BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優進出戦ダイジェスト

パワー差し!

 

8R 並び順

①山川美由紀(香川)14

②松本晶恵(群馬) 17

④谷川里江(愛知) 51

③三浦永理(静岡) 10

⑥平田さやか(東京)19

⑤垣内清美(三重) 22

 

 

 

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 松本63号機のパワーをまざまざと魅せつけた一戦だった。進入は三浦と垣内がズコッと遅れて1243/65の変則隊形。で、スタート展示では4カドだった谷川が、スロー起こしのタイミングを逸してコンマ51のドカ遅れ。勇躍、トップSの三浦が外から襲い掛かる。スリットでは「まくり一撃か!?」という勢いだったが、そこからの松本の伸び返しが凄まじい。瞬く間に三浦に追いつき追い越し、完全にブロック態勢を築いた。そして、イン山川を回しての差しハンドル。舳先がわずかに入り、半分入り、並び、バック中間で半艇身ほど突き抜けた。そこからの伸びは山川と同じだったが、ターンの出口からの行き足=レース足が違いすぎた。昨日までの「オール4」みたいな足から、今日はこのレース足が5に昇格していたと思う。今後も内寄りで戦うとするなら、ここの部分のパワーアップは強力な武器になるだろう。

 

 

 

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2着・山川はやはり威張れる足ではない。伸びは水準レベルも、回り足、レース足が中堅と見た。「2号艇で2着条件」の明日は、どんな戦略を抱いて調整するか。差しでは厳しいと見れば、さらなる伸びを求める可能性もある。レース全体を左右する戦略だけに、明日の気配に注目したい。

 3着・三浦の足はピット離れ以外は悪くはないのだが……こじんまりとまとまっている気がしてならない。「オール3・5」みたいな。4号艇の明日は、ピット離れを立て直しつつ更なるパワーアップが必要だろう。忙しい1日になりそうだ。

 

 

 

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 この三浦より、はるかに目を引いたのが谷川の追い上げパワーだった。致命的なドカ遅れからターンマークごとに力強く差を詰め、最後は三浦を1艇身差まで追い詰めた。松本同様、ピカピカに光っていた。明日は4号艇・三浦、5号艇・谷川なのだが、もしも三浦がピット離れで遅れたら……三浦をシャットアウトして4カドを取りきるだろう。そんなことになったら、相当に怖い存在とお伝えしておく。

 

53号機の脅威

 

9R

①細川裕子(愛知)07

②中里優子(埼玉)05

③寺田千恵(岡山)08

④山下友貴(静岡)08

⑤池田紫乃(長崎)04

⑥茶谷 桜(滋賀)01

 

 

 

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 8Rに続き、こちらも「パワーのレース」だった。全員がゼロ台まで踏み込む灼熱のスリット。まずはイン細川が1マークを先制したのだが、このインモンキーは明らかに握りすぎた。気合が入りすぎたか、アウトから攻める茶谷が視野に入ったか。とにかく握りすぎて真横に流れた。こうなれば、中里46号機の差しが入らないわけがない。バック直線であっという間に突き抜けた。

 

 

 

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 が、私が言う「パワーのレース」はこの1マークではない。2マークだ。格上の寺田がソツなく回って2着を決めたか、と思った瞬間、バックで5番手だった細川が凄まじい全速差しでテラッチの内に飛び込んだ。その引き波を超えるパワーも半端なかったし、テラッチを捉えきるまでの行き足も尋常じゃなかった。逆に言えばテラッチのレース足がかなり劣勢でもあったわけで、この大逆転劇は「出ているエンジンと出ていないエンジンの差」というタイトルを付けて教科書に載せたいくらい、実にわかりやすいパワー勝負だった。

 今節、抜群レベルのエンジンが何機かあって甲乙つけ難いのだが、こと破壊力という点では細川53号機が抜けている気がする。ボートボーイ誌の8月号でこの53号機について書いた文面を抜粋しておこう。

 

 それから53号機も軽視禁物だ。京極賞で赤岩善生が行き足を大幅にアップさせ、続く西原明生が11戦7勝で圧勝V。「赤岩が育てたエンジンは必ず噴く」というセオリーは、ここでも証明されている。行き足~伸びが女子レーサーの生命線だけに、この53号機をゲットした選手も徹底マークが必要だろう。

