尼崎のモーターは、４月末の初下ろしから全４節。各モーターとも２、３節を消化しただけとあって、確たる評価は難しい。が、選手間ではそれなりの相場が生じているらしく、「７がいい」「伸びは26」など各所で好みの数字が囁かれていた。私の勝手な評価としては、11号機が節イチ候補。初下ろしシリーズのB1照屋厚仁が半端ないレース足で優出（６着）、続くB1豊田聡も221214413と随所にパワーの違いを見せつけた。
「11を引くのは、誰？」
内心、これを最大のテーマに抽選会を見守る。ガラポンが進んで、徐々に評判機が売れてゆく。伸びる26号機は坪井康晴、出足系統が強そうな62号機が下條雄太郎、ＧＷ開催で芝田浩治が優勝した４号機は中島孝平……が、肝心要の11号機はなかなか出ない。
じらしにじらして残り５人になったとき、服部幸男の回したガラポンからそれは飛び出した。
「うぉーーー!!
「出た――!!!!」
「おおっ!!」
えっ、と驚くほどの大歓声。心待ちにしていたの私だけでなく、ほぼすべての選手が11号機の行方を気にしていたのだ。で、引き当てた服部はにんまり笑ってガッツポーズ。
「な、有言実行だろ」
と静岡勢に力強く言い放った。おそらく、「11を引く」と宣言していたのだろう。席に戻ってからも、静岡総帥の笑顔はとどまることなく「今節の幸男はやらかしそうだ」というオーラをぷんぷん漂わせていた。
あと、個人的に応援している西島義則は、そこそこ動いている41号機。３年ぶりのＳＧで、それなりに暴れることができそうだ。我が将棋の師匠・白井英治は、字面だけは派手な１号機。引いた瞬間、「お、１だよ、イチ！」とはしゃいで弟子の元に駆けつけたが、２連率23％と聞いた瞬間、「ダメじゃん、終わりじゃーん」と頭を抱えた。いやいや、まだ素性の浅い面々ですから、諦めないでください、師匠！
尼崎の注目モーター
★★★11号機…服部幸男
★★26号機…坪井康晴
★★７号機…太田和美
★８号機…平高奈菜
★62号機…下條雄太郎
★46号機…辻 栄蔵
（photos/シギー中尾、text/畠山）
