BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――勝負手は何だ!?

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171221185850j:plain

 峰竜太と話すことができた。一夜明けて、気持ちにある程度の折り合いはついたか、表情はわりとスッキリしていた。「もっと強くなってSGに帰ってきます」との力強い言葉も聞かれた。これまでに、他に類を見ないほど、多くの試練を経験してきた。そのたびに乗り越えてもきた。今の峰なら、この試練も楽々と乗り越えるだろう。ならばやはりこれが最後の試練、僕はそう思う。もちろん悔しいことはたくさんあるだろうけど。

 さすがにグランプリは厳しいだろうと、峰は冷静に分析している。だが、最短で戻ってこられるクラシックには必ず、と決意もしている。いや、決意というほど大げさではないか。今の峰なら、記念Vにせよ一般戦優勝回数にせよ、クリアするのが当然だ。しばらくはこの欄からも姿を消すが、来春にまたその雄姿を記す日を楽しみに待っていよう。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221185903j:plain

 さあ、優勝戦。まず、丸岡正典の表情はやや硬いと見えた。まあ、当たり前だ。SG優勝戦1号艇の経験はこれが2度目。1度目は伝説の名勝負となった08年ダービーだが、そのときは優勝しているとはいえ、8年ぶりに味わう感覚はまた違う。丸岡は昨日の準優1号艇も緊張していたそうで、優勝戦ともなればその度合いは増す。多少の硬さがあるのが自然だし、またそれくらいがちょうどいいようにも思う。見る限り、体の動きを縛るほどの硬さではないとも思うし。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221185916j:plain

 余裕なのは石野貴之。朝特訓の時間帯、唯一モーターの装着をしていなかったのが石野で、結局1Rが終わってもまだボートは裸のままだった。装着場にときどき姿はあらわすので、何もしていないというわけではなさそうだったが、目立った動きは見られず。報道陣と話す際には、童顔をほころばせる様子も見られている。

f:id:boatrace-g-report:20171221185929j:plain

f:id:boatrace-g-report:20171221185942j:plain

 

 新田雄史、池田浩二、毒島誠はプロペラ調整。新田はゲージを擦っているのかチェックしているのかという動きもあって、調整所では原田幸哉や井口佳典に囲まれて叩いているというシーンもあった。そのかたわらには池田もいたな。もしかしたら情報交換もあったかもしれない。石野の足は、昨日誰もが見せつけられ、その威力を思い知らされただろう。枠なりであれば、新田はその内。池田はその外。対処するための方策をそれぞれに考えているはずだ。仲間たちも、何らかのアドバイスを送っていてもおかしくない。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221190007j:plain

 毒島も、その輪に加わるというわけではないけれども、やはり近くでプロペラを叩いていた。もっとも、本格的な調整というわけでもなさそうで、装着場などでも姿を何度か見ている。1Rで水神祭を果たした大瀧明日香には、満面の笑みで「おめでとうございます!」と拍手。穏やかに優勝戦の朝を過ごしているようだった。

 

f:id:boatrace-g-report:20171221190026j:plain

 桐生への道・最終章を戦う岡崎恭裕も、いい雰囲気で時間を過ごしている。1R発売中にモーターを装着、調整作業などは徐々に本格化していくことだろう。6号艇という遠い枠だが、もちろん岡崎は1ミリたりとも諦めていない。「本命にしようかな」と振ったら「やめといたほうがいいんじゃないですか」と大笑いしていたが、それは本音ではないだろうし、もちろん狙っている。

 進入もカギになりそうだ。「動いたらコースはたぶん獲れますよね」。僕もそう思う。石野が喜んで入れて、カドに引くからだ。しかし、これでは石野の思うツボ。ならば6コースから展開を突くほうが現実的か。敵の足、戦法、さまざまな要素を重ね合わせて、岡崎は戦略を練っている。桐生の扉を開けるために、岡崎が選択する勝負手は何か。6号艇だからといって、軽視禁物だぞ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)