BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――戦い終えて

 

 

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 昨日のシリーズ特別戦を勝った吉田拡郎は、レース後は実に神妙な表情で、笑顔は見えなかった。1号艇で勝ったあとの選手はたいていそんな感じで、笑顔満開で戻ってくるのはあまり見かけない。優勝戦などの大一番は話が別だが、予選などではともすると淡々と見えるケースが多いと思う。1Rを逃げ切った松田祐季も同様。そこに喜びの笑みは見られない。1号艇で負ければそれは取りこぼし……そんなふうに考える選手も多いなか、歓喜よりも安堵が勝るということだろうか。

 

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 では、1号艇で敗れた仲口博崇がわかりやすく悔しさをあらわにしているかというと、それも違う。もちろん、悔しくないわけがない。最後の最後で2番手も逆転されて3着に後退しているのだから、腹の底はムカムカしていなければおかしい。それでも、激しく顔がゆがんだりはしていない。落胆はなんとなく伝わってくるけれども、悔恨はハッキリと見えるわけではない。まあ、これは大一番は話が別だし、また選手のタイプにもよるような気がする。仲口はどちらかというと、表情を崩すほうではない。

 

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 では、2号艇で勝った中野次郎は? 爽やかだった。まあ、この人はいつだって爽やかジロー。34歳と書かれている出走表を見て驚いたりもするわけだが、その爽やかさに年齢による変化はあまり感じられない。6号艇で勝って大穴、ともなればまた違った表情になるかもしれないが、次郎はひたすら爽快な顔でレースの余韻に浸っているようだった。現在は住之江在住というのは広く知られていることだろうが、ならばここは地元のようなもの。いやいや、我々東京のファンにとっては、いつまでも我々の地元選手なわけだが、東のファンも西のファンも味方につけて、爽やかに突っ走ってほしいぞ。

 

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 さて、少し名前を出した吉田拡郎だが、今朝、石野貴之と語り合う姿を見かけた。記憶に新しい、チャレンジカップ優勝戦の崇高な2着争い。あれは稀代の名勝負だったと思うわけだが、それは変わらぬ二人の友情もまた大きなエッセンスと改めて感じた次第。戦うステージは違ってしまったが、顔を合わせたときの信頼感は永遠に強い。今回は剣を交える機会はないわけだが、また来年のSGでガチンコの張り合いを見たいですね。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)