BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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三国オーシャンTOPICS4日目

 

THE勝負駆け①予選トップ争い

黄金のラスボス、撃破!

 

 他の選手、他のレースのことを書く必要はないだろう。10Rの石野貴之。それだけでいい。予選トップを驀進している石野は、このレースで3着以内なら後のレースを待たずにランキング1位が確定。そんな条件だった。5号艇とは言え、33号機の凄まじいパワーを考えれば高いハードルではない。

 

 

 

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 しかも、昨日から石野33号機には“ピット離れ”という味方も付いた。初日からあれだけ噴いていて、どこをどうすればさらなるオプションが付くものか。今日もファンファーレとともに、石野の艇だけが勢いよく飛び出した。警戒していた須藤博倫、三井所尊春らが追いすがったが、ピシャリと手で払い落とすようにして3コースを奪った。

 そして……我々はまた今日も目撃してしまう。衝撃のパワーを。スリットはイン茅原悠紀が断トツのコンマ07。もちろん、石野を意識しての踏み込みだろう。2コースの森高一真はコンマ12。②着条件とあって、これもしっかり行った(起こしからフルッ被り!)。そして、3コース石野はコンマ15とやや後手を踏んでのスタートだった。

 

 

 

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そこからだ。全速の森高をモノともせず、石野の艇だけが伸びる伸びる伸びる。1マークの手前でハンドルを入れるときには、森高より完全に1艇身以上も出切っていた。普通、3コースのまくり差しはツケマイ気味に攻めるとしたものだが、石野のそれは「ハコまくり差し」だった。ありえない伸び足の差。

 そして、茅原が残した引き波を超える。超えた、と思った瞬間には舳先が突き出していた。そのまま半艇身、1艇身……1周2マークの手前で、茅原を2艇身は突き放していただろう。さすがのツケマイ王子・茅原も、なす術なく置き去りにされた。勝ちタイムの1分47秒3も出色。まさに、新型モーターの中に1機だけ旧型が参加したような勝ちっぷりだった。2日目は私の前検横綱・長田頼宗、3日目はドリーム圧勝の吉田拡郎、そして今日は黄金メットの茅原……各ダンジョンのラスボスを一撃で殴り倒し、福井・丸岡城の城門の前に立った。そんなゲーム的な感覚すら漂う石野の予選道中だったな。

 

 

 

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 では、最終関門の本丸にいる最強のラスボスは誰か。そちらはまだまだ予断を許さないが、明日の準優で1号艇がすべて勝てば……赤いカポックを羽織った超獣が“最終兵器”とともに襲い掛かるような気がしてならない。

 

THE勝負駆け②ボーダー争い

嗚呼、私のツヨポ……><

 

 昨夜、福井駅前の『弥吉』で呑みつつ、大好物のツヨポンの話をしていたときのこと。黒須田が少し申し訳なさそうな顔で言った。

「あの……いつも山口剛のことをツヨポンツヨポンって平気で言ってるし書いてますけど……畠山さん以外、誰一人として“ツヨポン”なんて呼んでませんよ。いや、別にいいんですけど、別にいいんですけどね、でも、いくらそう呼んでも、おそらく定着しないんじゃないかなぁ」

 ショックもショック、大ショックだった。私はツヨポンというニックネームを流行らせようとして使ってきたわけではない。それどころか、すでに全国津々浦々で山口剛=ツヨポンが定着していると信じ込んでいた。松井繁=王者と同じくらい浸透しているものだと……思い込みと言うのは恐ろしい。きっとこの読者の中にも、私が書くたびに「ツヨポンって誰??」って思った方もいるだろう。最近は本名を書かずに「ツヨポン」だけで済ませることもままあるから(笑)。読者の皆様には多大な……なんて、謝りませんよ。黒須田の冷たい視線を浴びながらでも、使い続けてやる。そして、松井繁=王者に負けないくらい全国津々浦々のボートファンに浸透させてやる!!

 

 

 

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 そんなどうでもいいことを考えつつ、勝負駆けのツヨポンを応援していた3R……今節もまた、やらかしてしまった。1号艇&勝負駆け&ダービー勝負駆けの気合が入りすぎてのドカーーンはみ出し。“非常識”の一歩手前の+コンマ04だったのがせめてもの救いだが、ツヨポンの三国オーシャンV戦線はあっけなく幕を閉じた。おそらく、我慢に我慢を重ねた先の宮島グラチャンで、いろんなものを内に溜め込んでいたのかも知れない。どこかで発散したい、はっちゃけたい、弾けたい、爆発したい、そんな思いがこの勝負駆けに反映されて大暴発したのではないか。らしいと言えばらしいのだが、私の今節の楽しみがひとつ減ってしまった。まあ、F1本程度で言う必要もないのだろうが、明日からまた気持ちを入れ替えて頑張ってもらいたい。そして、ダービー勝負駆けが残っているからといって、2本目のドカーーンだけはやめなさいよ、ツヨポン!!!

 

 

 

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 一方、成功組で絶賛したいのは埼玉のホープ中田竜太だな。SG水神祭も含めて節間2勝、勝負駆けの今日も大崩れすることなく3・4着で準優4号艇のチケットをゲットした。さほどパワーがあるとは思えぬエンジン(2連率27%はむしろワースト級だ)で、よくぞここまで辿り着いたものだ。準優は百戦錬磨のオッサンレーサーたちに揉まれに揉まれまくるだろうが、そこで学ぶことは一般戦の100戦分にも相当することだろう。勝てとは言わない(今節、竜太の出るレースはアタマ固定と決めているので、もちろん勝ってほしいけど)。スタートからゴールまで悔いのないレースをすべく、今までに学んだすべてのものを出し切ってほしい。そして、あわよくばあさっての最終レースへ……そこで学ぶものは、一般戦の300戦分にも匹敵すると私は思う。頑張れ、竜太!(photos/シギー中尾、text/畠山)