さあ、SGの中のSG、グラチャンのはじまりだ! まだ5節しか消化していない蒲郡モーターだが、モンスター級と噂される超抜機が1機出現している。高橋アナをして「この数字を覚えておいてください」と言わしめた35号機だ。とにかく凄まじかったのが3節前の金子龍介。「勝って当たり前の強豪選手じゃん」という異論もあるだろうが、この節の金子はすでにフライング持ち。スタートはコンマ20前後でそっと置きに行く感じだった。ところが、そこから伸びる伸びる伸びる。強烈な伸び返しで1マークまでに1艇身ほど突き抜け、自由自在にピンを量産したのだ。優出インタビューは、金子以外の選手が「1艇だけモノが違う」「金子選手を除けば上位」「ひとりだけ別格すぎ。5艇立てで、2着なら優勝のようなもの」と異口同音に怪物35号機を高く評価した。この35号機、前節の三好勇人はやや爆発力に欠ける印象もあったが、ゾーンにハマれば他を圧することだろう。
というわけで、モーター抽選会の話題もやはり35号機一色。地元の赤岩善生は場に入った段階から「35が欲しい」と漏らし、地元記者の「横綱」も35が独占した。そして、この不動のエース機をゲットしたのは……22番目にガラポンを回した重成一人! もちろん、選手班長の仲口博崇がこの数字を読み上げた瞬間、場内に歓声とも嘆声ともつかぬどよめきが沸き上がった。で、選手たちの熱い視線を浴びた重成はといえば、意外にも「??」な顔。それから同期の平田忠則に「エースだ」と指摘されて「マジ?」と顔がほころび、さらに自席に戻って森高一真らと顔を合わせた瞬間、破顔一笑、喜びが爆発した。でもって、その直後にはギュギュッと引き締まった勝負師の顔へ……元々がクールなタイプだが、前検日にして本気のVモードに突入したとも言えるだろう。
一方、この重成=35でガックリ肩を落としたのが、地元の池田浩二だ。池田のガラポンは23番目。つまり、直前で大魚を釣られてしまった。呆然自失の顔で「前? 前?」と叫び、なんとか現実を受け止めようとする池田。当然、ガラポンを回す手にも勢いが感じられなかったが、ポトリと落ちた球は65番。準エース級の評価を得ているモーターで、池田は俄然息を吹き返したのだった。同じく地元で35を渇望していた赤岩も、下馬評の高い59号機でなんとか帳尻を合わせた(?)。
さてさて、今節の一大ハイライトといえば、田村隆信&市橋卓士=鳴門ITコンビのオーシャンアタックだ。新型エンジンは「ワーストを引いた瞬間にほぼアウト」という傾向が強いだけに、まさに今日のモーター抽選からメイチ勝負駆け。それぞれが引き当てたモーターは……
★田村隆信=23号機(38%、地元記者の直前評価/出〇伸〇回〇)
★市橋卓士=18号機(44%、地元記者の直前評価/出◎伸○回○)
数字的にはともに水準レベルを上回っており、まずは一安心。35や65に見劣る部分は、気持ちで補ってくれるだろう。
蒲郡の注目モーター
★★★35号機(75%)…重成一人
★★65号機(46%)…池田浩二
★★58号機(52%)…中野次郎
★16号機(50%)…今村 豊
★48号機(57%)…坪井康晴
★59号機(42%)…赤岩善生
(photos/シギー中尾、text/畠山)