BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

素敵なバトルトーナメント!

 まずは復活戦からのファイナル進出を決める抽選から。復活戦4個レース中3個レースでトーナメント4着の選手が1着となったため、岡崎恭裕、山﨑昭生、澤大介で抽選となっている。抽選方式は“ドラフト”方式。プロ野球のドラフト会議のように、封筒に「ファイナル進出権利」と書かれた紙と白紙がそれぞれ入れられており、これを選出順位順――岡崎→山﨑→澤の順に選択する方式がとられた。同時に紙を取り出して確認するというのもドラフトと同じ。この抽選には報道陣も殺到し、立会人の選手代表・鈴木茂正が「えっ、こんなにいるの!? たかだか敗者の代表を決めるだけですよ」とおどけて、笑いを取っていた。

 笑いを取っていたといえば、駆けつけた選手ギャラリーも大騒ぎ。もちろんその中心はカマギーで、3人にさんざん野次を飛ばして、楽しんでいた。今村豊は、「あれ、俺も呼ばれたよね?」と抽選に加わろうとする勢い。えー、ミスター。誰もあなたのことは呼んでません(笑)。

 

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 というわけで抽選。実は岡崎は「4着選手のなかで選出順位最上位がファイナルへ」と思っていたらしく(実はそう思い込んでいた選手は少なくなかったようだ)、抽選と知らされて「ええーっ」と驚いている。抽選順は一番なのだが、今度は「ファイナル行きか一般戦行きか」の運命を分ける抽選なだけに、「むしろ残り物のほうがいいなあ」と封筒選択にかなり迷っていた。しかも、3つ並べられた封筒の真ん中を取ろうとすると、ミスターが「それでええんか!?」などと野次を飛ばしたものだから、いちばん右の封筒に変更。そして当たりクジは真ん中の封筒に入っていたものだから、岡崎は苦笑いを浮かべながらうなだれるしかなかった。

 

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 その真ん中の封筒を取ったのは山﨑昭生! 岡崎と澤にすみませんと頭を下げながらも、嬉しそうに撮影に応じていたぞ。

 

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 さてセミファイナル。鎌田義が「なんかみんな、SG準優の顔になっとる」と証言しており、SGレーサーたちは最高峰の勝負どころと同じような心持でレースに臨んでいたようだ。しかも1着勝負だけに、おのずとレースが前のめりになる。9Rで2コースを獲った原田幸哉はスタートでのぞき、すぐには締めて行かずに差しの選択肢もありそうだったが、結局1マークは外を行って、インの畑和宏と競るかたちになっている。そこを差し抜けた松村敏がファイナルへ。レース後の原田はとにかく悔しそうに天を仰いでいた。もし、これが準優なら、差して2着でも優出となる。しかし、ここは1着勝負。差したら届かないのではないか、という思いが脳裏に浮かび、ならば自力で攻めるほうをチョイスしやすい、という部分もあるようだ。

 

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 それが成功したのは、10Rの松田祐季。2コースからのジカまくりでインの魚谷香織を沈めている。松田の近況はもともと2コースまくりも多く、この戦法はおおいに予想できるものだったか。また、記念クラスのレーサーにとっては、女子のイン戦はまくって攻めたくなるところがあるようだ。というのも、女子はインのとき、1マーク手前で落とす選手が多いという。その瞬間に握るという攻めが決まりやすいわけである。昨日の一般戦で笠原亮がまくりで1着を獲っているが、そのときの1コースも魚谷。まくり差しタイプの笠原が豪快にまくったのは、単に足や隊形の問題ではなかったのかもしれない。

 

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 11Rも女子がインコース。いや、スタート展示では井口佳典がインを奪っていたが、本番では1号艇の今井美亜がインを死守した。そして逃げ切り! 一緒に見ていた鎌田が、西川は攻める気マンマンだろうけど、井口がまくって行ったら、差しが一瞬遅れやすくなる、などと解説をしてくれていたのだが、今井は強烈なスタートを決めて逃げ切り! レース後にスリット写真を見た井口が「あれは無理だわ」と舌を巻いていた。また、平高奈菜が今井の手を掲げて「イェーイ」と西川昌希に見せつけた(笑)。西川は「めっちゃ悔しい!」と何度も繰り返していた。ともあれ、美亜ちゃん、お見事!

 

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 ラスト12Rは峰竜太が1着。鎌田の「SG準優の顔になっとる」との言葉が、このレースの峰、服部幸男、森高一真の表情からありありとうかがえた。で、この時点でセミファイナル2着グループでは、赤坂俊輔がトーナメント1着でトップ。12Rで峰-深谷知博のワンツーなら抽選、どちらかが連を外せば、赤坂がファイナル行きという、相手待ちの状態になっている。西川は「待てるだけいいっすよ」と相変わらず悔しがっていたが(笑)、赤坂は微妙な表情で、レースを眺めているのだった。結果、トーナメント2着の服部がここも2着で、赤坂がファイナル当選。松田祐季がパチパチパチと赤坂に拍手を送っているのだった。

 それにしても、その12Rをピットで生観戦する選手がなんと多かったことか! まるでSG優勝戦のように……は大袈裟だが、単なる準優勝戦、単なる12Rよりは明らかに、レースを注視している選手の姿がピットに多く見られた。カマギーによると、今節は控室などでも選手たちがレースにかなり注目して、しっかりと見ているという。選手たちも、このバトルトーナメントをかなり楽しんでいるのだ。そして「選手がしっかり見るレースってのは、面白いレースってことや」(鎌田)。初日、2日目のトーナメント戦は、ファンも選手もおおいに面白がることができた、素敵なレースだったのだ!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)