BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――オープニング!

 

 

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 オープニングを快勝したのは岡崎恭裕。福岡SG優勝を大目標として掲げる地元の雄は、とにかく気合満点。幸先のいい発進で、念願をかなえるための力強い一歩を刻んだ。

 岡崎の心情をよく知る篠崎元志が、笑顔で盟友を出迎える。二人の会話は、岡崎がヘルメットをかぶったままなので内容こそ伝わらないが、元志が終始笑顔を見せていたことから、心弾むものだったことがうかがえる。明るい光景だ。

 岡崎が引いた46号機は評判モーターのひとつだが、手応えとしては「半信半疑」だそうだ。前節で使用したのは石川真二。岡崎とはスタイルがかなり違う。今日は1Rだったから、いつもの自分の回転域に合わせ切れぬままにレースに臨んでいる。岡崎曰く「石川さんの名残が残っている(笑)」。ただ、もしかしたらこれが46号機のベストの状態なのかもしれない、という思いも岡崎にはあって(体感は悪くないそうだ)、「このままいくべきかもしれない。もっと回転を止めればさらにいい足になるかもしれない」という二択を熟慮しているのである。こればかりはやってみなければわからない、と後半11Rまでに調整というか試行錯誤というかを行なっていく模様。いずれにしても、それは前向きな悩みであるのは間違いない。

 

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 日次に関わらず、1R(序盤のレース)は調整の時間が多くはとれない。まして初日は、まだ1走もしないまま臨まねばならない。前検日の短い時間にやれることは限られている(前検航走のあとは試運転もできない)ので、暗中模索のなかでベターなポイントを探すようなものだろう。それを考えれば、1号艇の山本隆幸はやや不運だった。仕上げ途上かもしれないなか、5号艇に深川真二、6号艇に西島義則がいるのである。深い起こしになるのは必至。結果、大敗を喫してしまっている。レース後の山本は、悔恨よりも疲労感が漂っているように見えた。頬をふくらませてふーっと息を吐き出し、下を向く。やるせない表情だった。

 着替えを素早く終えた山本は、即座にプロペラを叩き始めている。それも、かなり強くハンマーを振り下ろし、ガツンガツンという音を響かせていた。やはり納得のいく仕上げで臨むことができなかったか。今日は1回乗り。たっぷりと時間をかけて、明日の巻き返しのための準備を整えることだろう。

 

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 この1Rのレース後で、もっとも落胆しているように見えたのは寺田千恵だ。4コースからのぞいて、内を飲み込んだのは寺田である。しかし、岡崎にまくり差され、2番手競りでは捌かれた。ボートリフトから降りた寺田の肩は明らかに大きく落ちていた。ヘルメットをとると、やはり力ない表情があらわれる。平山智加が寄り添って寺田の言葉に耳を貸しながら、苦笑いがどんどんと深まっていく。寺田の口を突く言葉もネガティブなものだったのだろう。今節、表情も言葉もポジティブに転じられることができるか。テラッチも必死に調整を進めていくだろう。

 

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 2Rを勝ったのは桐生順平。博多ダービーはニュージェネレーションの連勝で幕を開けたことになる。インの上平真二が先マイ逃走をはかったが、桐生がまくり差しで舳先をかけ、2マークで上平をはじくように捌いた。ピットに戻った桐生は、ボートの移動を同僚に任せて、即座に上平のもとに走っている。上平がリフトから降りると、桐生は直立不動で頭を下げ、礼を尽くしている。それに対して上平は、左手を何度か小さく上げながらうなずき返した。遺恨などありえないと、気遣いを見せていた。

 

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 この大混戦を捌いて2番手を獲り切ったのは鎌田義。先頭争いだけでなく、その後ろの番手争いも接戦だったから、2着は上々の成績だろう。エンジン吊りでは、松井繁や吉川元浩に囲まれて、笑顔があふれる。舌も滑らかだったのだろう、松井も吉川も笑っていて、さらに鎌田の声が大きくなっていく。1年10カ月ぶりのSG、この舞台で戦える喜びも伝わってくるのだった。

 

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 残念なことに、渡辺浩司が転覆をしてしまった。すぐに「選手異常なし」のアナウンスがピットに流れ、レスキューで戻ってきたあとには小走りで控室に向かっている。大過なかったのは何よりだ。渡辺はまだSG水神祭を果たしていない。前回の参戦時は1着を獲らないままレース場を後にしなければならなかった。この転覆で予選突破は厳しくなったかもしれないが、水神祭での笑顔は必ず見せてほしい!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)