BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――精勤!

 

 

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 1R、全員が「子」! 昨日は全員が「美」だった。さて、明日は!? というのはともかく、1Rは中谷朋「子」が福島陽「子」のジカまくりも細川裕「子」の猛追もしりぞけて逃げ切った。初日外枠2走で今日は1号艇。きっちり巻き返した格好だ。ピットに上がった瞬間の中谷は淡々とした表情ではあったが、明日の勝負駆けに向けて気持ちには力強さが生まれたのは間違いない。

 それにしても、中谷は本当によく動く。12年の大村クイクラでぎりぎりまでペラ調整と試運転に駆けまわる姿を確認して以来、夏でも冬でも、この女子プレミアムGⅠでは同じ姿に目が奪われる。今日は1R1回乗りだが、「1」の艇番が外されると当たり前のように「試」がつけられた。勝利者インタビュー後もすぐに装着場にあらわれて、ペラを外した。定点観測をすれば必ず、水面とペラ調整の往復を繰り返す中谷の姿が頻繁に視界に入ることだろう。

 

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 もっとも、以前「女子選手は本当に一生懸命仕事をしている」と寺田千恵が力説していたとおり、中谷に限らず、彼女たちはこの暑さなど関係なく、懸命に働く。これも寺田が言っていたことだが、その姿勢はSGレーサーに通じる、と。歴然とした違いはあるものの、たしかにSG組もレディースも、妥協という言葉を知らないかのような動きを見せる。ひとつ違いをあげるとするなら、これは先入観もあるだろうが、女子のそれは健気に見えるということだろうか。

 津のピットは狭い。他の場と比べても狭いほうの部類に入ると思う。それでも、女子選手は走る。特に若い選手は。歩いてもたいした距離じゃないのに、走るのだ。たとえば、地元の塩崎桐加。早い時間帯に魚谷香織と足合わせをしており、陸に上がるたびに魚谷のもとへ一目散に駆け寄る。そこまで走らなくても時間はそれほどかからないのに、彼女は歩こうとはしない。それはもちろん、調整の合間などにも変わらないことだ。

 

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 山下友貴もよく走っていた。山下は、1R発売中に整備室をのぞくとギアケース調整中。それを終えて試運転へと向かったのだが、ギアケースを手にモーターへと向かう際にはさすがに歩いていたが、その後はほぼ走っている姿しか見なかったと言っていい。中谷と同じように常にぎりぎりまでペラ調整をする選手の一人である山下、歩いている姿と走っている姿では、見かける回数はそれほど変わらないのではないかと思えてくる。山下は、やはりギアケース調整を行なっていた寺田千恵と足合わせをしている。寺田はその後にボートをいったん陸に上げたが、山下はボートを係留所につけると猛ダッシュしてリフトに向かい、寺田をヘルプしているのだった。

 

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 山下と寺田だけでなく、ギアケース調整をしている選手はわりと多かった。これはSGでも一節を通して見かける光景だが、SGの2日目の朝にこれだけモーターからギアケースが外れているのはあまり見かけないもの。男子と女子では仕上げ方も変わってくるということだろうか。メモに残っている名前は金田幸子、細川裕子といったあたりだが、森岡真希など、ほかに記憶に残っている選手も何人かいる。金田はギアケース装着時にこちらの巨体に気付くとにっこり。飄々としている金ちゃんが爽やかに笑うのを久しぶりに見た気がするな。

 

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 1R発売中、本体整備をしていたのは大瀧明日香。大きな整備かどうかは確認し切れなかったが、2Rが終わってもボートへのモーター装着はされなかった。で、スポーツ紙などを見ると、日高逸子ら本体整備をにおわすコメントをしている選手もいて、彼女たちは朝のうちに整備を終えてしまった可能性もある。1R発売中に日高逸子が係留所で回転調整をしていて、それがかなり熱心に続いていたのだが、それも整備後だった可能性があるわけだ。部品交換については、直前情報を確認していただきたい。

 

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 さて、1Rで6着となってしまった岸恵子。準優進出戦制であることを考えると、6着はかなり痛い。通常の予選4日制でも1本の6着が明暗を分けることがあるわけだが、3日しかない予選のなかでは深刻なビハインドにもなりかねない。しかも、今日の岸は外枠デーで、後半は6号艇。機力も含めて、厳しい状況だ。それもあってか、レース後の岸は意気消沈した表情。エンジン吊りに参加した周囲の様子も含めて、落胆の強さが感じられた。6号艇とはいえど、後半はぜひとも笑顔を見せてほしい! 一昨年レディースチャレンジカップVで見せた深いスマイルを見たいぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)