さあ、SGの季節がやってきた。しかも、第1弾のクラシックは我がホームプールの平和島。ここで大儲けせず、どこで稼ぐ??ってなもんであります。
とはいえ、今季の平和島モーターはドングリというか中流社会というか、スリットから「おおっ!!」と唸るような怪物級が見当たらない。前季は「グランプリで53号機&70号機を誰がゲットするか??」でドキドキしたものだが、今日はそんなトキメキがないままモーター抽選会場へと向かった。ちなみに、今月のBB誌で私が記したシルシはこうだ。
◎17号機 ○28号機 ▲75号機 △15、23、41、43、55号機 穴25号機
しっかり過去のレースを観て打ったつもりだが、「どれが節イチになっても不思議じゃないほど拮抗している」が率直な感想でもある。
で、選手たちもまた同じような感触なのだろう。素性のいい15号機=今垣光太郎、75号機=三嶌誠司が飛び出しても、まったくのノーリアクション。ここ数節でエースの地位に上り詰めた28号機を坪井康晴が引き当てたとき、わずかに「おっ」とか「おう」とかいう小さな声が漏れた程度だった。
静かに穏便に淡々と流れてゆく空気を、一気に沸騰させたのが絶好調の大阪勢だ。まずは王者・松井繁が「狙いは39か41やでぇ」とつぶやいて気合パンパンにガラポンを回し、「64」が出ると「お、惜しい!!」。いやいや、ぜんぜん惜しくないですから。さらに、その64号機の2連率が35%だと知るや、にんまり笑って隣の田中信一郎に話しかけた。
松井「どや、持ってる?」
信「持ってる持ってる、そら持ってるわぁ」
松井「せやろ、わるないわるない、持ってる!」
こう叫んで、ガッツポーズまで繰り出す王者であった。うーん、私の見立ては数字どおり、ガッツポーズにはほど遠いエンジンなんだけどなぁ(笑)。
さてさて、その大阪勢の抽選は最後のほうだったのだが、ずーっと出渋っているのが私の◎17号機だ。松井、信一郎に続いて、湯川浩司がガラポンの前に立つ。ガラガラと勢いよく回しながら、眼前の選手班長・角谷健吾に「まだある? まだある? まだある?」と食いついた。苦笑しつつスミケンが小さく頷いた直後に、それは出た。
「じゅうなな」
会場に小さなどよめきが走る。その声にくるくると周辺を見渡した湯川は、「ほんまに? ほんまに? うそやな、わかってますがな、絶対にあかんヤツでしょ」と言ってから、機歴表をチェックした。そして一言。
「わるないっ!!」
わるないどころか、私のグリグリ◎&バトルトーナメント今井美亜アウト一撃まくり差しVモーターでっせ~!
「うん、わるないわるない、これなら行けるでぇ!」
隣で弟弟子を嬉しそうに持ち上げていた信一郎、それからやっと自分が引いた62号機の素性を見て、「あっかん、28パーやんけーー!!」
一連の流れがまさに上方漫才のようで「ここ、住之江だったっけ?」と錯覚してしまったが、このムードはそのまま大阪支部の勢いを反映しているのだろう。王者、石野、信一郎……日替わり定食のように記念戦線を勝ちまくっている大阪勢。今節は、湯川17号機が美味しいオカズになりそうだな。
平和島の注目機
★★★17号機=湯川浩司
★★★28号機=坪井康晴
★★75号機=三嶌誠司
★★15号機=今垣光太郎
★★55号機=守田俊介
★41号機=池田浩二
★23号機=遠藤エミ
★43号機=川野芽唯
(photos/シギー中尾、text/畠山)