 

 

 

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 まあ、自慢したくて抜粋したのだが(笑)、5月の赤岩あたりからすでにその予兆はあったわけだ。明日の細川は2号艇。5号艇の日高を入れての3コースまくりか、ブロックしてのジカまくりか。元々、伸びるエンジンを引いたときは獰猛に攻める選手だけに、明日の細川は「まくり想定」から予想を組み立ててみたい。

 1着・中里46号機は今日の差しをもってパワー云々は控えたいが、足合わせやスタート特訓を見る限り、明らかに昨日までより行き足~伸びがアップしている。6月の時点で私が惚れ込んだ46号機にかなり近づいてきた、とお伝えしておく。

 

女のガチンコ決戦

 

10R

①魚谷香織(福岡)23

②平山智加(香川)15

③日高逸子(福岡)22

④川野芽唯(福岡)09

⑤平高奈菜(香川)06

⑥水口由紀(滋賀)09

 

 

 

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 昨晩から「明日の10Rが今節でいちばんの激闘になるのではないか」と思っていたのだが、その期待どおり、いや、それを上回るほどの激闘だった(私的回顧として詳しく書きたいレースだったが、今日はパワーのことなど、他に書くべきことが多すぎるんです)。まず、日高の3カド!! 昨日は「どやさどやさ」の前付け攻勢、でもって今日は一転してイケイケの3カド攻撃。「女・田村隆信」?? いえいえ、年齢からして田村を「男・日高逸子」と呼ぶべきでしょ(笑)。とにかく、礼儀正しい女子戦の待機行動にあって、逸子ママだけが「嫌われてナンボのもんじゃい」みたいな昭和の競艇に徹している。今日の3カドはS勘が掴めず不発に終わったが、己が勝つために手段を選ばないその勝負根性に拍手を贈りたい。

 

 

 

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 で、スリットで日高の3カド攻撃が不発に終わったと思いきや、1マークでは平山がド派手な攻撃を繰り出した。力任せのジカまくり。昨日の酒席で、黒須田が「2コースの智加ちゃん、最近はまくりです!」と嬉しそうに話していたが、まさにその通りだった。もちろん、イン魚谷は抵抗したわけだが、その激しい局地戦に攻めっ気200%の川野も特攻隊のように突っ込んできたからたまらない。内水域はガラ開きとなり、その広~い間隙にトップSの平高が豪快に舳先を突き刺した。まさに一撃決着。このレースは8、9Rとは打って変わって「展開のレース」であり、正味のパワー比較ができにくいレースだった。今日のところは、今節最高にして最強の「女の戦い」だったということを強調しておきたい。

 

39号機にまつわる逡巡

 

11R 並び順

①香川素子(滋賀) 13

②大瀧明日香(愛知)13

③西村 歩(大阪) 09

⑤竹井奈美(福岡) 09

⑥長嶋万記(静岡) 09

④滝川真由子(長崎)06

 

 

 

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 3連続で1号艇が敗れ去ったが、このレースだけは安泰だった。予選トップ香川、貫禄の逃げ。3コースからまくった西村を牽制気味に握って応戦し、それでいながら小回りで差した大瀧を寄せ付けなかった。今日の4つのレースで「強い」と表現するべきは、この香川のイン戦だろう。成績も11311という、三国オーシャンの石野貴之レベルだし。

 ただ、私はいまだに香川39号機のパワーを高く評価できないでいる。少なくとも先の石野33号機の怪物ぶりには遠く及ばないだろう。が、今日のレースは非の打ち所がないほど強かったわけで、「強くない」と言い切る要素はなにひとつない。つまりは「戦前からあまり39号機を評価していなかった」そして「前検でも目に留まらなかった」ことによる私のヒガミというか、歪んだ先入観なのかも知れない。そのあたりの線引き(正味のパワー&私のヒガミ根性?)を明確にすることが、明日からの私のもっとも重要なミッションだと肝に銘じたい。現状、優勝にもっとも近い選手&エンジンなのだから。

 

 

 

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 あ、要注意は竹井のピット離れだな。今日は滝川のバナレが悪いように見えたが、実は竹井のそれが鋭くもあった。足はどんどんアップしているだけに、ピットアウトでギユーーンなんてことになったら、10万級の穴を演出するかも??(photos/シギー中尾、text/畠山)