BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――初日後半の風景

●本音やいかに……

 

 

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「た~のしーーーっ!」

 ニッコリ笑って言うのである、峰竜太が。3コースからまくって突き抜けたかと思いきや、岡崎恭裕がとんでもなく狭いところを差してきた。装着場のモニターで見ていた平高奈菜が驚愕の声をあげたほどの岡崎のまくり差し。相手が盟友だからこそ、2マークで捌かれたのが悔しいはず。ピットに戻って岡崎と顔を合わせたときも、少し顔が引きつっているように見えたのだが……。

 楽しいっすか! 盟友とのデッドヒートが。たしかに、1マークはお互いに満点の攻撃であった。2マークは握るか差すかの駆け引きを繰り広げつつの熱戦。極限のスピードのなかで旋回の技術と駆け引きの妙を競い合う。それが可能な盟友が相手だったからこそ、充実感も生まれたということか。一昨年のチャレンジカップで茅原悠紀と毒島誠が2番手争いで大激戦を繰り広げたことがあった。レース後、桐生順平が「楽しそうでしたねえ。僕も加わりたかった」と言っていたとか。ニュージェネのスピード戦というのは、きっとそういうものなのだろう。

 実際は、峰に悔しさがないはずがないと思う。悔しさを隠すために「た~のしーっ!」のほうを表に出した可能性はかなり高いはずだ。次に似たような局面となったとき、峰がどんなレースを見せるか。またレース後にどんな顔つきになるか。楽しみになってきた。

 

●やっぱり「いつも通り!」

 

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 昨日お伝えした赤岩善生の「本体バラし」。10R3着後に聞いてみたら、やっぱり「いつも通りのこと」だった。「数字があるモーターとか関係ない。ひと通り見てみたかったから、割った。いつも通りだよね」。だからもちろん、大きな整備をしたわけではなく、いわゆる点検作業だ。赤岩は赤岩スタイルを貫いただけである。

 レースを見る限り、気配はかなり良さそうだ。赤岩はすぐに作業に戻っていったので多くは聞けなかったが、口調はかなり軽快で、気分上々の様子だったから、手応えはそれなりにあるのではないか。1着3着とまずは悪くない初日の成績だったが、それでも赤岩はやることを変えるわけではない。明日からも、いや10R後すでに、いつも通りのスタイルで戦っていくのだ。

 

●三人娘

 

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 今節、女子選手が3人参戦している。寺田千恵、大瀧明日香、平高奈菜。大瀧はSG初出場だ。

 その大瀧が、11R発売中まで試運転に励んでいた。それを水面際で見守る寺田と平高。大瀧が試運転を終えるのを待っているのだ。エンジン吊りをヘルプするためだ。女子選手が試運転をしているとき、他の女子選手が水面際で待機するというシーンは、SGではよく見かけるもの。レース後のエンジン吊りも、同地区の選手が出走していなければ、女子は女子のエンジン吊りに参加するケースが多い。猛者ばかりが集うSGにおいて、常に少数派の女子選手は地区を超えて協力し合う。女子選手の代表としてSGに出ているという感覚もあるだろうから、仲間意識も高まるのだろう。

 

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 ただし、SGでのそういうノリを大瀧は初めて体験する。試運転を終えると、やはり寺田と平高が駆け寄ってボートを運び、エンジン吊りが始まった(見つけた石渡鉄兵も参戦していました)。外したモーターを整備室に運び込むのは平高。艇旗と艇番を所定の位置に戻しに行くのは寺田。ところが大瀧は、大先輩(しかも他地区の)がそれをしようとするのに対してめちゃくちゃ恐縮。寺田から奪い取ろうとする。寺田は、いいから着替えてきなさいよ、とばかりにそれを阻止。大瀧はさらに恐縮、という図が出来上がっていた。

 寺田はSGに女子単独参戦という経験を数多くしている。女子がSGで戦う厳しさを誰よりも知っているのだ。こうして女子選手がSGに増えることは、寺田にとっても喜ばしいこと。後輩だろうが他地区だろうが、サポートできることは積極的にするわけである。そんな空気を体験して、大瀧が何を感じ取るだろう。間違いなくそれは大瀧をさらに一回り大きくするはずだ。

 

●テラショースタイル!

 

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 頭上で手を叩いて指をピッ。そして無言で去る。開会式で寺田祥が見せた謎のパフォーマンスだ。僕は不明にして知らなかったのだが、最近は定番になってるらしいですね。選手紹介記事を書いた畠山が知りたがっているようなので、恩を売るべく、テラショー本人に直撃してみました。

 思い返せば、もともとテラショーは選手紹介で多くを語るほうではない。だったら何も言わないという手があるのではないか。そんな発想から生まれたパフォーマンスのようだ。これは新しい! もちろんマイクを素通りというわけにもいかないから、頭上で手を叩いたりとポーズを見せる。これ、いくつかパターンがあるそうです。今日見せたのはそのひとつ。次の開会式ではまた別のポーズを見せてくれるのだろう。

 言葉で意気込みをあらわにするのがもちろん開会式の定石だが、身振りでファンを楽しませようとするのも当然アリ! ということで、「これが寺田祥だ! と煽ってもいいっすか?」と聞いたら、テラショーは笑っていた。というわけで、選手紹介のニューパターン、テラショースタイルと認定させていただきます!

 今後1年はこれでいく、とのことなので、その間にたくさんSGに出てほしいなあ。あ、GⅠの開会式もJLCで見逃さないようにしよう。来月のメモリアルにも出場予定。初日は朝からテラショーを要チェックだ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)