BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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三国オーシャンTOPICS 初日

差し差し天国!

 

 今日の決まり手を記しておこう。

★逃げ4本

★差し5本

★まくり差し2本

★抜き1本

 まくり差しも含めて、「差し」決着が7本。8Rの「抜き」にしても、インの川崎智幸が流れたところを田中信一郎、辻栄蔵がズブズブに差し抜けてのもの。実質的に、差し8本VS逃げ4本という1日だったわけだ。インがすこぶる強いSGでは珍しい現象だったな。配当的にも、6R今村豊&7R市川哲也が2コースから差し抜けて200倍前後の穴が飛び出している。

 

 

 

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 最大の要因は、もちろん強めの追い風だろう。インから握って回った選手が風に煽られて流れ、その内水域を外の選手たちが差し抜ける。または、センターからまくった選手が流れ、マークしていた選手がズッポリ差し抜ける。「追い風水面のセオリー通り」ではあるのだが、それにしても驚くほどの差し差し水面だった。それは、なぜか。

 ここからは推測。昨日の前検をチェックしているとき、隣席にいた元SGレーサーからこんな体験談を聞いた。

「三国水面は広いんだ。特にバック水面が広いから、インコースはぶん回したもの勝ち。ターンマークを選手に見立てて、強ツケマイを食らわすような旋回をすれば、差されないしまくられない。落として回ると、途端にまくられるんだわ。外の選手も思いきって握るから」

 

 

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 なるほど。と感心して聞いていたのだが、おそらく今日のイン選手たちにも「三国の1マークは、握って回れば勝てる」という経験則があったのではないか。実際、一般戦では風の有る無し以前に、ターンスピードの違いで勝ち続けてきたことだろう。が、今節は17年ぶりのSGなのである。いざ三国のセオリー通りに握って回ってみたらば、強い追い風&強敵たちの差しハンドルに出し抜かれた。あれよあれよと“8本”のズブ差しが決まった。そんな1日だったと勝手に想像するのだが、どうだろうか。

 まあ、私がこんな推測をしたのは11Rあたりだったか。「もっと早く気づけよ、俺」ってなもんだが、明日以降も強い追い風が吹いたらイン選手はどう対応するか。それを注意深く観察するぞ、という心構えができただけでも善しとしよう。で、逆に強い向かい風が吹いたら……全速マイのイン逃げが決まりやすくなるのかも知れないな。うん、今節はいつも以上に風のご機嫌を伺うことにしよう。

 

90期コンビ、躍動!

 

 石野&拡郎。この90期コンビが初日の三国水面をジャックした。まずは石野貴之だな。やはり33号機は只者ではなかった。前半3Rはスタートでかなり後手を踏んだ。3コースからコンマ27。惨敗もありえる凹み方だったが、スリットを超えてから伸びる伸びる伸びる!! あっという間に先団に取り付き、赤岩善生のまくりに連動する形で俊敏なマーク差しを決めた。追い風の助けもあったとは言え、相応のパワーがなければ不可能なマーク差しだ。

 

 

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 後半9Rのイン逃げも、強烈なパワーを感じさせた。このレースのスタートもコンマ21。センター勢が09、14だったから、これまた絶対絶命のスリット隊形だ。おそらく、伸びが凄まじすぎて起こしのタイミングを捕まえきれないのだろう。一気に攻められるか、と思いきや、そこからの伸び返しのスゴイこと。グイグイ伸びて窮屈な態勢ながらも先マイを果たした。

 だがしかし、今日の三国は先マイ=イン逃げではない。ご他聞に漏れず、強い追い風を浴びた石野の艇は流れた。そこに、5コース茅原悠紀のまくり差しが襲い掛かる。今日は、ほぼその差しが届く水面だ。しかも、相手は賞金王・茅原だ。

 やはり、石野も差されたか!!??

 

 

 

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 バック中間ではそう思ったものだが……そんな憶測を嘲笑うかのように、石野33号機は豪快に伸びた。差されるどころか逆に突き放し、2マークを回ってひとり旅状態に持ち込んだ。33号機が伸びだけでなく、レース足も半端ないことを実証してみせた。今日の連勝を見て、多くのファンが「優勝は石野だな」と思ったことだろう。私も異存はない。課題は噴きすぎるが故のスタート勘、それだけかも知れないな。明日は長田頼宗との直接対決=節イチ決定戦(!?)が実に楽しみだ。

 続いて、拡郎である。ドリーム戦の3号艇だった吉田拡郎は、地元・今垣光太郎の前付けに抵抗しつつ2コースを取りきった。今日の風を考えれば、これが最善手だったのだろう。イン太田和美が握って回ったところを、ズバッと差しきった。太田の舳先がやや浮いたのも幸いしたが、一気に舳先を貫いた伸び足は見るべきものがあった。石野が33号機なら、拡郎は11号機。三国が誇る「ゾロ目コンビ」は、やはりトップ級だった。

 

 

 

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 何度か書いてきたが、やまと学校時代の石野は超の付くエリートで、逆に拡郎は転覆やフライングなどで毎晩のように教官室に呼ばれていた。そんな好対照のふたりが優勝戦の1、2号艇になったりしたら……書くことが尽きないだろうなぁ。とりあえず初日を終えて1位・拡郎、2位・石野。このまま突っ走っても不思議のないリズム&パワーではあるな。(photos/シギー中尾、text/畠山)