BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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蒲郡グラチャン『前検を斬る!!』

 蒲郡グラチャンの前検が終わりました。まず、何はともあれ“断然エース”重成35号機の気配から。私個人としても初下ろし節から注目してきたモーターなので、スタート特訓に全神経を集中しました。結果は……?

 

■重成一人=35号機

 

 

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 第4班の特訓では重成だけにロックオンし、他艇をほとんど視界から消した。そのため、比較論としての番付評価は不可能だ。一方、だからこそ鮮明に見えてきた部分もある。

1本目…6コースから豪快にかっ飛ばし、いわゆる非常識なF。明らかに早起こしのFだと思うが、35号機のパワーがそれを助長した感もあった。迫力満点の伸び足。

2本目…スロー3コースから、一転してスタートを合わせに行った。かなり慎重な起こしから、スリットの手前で上体を起こしてレバーもアジャストしたムード。それでもグググイッと伸びて、これまた非常識っぽいFになってしまった。これは大いに検証する価値がある。私の勝手な推理はこうだ。

「1本目はスピードの乗り、体感を重視して握りっぱ。伸びは上々だったが、想定以上にはみ出した。このままでは明日が不安なので、2本目はスタート勘の補正に重きを置いた。そして、自分なりに合わせたつもりだったが、出足~行き足が強すぎてまたまた極端にはみ出した」

 私の推理が正しければ、この時点で「超抜」と決めつけることができる。が、単純に重成のスタート勘が狂っていた可能性もある(私の脳内スピードガンはポンコツなのです)。

3本目…ここが試金石。5コースダッシュに構えた重成は、さらに起こしを慎重にして発進した。おそらく、スリットまでほぼ握りっぱ。そして、コンマ04の完璧なスタートを決めた。観測者にとっても、絶好のシチュエーションだ。やや視野を広げて「さて、ここからどこまで伸びるか、千切るか!?」と見守っていたら、あまり見慣れない光景に出くわした。スリットからわずか20mほどを走った時点で、重成が急に上体を起こして左方向に顔を向けたのだ。もちろん、その時点でスピードはガクンと落ち、他艇との比較はまったくできなかった。私の推理②はこうだ。

「2本目でも想定をはるかに超えるFをやらかした重成は、ますます明日の実戦が不安になった。で、1、2本目の感覚を元に大幅修正し、『この起こしなら、ほぼ全速でも入るだろう』という地点から発進した。もはやチェックすべきはエンジンの良否云々ではなく、スタートの届き方、入れ方。だから、スリット直後に大型ビジョンのスリット写真を凝視した」

 この推理が、もっともありえそうな心理の流れだと思うのだが、どうだろう。そして、重成はコンマ04のスリットを見て、何を思ったか……気になるところではある。とにかく、私はこの推理が正しいと思うので、イコール重成35号機を超抜と認定する。SSの節イチ候補だ。

 

 重成だけで、かなりの字数を割いてしまいました。他に良く見えたパワーを列挙しておきましょう。

 

S級(抜群候補)

 

★★深川真二=71号機

 

 

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 最近のSGでは深川=伸び型というイメージが強いのだが、今節もそのパターンか。ダッシュでの伸びがかなり強力に見えた。しかも、スローでも起こし~行き足がスムースで、「伸び主体に全部が強めのバランス型」が私の見立てだ。つまり、抜群レベル。深川がこのパラメーターをどう変化させてゆくか、大いに注目したい。

 

★★坪井康晴=48号機

 

 

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「坪井のエンジン出しが凄い」という先入観がそうさせるのか? 今節の前検でもムムムと唸らせた。すべての特訓が出色というわけではなく、3本目の3コース。起こし~行き足~スリット後の伸びの連繋が実にスムースで、特にスリット付近の行き足が素晴らしかった。元から素性のいいエンジンだけに、明日以降の成長も楽しみだ。

 

A級(上位候補)

 

★池田浩二=65号機

 

 

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 素性のいいエンジンが揃ったドリーム班(1~4号艇)で、スリット付近の行き足がゴキゲンに見えた。最近、SGではモーター運が悪い池田だけに、プラスαで良く見えた可能性がある。が、十分に勝ち負けレベルであることは疑いようもなく、力量+地元の利を加味すればV候補の筆頭格と言えるだろう。

 

★濱野谷憲吾=11号機

 

 

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 例によって56kg発進の憲吾。正直、特訓ではまったく期待していなかったのだが、どうして、スリット付近の行き足はかなりゴキゲンに見えたぞ。ターン回り含め、現状でもしっかり着を拾えそうな安定感もあるし、あと3キロほど減量すれば破壊力も増幅するだろう。憲吾よ、水面の前にサウナでの奮闘を祈る!

 

★岡崎恭裕=51号機

 

 

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 最近のリズム&レースっぷりそのままに、スローでもダッシュでも半艇身ほど覗くような軽快さがあった。ピンポイントで見ていたわけではないので、やや早起こし=加速アップの可能性もあるのだが、3本ともに快ショット(01・07・07)なのだから文句はないだろう。本番でも同じSが行ければ、それだけで今の岡Pは一大脅威だ。

 

 以上の6選手をピックアップしておきます。そして、今節はオーシャンカップ勝負駆けのこのふたりも要チェック!

 

■田村隆信=23号機

 

 

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 うーーん、正味の足は上記の6人より劣っていそうな……が、この男には不屈の根性がある。今日の特訓は1、2本目が気合パンパンのフライング。そして、3本目はインに潜り込んで、ただひとりだけズブズブに深い85m起こし!! さらにスリット全速で+01のほぼほぼタッチS!!! 明日の田村は6号艇の一発勝負。この3本目は申し分のないリハーサルだったとお伝えしておきます。

 

■市橋卓士=18号機

 

 

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 うーーん、実は田村と同班で、ついつい田村ばかり見ていたもので、正味の足は特定できません! ただ、視界の隅っこで見ていた限り、ずり下がるようなヤバサはまったく感じなかった。期待も含めて「十分に戦える足」とお伝えしておきます!

 

 前検タイムです。

 

前検時計TOP10

①赤岩善生 6.60

②山崎智也 6.61

③深川真二 6.63

④重成一人 6.64

⑤白井英治 6.65

 山田雄太

 下條雄太郎

⑧松井 繁 6.66

 井口佳典

 丸岡正典

 

 

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 赤岩と智也、番付からは漏れましたが、確かにいい感じに見えましたよ。でも、いざ実戦になったら重成の行き足が上回りますよ(キッパリ!)

 

前検ワースト4

①前田将太 6.82

②中島孝平 6.76

 田村隆信

 西山貴浩

 

 抜けて遅い前田も心配ですが、ここに田村の名があるのはちょっと哀しいかも……でも、あの男には不屈の根性がっっ!!!!(photos/シギー中尾、text/畠山)