BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋チャレカ準優ダイジェスト&賞金争い!!

 

10年ぶりの……

 

10R

①笠原 亮(静岡) 13

②池田浩二(愛知) 06

③今垣光太郎(福井)07

④吉田拡郎(岡山) 02

⑤新田雄史(三重) 07

⑥中島孝平(福井) 08

 

 

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 スタート展示ではちょいとトボケて(笑)5コースだった今垣が、本番では嬉々として3カドに引いた。そうこなくっちゃ。で、スタートもしっかりコンマ07と張り込んで豪快に握ったが、インの笠原には届かない。今日の笠原も強かった。とりわけ強く見えたのがスリットからの伸び返しで、あの行き足は明日も強力な武器になる。つまり、完璧な“予行演習”ができたわけだ。

 

 

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 で、笠原が勝って優出を決めた瞬間、「明日のファイナルを無事故完走すれば、グランプリ入り確実」という権利も得た。この付加価値が、笠原の内面にどんな影響を与えるか、はやや微妙ではある。「権利が決まったことだし、スタートから思いきって攻めよう」と思うかもしれないし、「フライングやつまらない事故だけはNG」と慎重になるかもしれない。まあ、最優先は10年ぶりのSG制覇だからして、9割がた前者の心境になるとは思うのだが。緊張度も含めて、明日の笠原の言動にも注意を払いたい。

 

 

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 このレースであっぱれだったのは、4コースの吉田拡郎だ。スリットは3カド今垣のさらに上を行くコンマ02! そこから今垣の攻めにぴったり連動してズバッと割り差した。そこからの伸び足も上々で、「伸びがこない」と泣いていたシリーズ前半とは別人になったと言っていいだろう。さらにさらに、後でも記すが優勝戦では拡郎だけがメイチのグランプリ勝負駆けでもある。「負けて失うものは何もない」と開き直れば、今日と同じ電撃スリットから決め撃ちのまくり差しが炸裂するかも? 気合という面での穴選手は、拡郎を置いて他に考えられないな。

 

モンスター覚醒

 

11R

①太田和美(大阪)15

②中澤和志(埼玉)15

③毒島 誠(群馬)19

④辻 栄蔵(広島)14

⑤赤岩善生(愛知)12

⑥平本真之(愛知)15

 

 

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 このレースでもピカピカに光って見えたのが4コース(カド)の辻栄蔵だった。スリットから内の毒島を半艇身ほど出し抜くと、迷うことなく全速の絞りマイ。毒島を叩いた勢いで中澤まで呑み込み、芸術品のようなまくり差しを突き刺した。ターンの出口では、完全にインの太田も捕えきったかに見えた。

 

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 で、辻の猛攻が素晴らしかったからこそ、それを完封した太田の足にはかなり驚かされた。入っても不思議じゃない辻の艇の舳先は、まったく届いていなかった。私の見立ては前検から「悪くはないが、上とは差がある」というB+(中堅上位)だったが、今日のターン回り~行き足の部分の足はAランク(上位)を授けるべきだろう。上がりタイムの1分46秒4もシリーズレコードだし。明日の2号艇でもこの部分の足は不可欠なわけで、スリット同体から笠原を差す展開になればV率は低くないと思うぞ。

 

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 再び辻のパワーに戻ろう。あのまくり差しで太田に届かなかったのは、まだまだ機力的に劣勢と見ることもできる。つまり、パワーアップした太田の行き足とやや劣勢な辻とのそれが、明確に水面に投影された、とも。5号艇の明日も一撃でまくり差す展開がありえるのだが、引き波を超えてからギュッと押し出すパワーが欲しいな。もちろん、それを痛感した辻自身もそのあたりを中心に整備するだろう。現状のままでは、勝ちきるまでは難しいと思う。

 

微妙な関係

 

12R

①石野貴之(大阪)10

②山崎智也(群馬)14

③守田俊介(滋賀)11

④桐生順平(埼玉)13

⑤瓜生正義(福岡)12

⑥市橋卓士(徳島)12

 

