BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THE ピット――外枠の境地

 今節は準優進出戦が行なわれる。予選3日間で、4日目が準優進出戦。予選上位24人が準優進出戦に進み、準優進出戦は4個レースの上位3名が準優勝戦へ。4~6着のなかの得点率上位6名(4日目までの得点率)も準優勝戦に進める。準優勝戦はもちろん1~2着が優勝戦に進出だが、優勝戦の枠番は4日目までの得点率上位が内枠になる(昨年のレディチャンで準優3号艇の大瀧明日香が1号艇、準優2号艇の平高奈菜が2号艇になったのは、4日目までの得点率では大瀧のほうが上位だったため)。

 

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 とまあ、なかなかややこしいシステムなわけだが、それはまあいい。選手にとってはまず、予選を勝ち抜かなければならないわけで、これが3日間しかないから、そこにやや難しさがあるのだ。まず、予選は36個レースとなるから、16人の選手に1号艇が回らないことになる。選考順位下位の選手は、そこでやや不利な面があるか。そして、ほとんどの選手が予選4走しかないので、初日に大敗を喫すると巻き返しがかなり困難になる。今日は宇野弥生がピンピン発進。ボーダーを5・00と想定すると、これで早くも準優進出戦は無事故当確。初日は非常に大事なのだ。

 

 

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 となると、気になる選手たちがいる。初日に外枠が回ってくる選手たちだ。それも、2走でともに外枠、という面々。6号艇が回ってくる選手は1号艇も回ってくるわけだが、しかしまだ調整途上で水面の様子もつかみ切れていない初日の外枠2走はなかなかキツい。まだ手探り状態のなかで、いきなり勝負駆けに臨むようなものだからである。

「やっぱテンション下がりますよね~」と言ったのは、平高奈菜だ。今日の平高は5号艇と6号艇の2走。今日の出走表で自分の名前を確認して、やはりいい気はしなかったようだ。面白かったのは、「1号艇もあんまり歓迎できないんですけどね」と言ったこと。これ、他の選手からも聞いたことあるなあ。1号艇は、やはり点数を計算できる枠番。だからこそ、万全の状態で臨みたい、というのである。まだ仕上がり切っていない初日は、できるならば温存しておきたい。そんな思いがあったりするようである。

 

 

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 長嶋万記も、外枠2走の話を向けると、「ほんとに、ね~」と顔をしかめた。予選4日あるならともかく、短期決戦のなかでいきなり外枠というのは、やっぱりうれしいものではない。もちろん、どの枠番だって大敗のリスクは常にあるわけだが、不利枠となればそれを現実的に想像できてしまうから、顔も曇ろうというものである。

 ただ、平高にも長嶋にも共通していたのは、「だからこそ、今日は何としてもそれなりの成績で乗り切りたい」と前向きになっていることだ。長嶋が言う。「今日を乗り切れば、明日につながる。明日からは内枠があるわけですからね」。今日、きっちりと好成績を収めることができれば、明日からは逆に有利な状況に持ち込めるのだ。二人には当然、1号艇も回ってくるから、確勝を期して臨めば得点率上位での予選突破も見えてくる。優勝を狙うべき存在の平高と長嶋は、ともにこの状況に何も思わないわけではないけれども、それをひっくり返しての反撃を頭に思い描き、そして決意しているのである。

 結果、今日の平高は2着、2着。内枠を手にしての逆襲ができる態勢となっている。一方、長嶋は4着、5着。明日は本格的に勝負駆けだ。二人はそれぞれ形こそ違え、意を強くして明日を迎えるだろう。

 

 

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 では、ドリーム戦6号艇、という条件はどうなのだろう。かつて、松井繁が「ドリーム6号艇は有利」と言っていたことがある。なぜなら、もっとも不利な枠を、点増しのあるレースで消化できるからだ。仮に6着大敗でも5点あるわけですからね。この4点増しはデカい。

 小野生奈も昨日の会見で言っていた。「もうこのあとは6号艇が回ってこないということですから」。平高も長嶋ももちろん6号艇が回ってこないから、ここからテンションを上げていくことができる。小野の場合は、平高と長嶋に比べれば大敗しても傷が浅いという状況で、初日に6号艇を消化するのである。やっぱりデカいっすね。

 もちろん、小野はレースに臨めば、そんなことを頭から消して、勝利をめざす。レース後には当然、悔しい表情を見せるのだ。よかった、ドリーム6号艇で、なんて思いはそのときには微塵も浮かんでこない。ただ敗れた悔しさにまみれるのだ。

 

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 今日、外枠2走だったのは、ほかに山川美由紀、日高逸子、谷川里江、中谷朋子、藤崎小百合ら。山川は1着、3着で好発進。史上最多4Vめがけてピッチが上がるだろう。他の選手たちにも、明日以降の内枠でぜひ巻き返してもらいたい。初日外枠スタートの選手に要注目!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)