BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル2nd 第3戦ダイジェスト

 

当確者、ゼロ??

 

11R       

①毒島 誠(群馬)15

②守田俊介(滋賀)18

③中島孝平(福井)12

④峰 竜太(佐賀)15

⑤篠崎元志(福岡)09

⑥茅原悠紀(岡山)11

 

 

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 昨日まで9位に低迷していた毒島が、1号艇のチャンスをきっちり活かしきった。1艇身のスタートから余裕のある先マイで、そのままブッチギリのひとり旅。いつ何時でもタイムアタックをする選手なので、1分46秒6(今節のトップタイ)という出色の時計も弾き出した。イン戦で負ける男ではなかった。1着でトータル21点。

 2着は中島。3コースから毒島を付け回って、これも危なげなく2番手をキープし続けた。ただ、9点を加算してもトータル20点。首筋の寒い2着ではあった。

 

 

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 以下、3着争いはそれなりにもつれ、同時に優出争いも恐ろしいほどの大混戦になった。1着から順に記すと、毒島21点、中島20点、峰21点、茅原21点、元志21点、俊介19点……3周バック、実況アナが各選手の名を呼ぶときに、次々「結果待ち」というセリフを加えた。22点の確定ラインを、誰ひとり超えなかったから。が、ゴールした時点でほぼ確定していることがあった。ひとつは毒島の当確だ。この11Rでの得点トップ(着位点込み)に立った毒島は、12R太田のマックス20点を上回る。つまり、6位以内が確定したのだ。

 

 

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 そして……19ポイントの俊介の落選も確実なものになった。12Rでとんでもないアクシデントが起きない限り、6人以上が20点を上回るから。結果論で言うと1着ならファイナル1号艇だった俊介は、2マークで振り込むというアクシデントとともにトップ6の座から滑り落ちた。残念。

 

王道と裏街道と。

 

12R

①石野貴之(大阪)12

②笠原 亮(静岡)15

③池田浩二(愛知)14

④桐生順平(埼玉)16

⑤太田和美(大阪)20

⑥山崎智也(群馬)22

 

 

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 当確の毒島、落選の俊介を除く11Rの4人。完走当確の智也を除くこのレースの5人(太田にも1%ほどの可能性は残されていた)。9人の命運を懸けたラストバトルがはじまった。1マークで、3番目の当確ランプを点したのは石野だ。トップスタートから豪快に逃げきって、22ポイントが約束された。逆にこの逃げきりで、中島、桐生、太田の可能性が消滅した。残る3席を11R組3人+12R組2人で争う格好だ。

 

 

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もちろん、当事者の池田、笠原はその複雑な状況(条件)を知る由もないだろう。ふたりは道中で揉まれに揉まれながら必死に駆け続け、結果、明暗を分かつことになった。池田が3着でトータル21点。着位点で優遇されて4位に食い込んだ。「1年おきの賞金王V3」に王手をかけた。一方の笠原は、まさかの6着で20点。トライアル1stから常に主役級の活躍を続けた男が、最後の最後につまずいた。

 さあ、残るは2議席/3選手。それは、すべて11Rで走り終えた選手たちだった。21点で並ぶ峰、元志、茅原。着位点はすでに計算していたから、この状況になった瞬間に、脱落者がわかった。峰竜太。笠原同様、トライアル1stを席巻したが、ハナ差で2ndの壁を超えることができなかった。

 

 

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そしてそして、そんな21点の熾烈な攻防を尻目に、しっかりがっちりファイナル1号艇を手繰り寄せたのが智也だ。今日の智也はさすがにコースが遠く5着=トータル24点。この数字は「安泰のトップ」にはほど遠く、たとえば11Rの元志、茅原、俊介、12Rの笠原、池田が1着なら逆転されていた(元志は2着でも)。が、そうはならなかったところが、やはり持ってる男なのだな。6号艇で流れが変わったようでいて、状況的にはなにひとつ変わらずファイナル1号艇にカムバック。やはり、「智也のために用意されたグランプリ」という気になってくる。

 ただ、ひとつ気がかりなのは機力だな。今日の智也34号機は練習で目立たず、展示タイムもひどく、レースでも特筆すべきものがなかった。3日間でいちばん悪かったのではないだろうか。住之江だからして、それでもインからバチッとSを決めれば逃げきれるのかもしれないが……ことパワーに関しては「盤石の本命」とは呼べないと思う。

 

 

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 最後に、優勝戦のメンバーを見回していちばん不気味に感じるのは……はい、これは全国の大半のファンも同じだろう。6号艇の茅原! 賞金ベスト18位当確はチャレカ最終日に決まり、トライアル1stはギリギリ6位で生き残り、トライアル2ndも6位でファイナル進出。常にトップ当選してきた智也とは真逆の裏街道を歩んできたわけだが、このギリギリに生き残ってきた“運”は何なのか。ギャンブルの神が、とんでもないドラマをこっそり演出しているのではないか。そんな気にさせる6号艇ではある。機力的にも徐々に徐々にアップしているみたいだし……。(photos/シギー中尾、text/畠山)