 

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 スリットほぼ横一線の鮮やかな隊形。ここまで揃うと、コースの利&強力なパワーがモノを言う。で、スロー勢がその両方を持ち合わせているのだから、外枠勢には出番がなかった。非常に興味深かったのは、そのスロー3艇の1マークまでの動向(パワー気配)だ。スリットを過ぎて、まずは智也と俊介がスーーッと伸びていった。その足色は同じくらい(やや俊介が上には見えた)で、石野だけが明らかに劣勢だった。

 

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 だから、智也はその勢いのままツケマイを放とうとした。2コースまくりが多い智也だからして、経験則から「これなら行ける!」と踏んだのだろう。が、石野の外から半艇身ほど覆い被さったところで、智也はそれを断念した。スッと減速して、差しに切り替えた。あの方針転換はなぜか。私が思うに、石野の伸び返しが予想以上に強烈だったから、だろう。行き足では俊介と智也、その先の伸びでは石野が勝っていた。そのパワーは、初日あたりから石野が求めていたものでもある。さすがの整備力。

 3号艇の明日も、行き足→伸びは必要不可欠なファクターとなる。その一方で「スローから行く」と決めたら、その手前の足=出足→行き足もとてつもなく重要な要素にもなる。そこがないと、スリット直後に一撃のまくりを喰う危険度が高まるから。明日、石野は何をどう考えてどの部分の足を求めるのか。コース獲りの思惑も含めて、できる限りチェックしていきたい。

 

 

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2着の俊介は、智也がまくり→差しに切り替えている間に、迷わず差しハンドルを入れた。両者のこの差はかなりでかかったと思う。2番差しの位置でありつつ、智也より早くハンドルを入れて美味しい差し場を先取りできたのだから。こうなってしまえば、おいそれと逆転を許す49号機ではない。智也の猛追をキッチリ完封して、SG連覇に王手をかけた。

 明日は4号艇。もちろん4カドが濃厚だが、俊介のパワーは手前の部分が凄まじく強く、伸びはソコソコ強いという仕上がりだと思う。つまり、スロー向き。俊介がスローで石野がダッシュならぴったり(ドリーム戦はその関係で石野が俊介を叩き潰した)なのだが……明日の俊介は伸びを強化してダッシュ戦に備えるのか、4コーススローから石野に立ち向かうのか。この両者への興味は尽きないな。なぜなら、このセンター枠のふたりが、スリット後に真っ先にレースを作るはずだから。そのアタックがどれだけ峻烈かによって、笠原から拡郎までV確率は極端に変動すると思っている。

 

 

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 あ、このレースは瓜生についても少し触れておこう。5コースから展開がなく揉まれに揉まれ、6着大敗。「優出すればグランプリ当確」という微妙な位置にいたのだが、その条件をクリアすることができなかった。後方で喘ぐ瓜生を見ながら「今年の瓜生は、終わったんだなぁ」としみじみ思った。別に同情するつもりはない。今の瓜生が今年の等身大の瓜生だ。来年の等身大の瓜生は、今の瓜生とは違う。誰もがそれを知っている。

 

 さてさて、この準優の結果を踏まえて賞金ランクだ。

 

1山崎智也……★

2篠崎元志……★

3桐生順平……☆

4毒島 誠……☆

5守田俊介……☆

6石野貴之……☆

 ――

7峰 竜太……☆

8太田和美……☆

9松井 繁……☆

10田中信一郎……☆

11池田浩二……☆

12坪井康晴……☆

13中島孝平……☆

14辻 栄蔵……☆

15今垣光太郎……☆

16茅原悠紀 4975 一般戦6R1回走

17原田幸哉 4959 7Rアシ夢選抜

18平本真之 4758 笠原完走または拡郎準V以上で落選

 ――

19笠原 亮 4722 優勝戦完走で当確

31吉田拡郎 4263 優勝または準Vで当確

 

