BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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エースは石野、隠れエースは幸哉!!

 

 住之江グランプリのモーター抽選が終わった。いやあ、なんだか異様な空気だったなぁ。今日の抽選は3段階分離システム。まず賞金ランク1~6位(トライアル2nd組)が住之江TOP6モーターを奪い合い、次に7~18位選手(1st組)、最後にシリーズ組が抽選する。ヒエラルキーに差があるせいか、談笑する選手もビリビリ緊張する選手もいて、そのギャップがいつものSGとは違う妖しいムードを醸し出している。うん、去年までグランプリ組は公開抽選、前検日はシリーズ選手だけの抽選だったから、「全員がガラポン」という違和感も半端なかった気がするな。

 

 

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 で、まずはトップ6。これは私が予想していたよりも淡々とコトが進んだ。選手たちは穏やかで、シャッター音とストロボの光だけが狂ったように瞬いている。これまたちょっと不思議な光景ではあった。3人目の石野貴之がエース8号機を引いたとき、シャッター音とストロボはさらに激しさを増した。そして会場内に「オッ」という声がいくつか漏れ、「誰が引いたん?」と誰かが言った。その程度だ。引いた石野も少し微笑んだだけで、極端なリアクションはない。おそらく、「トップ6のモーターは、どれを引いてもそんなに大差はない」と思っているのではないか。

 私も過去8節分ほどのレースを見てきたが、2連率順に選ばれた6機の中に「勝手に節イチパワー」はいない。2連率7位、つまり次点で1st組に回った70号機が抜けたエースだと思っていた。そして、選手間や整備士さんの間でも「どうやら隠れエースは70」という下馬評が生じていた。

 

 

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 実はトップ6よりも重要かもしれない1st組の抽選がはじまる。王者・松井繁の表情は、前回のチャレカあたりとは180度違った。ピリリキリリヒリリ、顔の筋肉を司るすべての細胞が引き締まっている。「王者が70を引くか」と見ていたが、33号機。70が出ない。隠れエースは出ないで出ないで出ないで、ついに誰も出せないまま賞金ランク18位の幸哉まで辿り着いた。幸哉がガラポンをゆっくり回してそれを出した。70。オオッという歓声は8号機より大きく、田中信一郎が「やったね、残ってたよ、ユキヤ君!」と祝福した。

 

 

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もちろん、幸哉は笑顔を返したのだが、その直後から幸哉の顔付きが変わった。眉が寄り、眼光輝き、唇をキリリ結んだ。飼い犬から狼に変わるくらい、変貌した。闘争モードに突入したことが、露骨に伝わってきた。明日は6号艇からのスタート。あの顔は、間違いなく何かをやらかす顔に見えたぞ!

 

 

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 で、最後はシリーズ組。まあ、残念ながらというか、選手はちょっと温泉気分のようなムードを漂わせていたが、そんな中で川上剛だけが「ヨッシャッ」と小さく叫んでガッツポーズした。余り物のエンジンの中に、たった1機だけ地元記者が「A」を授けたお宝が混じっていたのだ。その60号機を引き当てた川上が、今シリーズの台風の目になりそうだ。

 

トライアル2nd

△8号機…石野貴之

△65号機…桐生順平

 34号機…山崎智也

△27号機…毒島 誠

 57号機…守田俊介

○10号機…篠崎元志

 

トライアル1st

◎70号機…原田幸哉

▲71号機…笠原 亮

 23号機…中島孝平

△21号機…辻 栄蔵

 33号機…松井 繁

 36号機…田中信一郎

 53号機…太田和美

 52号機…池田浩二

 56号機…今垣光太郎

 78号機…坪井康晴

 25号機…峰 竜太

 74号機…茅原悠紀

(シルシはBB1月号での畠山評価)

 

シリーズ注目機

60号機…川上 剛

注9号機…今村 豊

注61号機…西山貴浩

 

(photos/シギー中尾、text/畠山)