BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――1便2便

 

 

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 帰宿バスの1便出発は10R終了後。11~12R出走選手はもちろん乗れないとして、これに乗るか、乗らないで居残るかは選手それぞれ。で、ここでは「別に乗れるのに、居残って調整」の選手を称えるようなことを書いているわけだが、もちろん1便に乗る選手が怠けているわけではない。なぜ1便と2便があるかといえば、バスの乗員人数の関係で、52名全員が一度に移動できないから、という理由もあったりする(つまり宿舎からレース場に向かうバスも1便と2便がある場合がある)。そのほかにもさまざまな理由があるわけで、むしろ1便に乗れるのであれば乗ったほうがいい場合もあるわけだ。レース場によっては、1便の人数が少ないと帰れる選手に1便帰宿を促していたりもする。若手はいわゆる新兵作業もあるので居残る場合が多いが(今日も登番がもっとも若い中田竜太や小野生奈は残っている)、若手であってもそうした状況によって11~12Rを走る先輩に頭を下げて先に帰ったりもしているわけだ。

 

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 今日は10Rに選手班長の魚谷智之が出走していたため、吉川元浩が1便バスに乗る選手をまとめていたようだった。吉川がやはり10Rを走った松井繁に声をかける。10R出走選手は、大急ぎでモーター格納を済ませて飛び乗る選手と、無理せずに2便を選ぶ選手に分かれる。松井は「もし帰らなくてもええんなら、帰りたくないねん」と返した。吉川は了解とばかりにうなずいたのだが、松井はさらに「でも、1便で帰るとは言うてあんねん」と続けた。松井はもともと1便組、だからそれに従うけど、もし調整が可能であるなら変更したい、というわけだ。ともあれ松井は整備室に走り、急いで格納を済ませて、走って控室へと戻っている。王者は果たして1便で帰ったのか。えー、11Rのエンジン吊りに王者は出てきて、その後ペラ調整室に向かった旨、お伝えしておきます。“残業”を希望して、認められたという次第。こういうこともあるわけである。

 

 

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 見ていると、年長組が1便で帰ることが多いように思う。まあ、年功序列という部分もあるだろうか。松井も本来はそちらだし、今村豊や西島義則らベテランはやはり11Rのエンジン吊りで姿は見ない。11Rには白井英治が出走しているが、そういうのはあまり関係ないようだ。先輩が「先に帰るから」、後輩が「お先に失礼します」と11~12R出走選手に声をかけて帰っていく様子も見かけたりする。今村もおそらく控室などで白井に声をかけているだろう。12Rに菊地孝平が出走しているが、服部幸男は1便組だったし(笠原亮は残ってました)、同じレースに瓜生正義が出走しているが、岡崎恭裕も1便で帰ったようだった。それはごく普通のことなのだ。

 

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 ベテラン組で1便に乗らなかったのは、日高逸子。常に最後まで調整やボート磨きなどをキビキビとこなしているグレートマザーだから、さもありなんという気がする。今日の日高は11R~12Rの間にゲージ擦りに勤しんでいた。もちろんエンジン吊りでも大活躍。日高に限らず、女子選手はほとんどが1便には乗っていないっすね。小野や遠藤エミはいわゆる新兵だし、若手が多いから当然か。1便で帰っているのは寺田千恵くらいで、寺田もかつては最後まで残ることも多かったようだが、帰れるときには帰ることも重要という感じのようである。

 

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 ちなみに、11Rと12Rのエンジン吊りは、残っている選手がほぼ総出となっている。支部や地区も関係なく、手薄な陣営にヘルプに向かう。関東勢があまり残っていなかった今日は、選手班長の魚谷智之が桐生順平のエンジン吊りに加わっていた。こうした光景は終盤レースのよくある光景だ。

 

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 そんな終盤レースで、ひときわ表情がよかったのは、11Rを快勝した平本真之だ。5コースからのまくり差しで桐生順平のイン戦を撃破。充実感いっぱいの顔つきになって当然である。3着に入った太田和美にも称賛されて、さらに平本の顔が力強くなる。敗れたときは悔しさを隠そうともしない平本、勝ったときにもまた胸の内が素直に雰囲気にあらわれるわけである。で、その平本を出迎えたのは池田浩二だ。池田も1便では帰らず、残っていたのだった。池田も後輩の勝利を嬉しそうに眺めていたぞ。池田は予選突破はかなり厳しいが、次は笑顔の平本に出迎えられる場面を見せてほしい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)