BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――勝負駆けと6号艇

 

 

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 昨日の午後降り出した雨はすっかりあがり、1R展示の頃にはびわこボートはすっかり晴れ上がった。雲も見えるが、のどかな春の空である。水面際に浮いているブイの上では、亀の親子が日向ぼっこ。そこに春の日差しがさわやかに降り注いでいる。亀も甲羅干ししたくなる陽気だ。

 

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 しかし、亀本勇樹はのんびりと春うららを楽しんでいるわけにはいかない。すでに準優進出戦に進むのはかなり難しい状態、しかも予選最後の1走が6号艇。実に厳しい戦況である。しかし、それでも亀本は水面をブインブインと駆けまわっていた。試運転の手を緩めず、それをふまえての調整も休まず、精力的に動いている。勝負を投げてなどいないのだ。こちらの亀はまさに勝負師! すべての戦いが終わるまで、甲羅干しはお預けなのである。

 

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 7R6号艇で登場する小畑実成は、予選突破は当確。好枠で乗るのに越したことはないが、まあ精神的には余裕があっておかしくないところ。その小畑は、整備室の出入り口脇にあるペラ調整所に陣取って、真剣な表情を見せていた。ピット内にはペラ調整室もあって、こちらを使用する選手が多数派。整備室脇はそれほど多くの選手がいるわけではない。小畑は初日からここの常連。ふと覗き込んだときに、小畑の顔はよく目撃している。その姿勢をどんなことがあっても崩さないわけだ。やはりこちらも勝負師だ! イーグルの後輩たちも総帥の背中を見て、強くなっていくわけである。

 

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 10R6号艇は山一鉄也。今のところは24位圏内だが、今日は大敗が許されない一戦。そこで回ってきたのは6号艇。力が入るところではある。とはいえ、出番は10R。まだたっぷり時間があるので、それほど急ぐ必要もなさそうなものだが、山一もまた早くから動いている。気合を感じさせる雰囲気である。

 昨日、日高逸子が山一を「テッちゃーん」と呼んでいた。鉄ちゃん、ですか。鉄道オタクみたいだ(笑)。こちらの鉄ちゃんは骨太の勝負師だ。6号艇からたくましい勝負駆けを見せてくれるだろう。鉄ちゃんの6コースは一発があるし、5号艇・大嶋一也の動きに連動ってのもあるかも!?

 

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 さてさて、勝負駆け。1Rで倉谷和信が逃げ切って1着。ここまで苦戦を強いられてきたが、やっと初白星が出た。これで得点率は5・50。ボーダーの行方次第だが、準優進出戦行きが見えたと言っていいだろう。

 レース後は、どういうわけか苦笑いが目立った。そして、エンジン吊りに参加していた山田豊を呼び止め、モーターに目をやりながら言葉を投げかけ続けた。まだパワー的に納得がいかないのか、地元の山田にアドバイスを求めたか。びわこは難水面であると同時に、調整も独特で難しいという話もある。合わないときはどうやっても合わないと、烏野賢太が語っていた。そこで倉谷は、びわこを熟知する山田に話を向けたのだろう。今日はたっぷりと時間が残っている。このあとは調整に励む倉谷が見られること必至である。

 

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 2Rは川﨑智幸が快勝。これで6・50まで得点率を引き上げて、これは問題なく進出戦当確の数字である。こちらは、誰もが想像できる、勝利のあとの表情。ニッコニコで仲間とレースを振り返り合っていた。5号艇で迎えた勝負駆け、大敗していれば進出戦アウトだっただけに、最高のかたちでクリアできたことに安堵の思いもあっただろう。若々しく、いい笑顔だった。

 

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 その川崎に、今村暢孝が話しかけて笑顔を見せる。ノブさんは1Rで6着。1マークで大きく振り込んで後退したものだ。レース直後のノブさんは、憮然とした表情。先輩の田頭実や後輩の藤丸光一も少し神妙な表情になるほど、表情がカタかった。不本意すぎる大敗だから当然だ。

 それでも、30分ほど後には柔らかな表情に戻って川﨑の勝利を祝福したという次第。7Rで1着を獲っても5・00と相手待ちになりそうな得点状況だが、次は自分の勝利で笑えるよう、全力で勝負駆けに臨むだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)