BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@シリーズ――頑張れシリーズ組!

 

 

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 今日のピットは、刻一刻とクライマックス色に染まっていく感じがした。ベスト12が登場したときからそれは始まって、彼女たちが試運転を始め、9R発売中と10R発売中にスタート練習とタイム測定が行なわれ、人々の注目はぐいぐいとそちらに引っ張られていく。装着場をざっと見渡してみて、報道陣に囲まれたり、テレビカメラが向けられていたりするのは、やはりクライマックス組が中心となっていた。レースの格が違うのだから当然とはいえ、シリーズ組にも声援を飛ばしたくなるというものだろう。

 長嶋万記の背中に書かれていた、この至言。そう、おっしゃるとおり! 今日、明日からのトライアルに出走する面々に視線が奪われていくのもまた、人生の道理というものである。それに耐え、与えられた戦いをまっとうし、そして来年は輝かしい舞台を踏むのだと決意するのが競艇=ボートレースのもつ一面の真理である。今日の長嶋はピンピン! 初戦6着を帳消しにする活躍である。マキがマキ返し! と話しかけようとしたが、笑ってもらえなさそうなのでやめた。明日もひたすら人生を突き進んでいただきたい。

 

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 先述の通り、9R発売中と10R発売中が、クライマックス組のいわゆる前検航走。昨日はこの時間にも試運転を行なっている選手がいて、シリーズ組のなかには今日もまだ走りたかった選手もいたはずである。

 9R発売中は明日の11R組のスタート練習&タイム測定。それが終わり、エンジン吊りが始まったころ、ピットにアナウンスがかかった。「試運転はあと3分」。11R組の前検航走を終わらせたら、それしか時間が残らなかったのだ。

「ゆーきちゃん、試運転行く?」

 そう問いかけたのは松瀬弘美だ。相手は山下友貴。山下は三浦のエンジンを整備室に運ぼうと歩み始めていた。それを見た松瀬は、山下が試運転に行きたいのではないかと察した。山下といえば、ペラ調整もとことん、試運転もとことん。休みなく動いて、ひたすらパワーアップに腐心するのがスタイルである。同じ支部の松瀬は、当然それをよく知っている。そして、試運転の時間は3分しかないと知った。限られた時間に、エンジンを運ぶのは大きなタイムロス。それを心配して、松瀬は自分が代わろうとしたのであろう。

 

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「あ、行かないです」

 と山下。たまたま試運転の予定はなかったようだ。だから、そのままエンジンを運ぼうとした。そして、松瀬がなぜそう問うてきたのか、気づいたのだろう。そう、松瀬の気遣いを敏感に受け止めた。

「ありがとうございます!」

 立ち止まって頭をぺこりと下げた山下。うーん、惚れた! 松瀬の優しさにも、山下の察しの良さにも。クライマックス前検だからこその、いい光景だったかもしれない。

 

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 で、今日から参加選手が12人増えて54名となり、大変なのは選手班長である武藤綾子であろう。班長の仕事は、クライマックス組とかシリーズ組とか関係ない。選手たちの面倒を見て、競走会側ともやり取りをして、選手たちをまとめあげなければならない。選手が増えればそれだけ大変になるのは当然である。11Rのレースを、武藤はひとり出走待機室で観戦していた。ここにあるモニターは、選手にとって格好の観戦場所。また、ガラス張りになっているので、僕のピットでの観戦場所でもある。僕がレースの模様を追っていると、武藤はレースを見ながら、ごみなどを片付けていた。あと12Rが残ってはいるが、目につく部分は片づけて、一日の終わりに備えていたのだろう。こうした気配りもまた、班長の役目。班長の仕事もレースも、あやぱん頑張れ! 応援します!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)