BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――1Rに感動!

 

 

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 1R、焦点はもちろん西島義則と熊谷直樹の先頭争いだったわけだが、1周2マークの3着争いも熱かった。森脇徹が先行していたその内に、日高逸子と濱村芳宏が切り返しをはかり、森脇が一瞬バランスを崩したこともあって、日高の先マイが届いている。森脇がやや遅れ気味の差しになったところに、最内を回ろうとした濱村の軌道が交錯。両者は接触している。2マークの真ん前で観戦していたから、その迫力にはうおっと声が出た。そして、これがボートレースだ!と思った。マスターズはそういう場面をたくさん見せてくれるから最高だ。

 

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 もちろん、レース後の彼らに遺恨はない。濱村が森脇に頭を下げに行くと、森脇も右手をあげて返礼。その後は肩を並べて整備室へと向かっており、ふたりの顔には笑みも漏れていた。彼らもそれが危険な航法だとは思っていないし、こういうことがあるのがボートレースだということを熟知している。それを見て感動したデヴがいたことは知らないだろうが、水上の格闘技と言われた時代を支えてきた匠たちは、それがファンに何かを伝えるということは知っているはずだ。

 

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 この1Rは、進入もエキサイティングだった。鈴木幸夫がピット離れよく飛び出して、インを奪ったのだ。4号艇に西島義則もいて、当然この人も動く。内水域が2→4と並んだだけで、やはり胸が熱くなる。さらに、森脇、熊谷直樹もスキを見逃さない。日高を締め出すように3コース、4コースを獲る。日高は結局5コースとなった。おおお、と一声うなって、これがボートレースだ!と思った。枠なりのほうが少なかった時代を戦い抜いた彼らは、進入の醍醐味もたくさん見せてくれる。

 

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 こちらももちろん、遺恨など残るはずがない。鈴木と日高はなんだか楽しそうにレースを振り返り合っていたし、そこに熊谷も絡んで、カポック脱ぎ場は笑顔の花が咲いていた。日高と熊谷は同期ですね。鈴木が去ったあとのツーショットでも、仲よくレースを語り合っていた。微笑ましい光景であった。

 初っ端から素晴らしい戦いを目の当たりにして、実に爽快な気分です。舟券は外れても……本命の熊谷がバック先頭に立ってデキたと思ったのに抜かれても……グスン……まったくもって納得です! マスターズは年々その表情を変えてきて、今後はさらに変わる可能性が高いわけだが、しかしこうしたボートレースらしい戦いを見せてくれる場であってほしい。いや、きっとそうなるはずだ。僕はこういうレースにこそ金を張りたくなる。舟券購買意欲が高まる。ボートレースらしいボートレースの舟券を買いたくならなければおかしいのだ。

 

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 さてさて、56期同期のほかに、57期同期の絡みも見かけた。小畑実成と長岡茂一だ。ペラを手に立ち止まって、長く会話を交わす二人。情報交換なのか、どちらかのアドバイスだったのかは判然としなかったが、穏やかに、時に真剣な表情にもなって、語り合っていたのだ。その後、小畑と吉田隆義という組み合わせも見かけた。57期には山川美由紀もいるが、山川と同期の絡みはまだ見てないなあ。午後ピットでは注目してみよう。

 50期台以前の選手たちは、僕がピット取材を始めた頃にはSGには少数派となっていた。だから、誰と誰が同期かというのは、実はすぐには浮かばない。小畑と長岡にしても、小畑と吉田にしても、実は登番が近いことを確認して、もしかしたらと調べて納得したものだったりする。だから、「同期じゃん!」の瞬間にちょっと感動したりする。そういう楽しみも実はマスターズにはあったりするのである。今節中に新良瀬尾なんてのも見てみたいな。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)

 

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 野長瀬正孝と作野恒は62期の同期生です。