BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@シリーズ――白と緑の明暗

 

 

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 山下友貴は、痛い敗戦だっただろう。前半6着に敗れて、もう後がないなかでの1号艇。予選突破につなげるには、ここは何としても逃げなければならなかった。しかし、細川裕子にまくられて、最後はなんと6着大敗。今日は内田裕也さんがイベントで来場していたが、何もロックを2本並べなくとも……。

 

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 レース後の山下はもちろん、沈痛な表情。準優が見えなくなったことも痛いし、1号艇を活かすことができなかったこと自体も痛いはずだ。そこに歩み寄り、優しい視線を送ったのは池田浩美。池田も今節は、実にリズムが悪い。Fが出た6Rでは、いったん先頭を走ったのに、終わってみれば3着。得点率はシリーズ組最下位に甘んじてしまっている。後輩の気持ちは痛いほどわかるはずだ。残り3日、彼女たちにとっては長い年末になってしまうだろうが、少しは鬱憤を晴らして今年を終わらせてもらいたい。

 

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 山下とはまったく対照的に、6号艇で見事な1着をもぎ取ったのは樋口由加里だ。これは気持ちいい! 大敗もありながらの3勝目で、予選4位につけた。枠番通りの着なら、明日は厳しい勝負駆けを強いられることになっていただけに、この勝利は大きい。いや、6号艇の勝利それ自体が、心沸き立つものであろう。

 

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 嬉しそうにしていたのは、岡山勢も同様。出迎えた仲間たちは、一様に目を細めて樋口の壮挙を喜んでいた。なかでも嬉しそうにしていたのは金田幸子。樋口の頭を何度もなでなでしていた……ヘルメットの上から。だから、なでなでしているというよりは、ヘルメットを振り回しているような格好になって、樋口の首がぐらぐらと揺れる。その様子がおかしかったのか、金ちゃんはもういちど同じことをして、樋口もされるがままに首を揺らしていた。こらこら(笑)。いずれにせよ、本人も周囲も気持ち良かったのだ。

 

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 そのなかで一人、寺田千恵は祝福したあとに、2着に敗れた武藤綾子を気遣っていた。テラッチはもともと福岡支部。武藤のほうが後輩ではあるが、ともに同支部のレディースを支えてきた盟友でもある。それに、ここは地元だ。そして武藤は選手班長でもある。テラッチとしては、武藤の心中も察してしまうのだろう。

 

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 もちろん武藤も当初は複雑な表情だったが、同期の海野ゆかりも加わっての会話のなかで、表情がどんどんと柔和になっていった。最後は、3人で大笑い! テラッチも「うん、わっかる!」と武藤に声をかけて、自分の準備へと向かったのだった。武藤は明日、勝ってボーダーを下がるのを待つ状況。テラッチも海野も、武藤の活躍を祈りながら見守ることだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)