 日々、候補者が脱落し、ついに16~18位の3議席は5人に絞られた。より現実的なことを言えば、笠原フライングなどよほどのことがない限り笠原は当確、平本は落選とみていいだろう。

 つまり、実質的に「最後の2議席を茅原、原田、拡郎の3人で争う」ことになったわけだ。では、誰がどうなれば当確ランプが点るのか、わかりやすい順に並べてみよう。

★吉田拡郎=優勝か準Vで当確、それ以外はアウト。これだけ。明日の優勝戦で2着以内に入れば、自動的にグランプリ入りも決まる。ついでに言うと、笠原・拡郎ともに優勝してもTOP6には届かない。

★原田幸哉=6Rの茅原の成績に関わらず、7Rのアシ夢特別で2着以内なら自力当確。また、たとえ茅原を逆転できなかったとしても、拡郎が優勝戦で3着以下なら当確。

★茅原悠紀=ただひとり自力当確の目がなく、6Rで少しでも賞金を積み上げて原田、拡郎の結果を待つのみ。7Rで原田に逆転されなければ、その時点で当確。たとえ原田に逆転されても、優勝戦の拡郎が3着以下なら当確。

 こんな感じになる。やや複雑なのは茅原VS原田(約16万円差!!)の因果関係か。表にしておこう。

 

       原田

    1着 2着 3着 4着 5着 6着

 1着 原田 原田 茅原 茅原 茅原 茅原

茅2着 原田 原田 茅原 茅原 茅原 茅原

原3着 原田 原田 原田 茅原 茅原 茅原

 4着 原田 原田 原田 茅原 茅原 茅原

 5着 原田 原田 原田 茅原 茅原 茅原

 6着 原田 原田 原田 茅原 茅原 茅原

 

 手弁当の計算だが、こうなると思う。原田は2着自力ながら、4着以下だと茅原に及ばない。唯一3着のときのみ、6R茅原の結果が影響することになる。

 まあ、優勝戦で拡郎が3着以下に敗れれば、この結果とは無関係にふたりとも当確となるのだが。

 

 で、もうひとつ気になる賞金TOP6=GPトライアル2n組の勝負駆けだが、これは優出した石野、守田、太田、辻の直接対決で決まる。これがまた場合分けするとそこそこ複雑なので、現時点では「4人が4人ともTOP6入りすることもあるし、誰かしら2人だけ当確という可能性もある」とお伝えしておく。もしも明日、余裕があったらどこかのタイミングでアップします。

 

次に賞金女王争いを。

 

**女子賞金ランク

 

1平高奈菜 ☆

2寺田千恵 ☆

3遠藤エミ ☆

4大瀧明日香 ☆

5山川美由紀 ☆

6松本晶恵 ☆

7滝川真由子 ☆

8鎌倉 涼 ☆

9小野生奈 ☆

10三浦永理 ☆

11川野芽唯 ☆

12中里優子 2304 一般戦1R

 ――

13日高逸子 2277 9R特別戦選抜戦

19宇野弥生 1959**

 

まずはお詫びから。昨日「日高逸子はTOP12入りアウト」みたいなことを書いたが、実際にはまだまだチャンスが残されていた。選抜戦の存在をうっかりしたもので、実になんとも、申し訳ありません!

で、女子のほうは最後の1議席を中里、日高、宇野の3人で争うことになった。男子同様、こちらもわかりやすい勝負駆けから。

 

★宇野弥生=とにかく優勝でクイクラ当確、2着以下ならアウト。

★日高逸子=9R特別選抜戦で2着以内なら、1Rの中里の結果に関わらず暫定12位に浮上。さらに宇野が優勝戦で2着以下なら当確。宇野優勝ならアウト。

★中里優子=男子の茅原同様、1Rで賞金を積み重ねて日高、宇野を待つのみ。

 

 男子より厳しい1/3のサバイバルを勝ち抜くのは誰か……1Rから予断を許さぬ争いが繰り広げられる。(photos/シギー中尾、text/畠山)