BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――GⅡ、福岡勢の明暗

 

 

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 魚谷香織が終戦……。優出するためには1着が必要。枠番は6号艇。魚谷は6コースから果敢に攻めた。なんとしても地元クイーンズクライマックスに出場するのだという気持ちが、存分に込められたスリットから1マークであった。しかし、さすがに遠かった。地元の大舞台に立つという願いは、ここで断たれた。

 エンジン吊りなどの作業を終えて控室前に辿り着いたのは、8R出場メンバーのなかで最後。かなり長く、自艇のもとを離れなかった。ボートの水分を拭き取る作業などをしつつ、囲んだ福岡勢との会話をしていた。それが長引いたのだと思われる。魚谷の状況はそこにいる誰もが知っていたはずだから、話も長くなろう。

 すでに他の5名がいなくなったカポック脱ぎ場で装備をほどく魚谷。その様子からは、ハッキリと落胆が読み取れた。出たかった。地元クイクラに何としても出たかった。その思いの強さを改めて知らされる背中だった。

 

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 地元勢に明暗あり。魚谷とまるで正反対の状況となったのが、川野芽唯だ。川野は賞金ランク11位。今日の1号艇をなんとかモノにして、優出に望みをつなぎたかったが2着。やや不利な状況が増すことになった。圏内にいるわけだからクイクラ行きの可能性は残るが、優出メンバーによっては寒い状況となる。ところが、9Rで予選6位にいた香川素子が6着に敗れる。これで香川と川野の得点率が5・83で並ぶことになった。上位着順は、ともに1着がなく、香川2着2本、川野2着3本。川野は逆転優出を果たしたのだ。

 しかも、優出メンバーのなかで、13位以下は宇野弥生のみ。現時点での賞金ランク12位までの入れ替えは、1人だけなのだ。つまり、川野はクイクラ行きも当確! ダブルでめでたいことが起こったのである。とにもかくにも、福岡クイクラに地元勢が残ったことは(小野生奈も当確!)めでたい。

 優出メンバーに入ると足的には見劣るようだが、もちろん優勝も諦めていない。というか、この流れは川野に向いてるんじゃないのか!? 優出会見のあとは晴れ晴れとした表情を見せていた川野。ちょっと怖い存在と思えてきたぞ。

 

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 優勝戦1号艇は寺田千恵! もうとにかくゴキゲンだ。カメラマンにレンズを向けられると自分からポーズをとっているし、桐生順平や原田幸哉と笑い合っているシーンもあった。12R後、偶然に僕はテラッチと並んで歩くかたちになっている。僕は最初はそれに気づいていなかったのだが、テラッチが小声で「ども」「ども」と小さくお辞儀を繰り返しているので気づいた。明らかにおどけている様子なので、僕も「ども」「ども」とお辞儀。何のコントだ。どう見てもゴキゲンなのである。「優勝ですね」と振ったら「いやいやいやいや、何があるかはわからない」と返してきたけれども、明らかに手応えは感じている。勝って賞金トップ逆転は、かなり現実感を増していると言える。

 

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 ちなみに、現時点でトップの平高奈菜は、「チャレンジカップまではトップで来たいと思っていたが、それ以降はこだわっていない」と会見で笑っていた。本音かな? 明日は寺田1号艇、平高4号艇。インvsカド! 1位をめぐっての激しい攻防が見られるかも!?(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)