BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門オーシャン 準優ダイジェスト

伸びーーる1号艇

 

10R

①丸岡正典(大阪) 07

②池田浩二(愛知) 05

③寺田 祥(山口) 02

④下條雄太郎(長崎)07

⑤篠崎元志(福岡) 10

⑥坪井康晴(静岡) 08

 

 

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 寺田祥が颯爽と舳先を翻した瞬間、超超満員の鳴門スタンドがドッと沸いた。渾身の勝負手だ。丸岡の頭から買っている私も、ギャッと叫ぶ。予想で「寺ショーが3カドゼロ台全速でもしない限り、丸岡をまくりきるだけのパワーは見当たりません」などと書いたが、マジで艇を引くとは思っていなかった。寺田はスタートも踏み込んだ。コンマ02!! 全速だったかどうかはともかく、今日の寺ショーは実に男前だった。

 

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 だがしかし、その渾身の勝負手は丸岡には届かない。内の池田がやんわりと艇を寄せて3カドの勢いを消し、それから俊敏な差しハンドルを入れた。なんという老獪なターン。やや気勢を削がれた寺田の握りマイは、丸岡に弾かれる形で外に流れた。あとは、逃げる丸岡と差した池田の一騎打ち。バック直線の伸び比べは、明らかに丸岡が強かった。2マークの手前で3艇身近い大差となり、それで1、2着の順位もほぼ確定した。

1着・丸岡、2着・池田。

 今日のバック直線を見てわかるように、ストレート系は雲泥の差だった。前検トップ時計の勢いそのままに、丸岡の伸びは強烈の一語。前検を見て「やや後伸びかも」と記したが、今日はスリットからの行き足も強めだった。ただ、「行き足より伸び寄り」という私の評価は変わっておらず、たとえば80m起こしなどの深いイン戦になった場合は不安が残る。しっかり助走距離をキープしてスリットを通過できれば、その後の伸び返しは文句なし。もちろん、明日の丸ちゃんがさらに手前に寄せる整備をする可能性もあり、そのあたりはしっかりチェックしておきたい。

 

 

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 池田の足は、ぴったり中堅上位か。悪くはないが、突き抜けるほどではない。このやや平凡な足でファイナルまで上り詰めたのは、「さすが!」と絶賛するしかない。昨日はスタート勝負で石野を封じ、今日は曲線的な差しハンドルで3カドの勢いを封じた。玄人をうならせるような渋い勝負手の連発。ただ、スリット同体の4カドから自力でまくりきるだけの伸びはない。明日はそこを求めて調整するか、逆に回り足などの出足系を強化して他力Vを狙うか。ストレート系には限界がありそうで、私は後者を選択するような気がするな。3号艇が、「あの選手」だから。

 

節イチと凡機

 

11R

①井口佳典(三重)25

②辻 栄蔵(広島)22

③毒島 誠(群馬)18

④中野次郎(東京)15

⑤石野貴之(大阪)14

⑥篠崎仁志(福岡)15

 

 

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 ここは、プチ私的回顧っすか。石野がやってくれた。5コースから伸びなりのまくり差し。正直、展開の利も大きかった。井口と辻が凹んで、辻がエイヤッの強ツケマイ。その引き波で井口が失速したところに、今度は毒島の峻烈なまくり差し。辻があさっての方向に流れたから、水面のど真ん中がぽっかり空いていた。石野のために用意されたような絶好の展開だった。もちろん、スリットから早々に中野を叩き、全速でぶん回した石野の立ち回りも見事。選手の力量、パワー、展開がすべて噛み合っての1着だった。

1着・石野、2着・毒島。

 

 

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  私が思うに石野73号機は、スロー発進時の行き足が最大の武器で、その先の伸びはたとえば丸岡よりはやや劣る。今日も特訓&実戦の感想としては、ダッシュ時の伸びがちょっぴり物足りない気がした。ほんのちょっぴりではあるのだが……。昨日の後半からチルト0度(それまでは-0・5)に変えた石野が、明日はどうするか。枠なり3コース想定なら一昨日までのセッティングに戻し、回転を合わせきれば十分に勝ち負けになる。それだけの行き足があると確信している。ただ、外から動きそうな選手もいて、4カドや自力の3カド!という戦術もありえる。「出足~行き足」か「行き足~伸び」かちょいと悩ましい3号艇で、おそらく石野は腹を決めてセッティングする気がするな。どちらにしても73号機の底力を信じて、悔いのない勝負をしてもらいたい。

