BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――勝負駆けのゆくえは?

 

 

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 1R、日高逸子がイン逃げ快勝。ボーダー5・50とすると今日はピンピンで相手待ちという状況だが、ボートレースは何が起こるかわからないことを知り尽くしたグレートマザーである。もちろん連勝で予選を終わらせる心づもりのはずだ。レース後の表情は爽快だった。ようやく結果が出たことへの安堵、勝利したことの単純な喜び、まあいろいろあるだろうが、とにかくすっきりとした顔つきでエンジン吊りの輪に入っていた。

 

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 後輩の藤崎小百合が、にっこりと笑って日高に話しかける。目がきゅーっと細くなって、なんとも人懐こい笑顔だ。そんな表情を向けられて、日高の頬も緩んだ。日高が56期、藤崎が95期、実に39期も下の後輩の笑顔にグレートマザーも癒されたようだった。それにしても、福岡支部は日高のすぐ下の後輩が藤崎ということになるわけで、これはスゴい。6人を送り込んでいる福岡支部、若手の充実度の高さを感じると同時に、そのなかでいまだ健在の日高という存在の偉大さを感じずにはいられない。

 

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 それを言うなら、山川美由紀もスゴいぞ。山川は57期、香川支部のすぐ下が平山智加98期。実に41期の開きがある。香川の平山と平高はすでに女子第一線級の存在だが、そうしたなかで健在どころか彼女らと伍して大舞台を疾駆する山川はやはり偉人である。今節も昨日の時点で得点率は香川支部最上位。昨年に続く優出も射程圏に入っている。

 今日も山川は12R1回乗りだが、朝から精力的に動いている。まだ足には不満があるようだから(ターン回りが合っていないというコメント)、それを解消するためにたっぷりとある時間を費やして調整を続けるのだろう。予選突破は当確とはいえ、もちろん緩めるつもりはいっさいないはずである。

 

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 さてさて、本日は勝負駆け。ここにちょくちょく書いているように、順位状況をがっつり把握して水面に向かう選手はほぼいないと言っていい。まして自分が戦ったレース後にもボーダーがころころと数字を変えていくであろう序盤戦の選手は、自分の順位はまず頭にはないと考えていい。ただし、自分が持っている得点率は当然わかっている。おおよそ何着くらいが欲しいかというのは、頭にはあるはずだ。そう考えると、今日は2走、前半でなんとか上位着順をとって後半につなげたかった水野望美の、レース後の眉間のシワの深さは理解できるというもの。5着では、後半を待つまでもなく、予選突破は絶望的と言える。初めてのGⅠ、初めてのレディチャンだからといって、参加するだけでいいなどとは考えていない。だから、大敗に苦渋の表情が浮かぶ。着替えた後は、しゃがみ込んでリプレイに見入る姿もあった。落胆と反省が脳裏にぐるぐると渦巻いていたに違いない。

 

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 おおいに予選突破の目がありながら、2R6着で絶望的な状況となった塩崎桐加の表情もまた、カタくなっていた。昨日は水神祭も果たし、予選突破圏内に入っていながら、一気にランクダウン。今日も重量調整で出走するまでに減量し、地元大一番に懸けてきた塩崎。しかし、ここから先に進むのはかなわない。文字通り、絶望的な気分にもなったはずである。これでレディチャン初出場の二人は無念の終戦となってしまう(しまいそう)なわけだが、来年からは必ず常連となっていくはず。この悔しさは選手生活を続けていくなかでずっと、胸に刻んでいってほしい。先輩たちもそんな思いを重ねて強くなったのだから。

 

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 1R4着の池田紫乃。ボーダー5・50とするなら4着で勝負駆け成功。しかし、まったく安心できないというか、ボーダーが最終的にどこに落ち着くかはわからないだけに、これは物足りない結果だっただろう。ピットに上がった池田の表情は、悔しそうに歪む。敗戦に対しての直截な悔恨でもあっただろうが、1~2着で勝負駆けにケリをつけられなかった悔しさもそこにはあっただろうか。今日は一日、胃の痛む思いで池田は過ごすことになるのか。それでもきっと、調整の手を緩めることなく、走り回る一日にはなるだろうけど。さあ、ボーダーはいったいどこになる!?(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)