほどに気合パンパンだったなあ。ミルキーフェイスと呼ばれてきた市川が、ほとんど鬼の形相。気持ちの入りっぷりが一目でわかるものだった。レース後も、やはり眉間にシワは寄っていて、納得のいかない表情ではあった。ここまで、広島勢で勝ち星がないのは市川だけ。早いうちに、市川のミルキースマイルも見たいぞ。

 

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 たまたまそういう選手を目にした、ということかもしれないが、厳しいというか、険しいというか、鋭いというか、凛々しいというか、そんな表情の選手を今朝は多く見かけたように思う。たとえば、石渡鉄兵。1Rで4着に敗れた後だ。石渡の人柄は至極温厚、穏やか。話しかければ丁寧に言葉を繰り出し、物腰も柔らかい(弟子の作間章によれば、酔っ払うと饒舌になるそうです・笑)。だが、今日の石渡は顔に力が入っているかと思うほどに、カタい表情を見せていた。たとえば昨年のチャレンジカップなど、レース前に気合がこもる石渡鉄兵というのは何度も目にしているが、レース後にここまで目つきが厳しくなっている姿はあまり記憶にない。5Rに2走目を控え、時間があまり残されていないということもあったに違いないが、それだけに2走目に懸ける強い思いを見せられたような気がするのだ。

 

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 菊地孝平もまた、僕が勝手に“菊地モード”と呼んでいる状態に突入していた。ようするに、脳内コンピュータがフル稼働している状態で、1点を見据え、周りが目に入っていないかのように思索にふけった表情だ。調整の方向性なのか、レースでの戦略なのか、スタートタイミングの調整なのか、そのすべてなのか、そういったものがIQがずば抜けている菊地の脳内で激しくうごめいている。陽気で優しい菊地孝平だが、こうなったらもう、視線を向けるのさえ申し訳ないことのように思えてくるものだ。

 ただ、こうなったときの菊地って、機力がいまひとつの時が多いような気もする。そうでなければ勝ち上がりの大一番だが、思うように相棒が動いてくれないからその修正を考え込んでいる、というような場合がよくあるように思えるのだ。そして、ドリーム戦の足色を見ていると、今回はそんなパターンではないかと推察する。スーパー菊地コンピュータが正解を出すのは果たしていつだろうか。

 

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 で、そんな表情をたくさん見ただけに、峰竜太&深川真二が余裕たっぷりなのがまた目立つわけである。初日連勝とドリーム快勝。グラチャン戦線は、まずは佐賀コンビがリードした。足色も文句なしだろう。当然、気分もいいわけで、峰の落ち着いたマイペースな動きや、深川の男っぽさ満点の笑顔は、実に好もしいものに思えてくるわけである。あ、あと松井繁と半坊主の西山貴浩が向き合ってペラを叩いている光景も見かけて、なんか癒されました。二人ともめちゃ真剣な表情だったけど、西山の頭と王者のギャップが、ね(笑)。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)