BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖ダービーTOPICS 3日目

独断パワー評価

 

 シリーズの折り返し地点で、独断のパワー診断を記しておきましょう。とはいえ、大方の人たちの見立てとほとんど同じでしょうね。今節は①下馬評の高いエンジンがそのまま強い、②パワーがそのまま成績に直結している、からです。

 

SS級(節イチ)

★★★原田篤志=25号機

 

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何節か前の転覆や直前の新ペラ交換もなんのその、やっぱりコレが不動のエースだった。とにかく行き足が強烈で、今日のイン戦での伸び返しといったら、もう。この図抜けたストレート系に、出足・回り足も水準以上とくれば欠点が見当たらない。明日の5・6号艇をこの強力な相棒とともにどう乗り切るか。ただ、シャカリキに予選トップを狙わずとも、この足なら優勝戦の2~4号艇でも十分に勝ち負けできる。むしろ、「準優・優勝戦ともに1号艇」という極限状況よりもV確率は高まるかも??

 

S級(抜群)

★★守田俊介=19号機

 

 

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 この評価は前検から一貫して変わらないし、ボート変更があってもしっかり噴いている。こちらも自慢は行き足で、スローからスリット付近でスーーッと出て行く。さらに出足、回り足も上々で、俊介が常に追求する乗り心地もよさげに見える。今日、田中信一郎との二度目の直接対決でも先着。コースの利があったので「俊介が上」と断言はしないが、道中で徐々に突き放した感はあった。篤志の爆発的な行き足よりやや劣る分だけ節二の評価、という感じ。篤志ほどの破壊力はないため、できるだけ有利な枠番をゲットしたいパワーでもある。

 

★★田中信一郎=7号機

 

 

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 これも前検の見立てどおり。これまた行き足が強力で、スリットから余裕をもって展開を突ける器用さと安定感がある。今日も外枠の試練を2・3着と危なげなくまとめて見せた。ただ今日の気配でちょっと気になったのは、ダッシュのときの伸びが昨日までより一息に見えたこと、俊介からちょっとずつ離されたこと、この2点か。前者のダッシュについては、おそらく優勝戦までスロー水域なのでさほど気にする必要はなさそうだ。後者については、回り足で俊介にやられた感があった。明日も2号艇だし、その後も2号艇あたりがありえるだけに、この回り足を煮詰めたいところだろう。

 

A級(上位)

★上平真二=38号機

 

 

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 昨日、2コースからまくって飛ばされ6着というのが痛いが、パワー自体は素晴らしい。上記3人もそうだが、これまた行き足~伸びが強力。今節は、この部分の足が強い選手が上位着を荒稼ぎしている印象がある。現状、他の部分の足もひっくるめると、TOP3にはやや劣ると見ている。準優以降でも活躍するには、もうひと足ほど上積みがほしいところだ。

 

★吉川元浩=34号機

 

 

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 予選20位と圏外ではあるが、不気味なほどの力強さを感じる。これは行き足というより全部の足が強めのバランス型か。練習で見るより実戦足が強い感じで、しかも日に日にパワーアップしていると思う。何か整備方法に特別なスパイスがあるのかもしれない。明日の1号艇は強敵が揃ったが、このパワーを生かしきれば逃げきり=予選突破はさほど難しくないだろう。

 

★山田雄太=31号機

 

 

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 前検ではノーマークだったが、実戦を見て唸らされた。黒須田情報によると「昨日、ピットの選手間で『周年で噴いていたミスター今村さんのエンジンを誰が引いたか』が話題になり、それが雄太だとわかった瞬間、全員が『なるほど~』と納得していた」とのこと。私の見立てでは、さほど行き足は目立たず、ターン回りというかサイドの掛かりが強烈で「切れ味が鋭い」という印象だな。いわゆる乗り心地もよくて、思ったところに舳先が向くのだろう。自力で攻めきるというより、わずかな展開の利があればそこをズバッと突き抜けるようなパワーだと思う。

 

 以上の6人6機が私なりのベスト6。以下、ランク別に他の選手も記しておく。

 

B(中堅上位)

松村敏、岡崎恭裕、石野貴之、土屋智則、笠原亮、坪井康晴、中岡正彦、平田忠則、茅原悠紀、吉田拡郎、松井繁(伸びA)、太田和美、川北浩貴、白石健、角谷健吾、原田幸哉

 

C(中堅~中堅下位)

今村暢孝、仲口博崇、今垣光太郎、井口佳典、菊地孝平、倉谷和信、池田浩二、今坂勝広、山崎智也、三井所尊春、瓜生正義(伸びB)、白井英治、赤岩善生、吉田弘文、桐生順平、中島孝平、篠崎元志、石田政吾、峰竜太、山田哲也(伸びB)、深川真二、坂口周

 

D(下位)

森永淳、今村豊、前本泰和、赤坂俊輔、稲田浩二

 

王者の季節

 

 さてさて、こんな感じで今節はトップ6を中心に上位が高いレベルで拮抗しているため、予選トップ争い=準優~優勝戦の枠番争いがかなり重要なファクターになりそうだ。とりわけ、トップ6以外の面々は是が非でも好枠をゲットしたいところ。で、予選3日目を終えてトップに立ったのは……やはりと言うべきか、王者・松井繁だった。初日は2コース差し&4カドまくり、2日目はインから山田雄太のまくり差しを浴びつつ2着、そして今日はあっと驚く5コース一撃まくり!!

 1号艇だけ取りこぼしたのはやや皮肉ではあるが、昨日のちょっと怪しい流れをドカーーンの大まくりで蹴散らしてしまった。私のパワー評価はBで、伸びだけがAレベルだと思っている。全体的にはトップ6の次位候補であり、松井自身も勝利者インタビューで「今日はスタート勝ち。動いてはいる方だが、他とはそんなに変わらない」という冷静な自己評価を下していた。

 

 

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 そう、だからこそのスタート勝負だった、と私は思う。単に予選突破を目指すだけなら、5コースからコンマ04!!のリスクを負う必要はない。スリット同体から展開を突いて2、3着で、準優の当確ランプは点ったのである。が、おそらく王者は「それでは足りない、生温い」と考えた。パワー的にトップ級とは言えないのなら、多少の危険を冒してでも有利な枠番を勝ち取りに行く。そう決めて、3日目にしてスタート勝負という“非常手段”に出たのだと思う。そして、成功させた。さすが王者。だからこその王者。かつて、この場で何度も「王者は予選ボーダーを見ない、てっぺんしか見ていない」ってなことを書いてきた(ここ数年ははめっきり減った)が、まさに今日のまくりは予選トップだけを目指した一撃まくりだった。私は勝手にそう思っている。住之江の大一番まで、もう2カ月を切った。賞金ランク15位のまま、地元の水面に戻るわけにはいかない。

 

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 明日、松井は6号艇&3号艇でガチの勝負駆けに臨む。ピンピン連勝なら、文句なしのトップ当選。できれば5R6号艇を勝ちきり、11Rで当面のライバル守田俊介(4号艇の1回走。ある程度、有利な立場にいると思う)と火花の散るような1着勝負を見せてもらいたい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)