BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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クライマックス優勝戦 私的回顧

 

女流モンスターの予感

 

12Rクライマックス優勝戦

①三浦永理(静岡)+02

②鎌倉 涼(大阪) 07

③寺田千恵(岡山) 09

④川野芽唯(福岡) 11

⑤大瀧明日香(愛知)12

⑥平高奈菜(香川) 13

 

 

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 メイちゃーーーーーーーん!!(byトトロ)

 はい、意味もなく叫んでしまいましたが、おめでとう、川野芽唯。いやぁ、決まり手は「恵まれ」だけど、マジで強かった。やっぱり昨日の鬼足は本物で、文句なしの節イチパワーだったんだなぁ。三浦については後に触れるとして、勝敗を決したのはバック直線~1周2マークだ。三浦が戦列を離れた水面で、主導権を握ったのはテラッチだった。ほぼ横一線の100期トリオを、2艇身近く引き離していた。そこから、最内の川野が伸びる伸びる。あっという間に舳先を並べて、2マークを先取りしてしまった。

 ただ、内々からの先マイなので、マイシロは厳しい。すかさずテラッチが差しに構える。この交差旋回は五分の勝負に見えた。が、その直後の川野の出足がヤバい。自分の方がやや流れているはずなのに、ピューーッと1艇身以上置き去りにした。そう、昨日の12Rの同じ場所で、三浦永理を圧倒したのとまったく同じ出足だった。モンスター出足。

 

 

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 いやいや、絶賛すべきはパワーだけじゃないな。ちょいと巻き戻そう。テラッチと微妙な位置関係で2マークに向かったとき、川野は「ここをちゃんと回れば勝てる」と思った。そう回想している。そして、ちゃんと回って1艇身抜け出したとき「あとは冷静に回れば優勝できる」。そう確信したらしい。初めてのGI優勝戦で、しかも大晦日のとびっきりの大舞台で、しかも百戦錬磨の女傑と交差旋回しながら、そう考えていたと言うのである。普通はリップサービスも込みで「相手が相手だし、ゴールするまで夢中でした」とかなんとか言うものではないのか。とんでもない大物なのか、メイちゃん!!??

 

 

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 大物ぶりは、今日のレースタイムにも如実に反映されていた。冷静に回り続けた3周の時計は、1分46秒6!! 直前のシリーズ優勝戦で智加ちゃんが「タイムが出た」と微笑んでいたが、それが1分47秒5だ。昨日の46秒9といい今日の46秒6といい、芽唯ちゃんひとりだけが別次元のスピードで駆け抜けていた。この時計を、単純に「モンスター出足のなせる業」で片付けていいのだろうか。実は芽唯ちゃん本人が隠れモンスターで、それが昨日いきなり覚醒したのか? それとも、大好きな瓜生正義(優勝戦後に出現したとか)がシンクロ率200%で乗り移ったのか??(笑) とにもかくにも、末恐ろしい大器がその素質の片鱗を見せた、そんな驚くべき優勝戦だった。

 

 

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 さて、三浦永理だ。やってしまった。コンマ02の勇み足。10億円を超える大返還。GIではあの2000年のびわこ新鋭王座で、我が守田俊介などの17億返還に次ぐ惨事となった。施行者にも切った三浦にも、かけるべき言葉が見当たらない。非常に瑣末的な話で恐縮だが、私自身の舟券も7割ほどが返還になった。大晦日の最後の勝負で、不完全燃焼のくすぶり感だけが残った。そら返還はナンボかありがたい(焼け石に水滴)けど、「いっそのこと、後生ですからバッサリと、ひと思いに!!」なんて思った。うーーん、せめてこの最後の大一番だけは、やり直し再スタートとかにして欲しかったどーー!!(涙)

 今後、三浦はしばらくの間、つらい思いを背負って生きることになるだろう。来年の総理杯もレディチャンも棒に振ってしまった無念の思いも募るだろう。うん、でもベタベタな台詞だが、朝日が昇らぬ夜はない。俊介だって、もろもろ苦労したけどダービーキングになった。泣いても過去には戻れないのだから、できる限り前を向いて、できる限り笑顔で2016年という新しい年を過ごしてほしい。明日から。(photos/シギー中尾、text/畠山)