 

 

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 2着の毒島は……あっぱれ、の一語。池田が「さすが」で毒島は「あっぱれ」だ。節間を通じて、毒島のパワーは中堅の域を出たことはない。伸びを求めれば回り足がスカタンになり、出足系を強化すれば今日のようにストレートが売り切れる。つまり、底力がはっきり足りない。池田より全部の足が弱いかもしれない。そんな劣勢パワーとともに、2日日から捌いて捌いて捌きまくって予選を突破した。そして今日は、「優出にはこれっきゃない!」というまくり差しで先頭に立った。タイミング、スピードともに素晴らしいターンだった。でもって、石野に一瞬に抜き去られたのは、残酷なまでのパワー差と言うしかない。うん、よくぞ2着を獲りきった、と思う。

 

 

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 池田は己のテクの限りを尽くし、毒島は非力なパワーをスピードと決断力で補いきった。明日の5号艇は、さらに険しい勝負になるだろう。自力駆けはもちろん、展開すら求めるのが難しいレースになる可能性は高い。それでも、「ブスはいらん!」と斬り捨てられないのだよ。機力を超えた意外性、そして、時にパワーを一変させる独創的な整備力(ピット離れ含む)……明日も揺るぎなく、目を光らせるとしよう。

 

日は何度も昇る。

 

12R  並び順

①峰 竜太(佐賀) +04

⑥田中信一郎(大阪)+04

②菊地孝平(静岡) 06

③新田雄史(三重) 20

④岡崎恭裕(福岡) 17

⑤赤岩善生(愛知) 23

 

 

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 さて……何を書こう。私個人の話としては、今節の3日目あたりから「峰VS石野」の優勝戦ばかり妄想し続けたのだが、その夢は叶わなかった。生き残ったのが石野、散ったのが峰、という意外すぎる結末だった。残念でならない。

 

 

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峰(信一郎も)の残念無念は、そんな私の比ではないだろう。わかるのはその程度で、あとはもう書くべき言葉が見当たらない。とりわけ、峰に関しては。「今度こそ」という期待も書き飽きたし、「またしても」という現実も書き飽きた。今日の極端なハミ出しを批難するつもりも、肩入れするつもりもない。もう、過ぎてしまったこと。明日から、また新たな挑戦がはじまるだけでしょ。だから、今日も書く。

 早いとこ獲っちまえ、峰リュー!!

 

 

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1着・新田、2着・岡崎。

 新田の足は全部の足が強めのバランス型で、今日も4コースからズバッと差し抜けて2番手(恵まれ1着)を獲りきった。実に力強い。日によってストレート系に強弱がありそうなのは、調整なのか気象の影響なのか……わからないが、とにかく大崩れしない安定感は魅力だな。明日は2、3コースからの勝負になりそうで、丸岡を攻める前に「石野の猛攻をどう受け止めるか」が鍵になりそうな気がする。明日の行き足~伸びがどの程度か、スタート特訓や試運転などでしっかりチェックしたい。

 

 

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 こと進入に関して言えば、明日の最大のキーマンは岡崎だ。先にも書いたが「優勝して自力でメモリアルに参戦する!」という壮大な構想(?)まであと一歩。6コースが遠いとするなら、十分に動く可能性がある。逆に、「アウトから全速のまくり差しでカッチョ良く優勝してやる!」なんて考えてるかもしれないし。さあ、どっちに転ぶか。前者なら、毒島あたりも抵抗してグッチャグチャ進入もありえる。後者なら、おそらく全員が折り合っての枠なり3対3。丸岡や石野の自力パワーも、その選択によって噴火度合が大きく変わりそうな気がするし……。明日のスタート特訓は絶対に見逃せないな。岡崎自身の足は、「回り足を中心にバランスの取れた上位の下あたり」と勝手に判断している。(photos/シギー中尾、text/畠山)