BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――明日も朝からアツい

 

 

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 昨日の「勝負駆け情報」では、ボーダーが下がりそう、てなことを書いているのだが、なんのなんの、終わってみればボーダーは6・00。勝負駆け選手が奮闘した一日となった。それも、6・00でも18位に届かないだろうと思われる状況もあったほどだ。12R、石野貴之と岡崎恭裕がフライング。石野は無事故完走で当確、岡崎も18位圏内にいたから、6・00のうち最大で2人が19位以下となりそうだったのだ。

 

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 6号艇6コースでの勝負駆けを成功させた魚谷智之も、12R発走時点では20位。もしフライングがなく、岡崎が先頭を走り切っていたら、予選落ちの憂き目となっているところだった。12Rを迎えるまでの魚谷は、おそらく状況は聞かされていただろうが、サバサバとした様子であった。あとは結果待ちであり、それに囚われすぎても詮無いこと。そんな風情でリラックスした表情を見せていた。

 

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 12R発走時点で19位だったのは鎌田義。10R4着で6・00には届いたが、上位着順数の差で、18位以内を守ることができなかった。そのことをどこまで聞かされていたかわからないが、やはり鎌田はひたすらに悔しがってみせたり、愚痴をこぼしたりするところを、少なくともピットでは見せていなかった。瓜生正義との3番手争いに敗れたかたちだが、そのことを悔やんではいても、瓜生との感想戦は実に穏やかなものに見えたし、SG復帰戦の予選をひとまずは戦い抜いた安堵感も少々見えたような気がした。

 この2人が、結果的に準優に進出! カマギーはSG初優出が当地ダービー(12年)。魚谷はSG初優勝が当地ダービー(06年)。10年前のダービーも、魚谷は準優6号艇だったぞ。ツキはあるだけに、兵庫コンビは6号艇でも要警戒だろう。

 

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 勝負駆け成功で印象的だったのは、6号艇4コースから1着で勝負駆けをクリアした湯川浩司だ。魚谷もそうだが、6号艇での勝負駆けはキツい。それが常識なだけに、見事にクリアしたときには、本人よりも周囲が沸き立つのだ。

 湯川を出迎える大阪勢や、自身も6号艇の不利を跳ねのけた魚谷、その他すれ違う人すれ違う人、湯川に声をかけていた。それを真面目な顔で受け止めていた湯川も、同期の山本隆幸に祝福されると、照れくさそうに顔をほころばせている。6号艇での壮挙は、それを見る者の心をも温かくさせるのだろう。なんともほのぼのとしたシーンなのであった。

 

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 さて、一方でもちろん、勝負駆けに失敗した者もいる。赤岩善生も6号艇での勝負駆けとなったが、前付けで4コースにまでは入ったものの、5着。予選落ちとなった。

 赤岩と顔を合わせて、残念だった、と伝えると、赤岩は首を小さく振りながら、それはそうだけど、と言った。そして「まだ残ってるから」と続けている。

 まだ残っている……そう、明日もまだ戦いはあるのだ、と赤岩は言ったのだ。準優の戦いに乗り込めるのが願いだったが、舞台が一般戦となったとしても、赤岩のやるべきこと、勝負に懸ける思いは変わらない、ということ。どんなレースでもいつも通りにベストを尽くすというのが信条の赤岩にとって、今日は終戦ではなく、あと2日を残した日でしかないわけだ。敗れたことはもちろん悔しい。しかし、それを味わい尽くしたあとには、また前を向く。そうして赤岩は明日も今日とは変わらぬ心持でレースに臨むのである。

 

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 話をしたわけではないが、毒島誠も気持ちは変わらないだろう。この男が予選でいちども連に絡めないとは、いったい誰が想像したか。立て直し力が図抜けている毒島をもってしても、48号機は仕上がってはくれなかった。こんな這い方をする毒島は、久しく見たことがない。

 だが、やはり毒島の戦いはまだ残っているのだ。11R発売中、閑散となっていたプロペラ調整所で、必死にハンマーを振るう毒島がいた。9Rに出走していたのだから、10R終了後に出発する1便のバスに乗ることは可能だったはずだ。しかし毒島は残って明日の戦いのため武器に磨きをかけるほうを選んだ。一般戦だろうが準優だろうが予選だろうが、変わらぬ姿勢がそこにある。モチベーションを下げることなく、いやむしろ予選での不本意を払拭せんと気持ちを高めて、明日以降の戦いに臨むであろう。

 

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 そうした気迫で明日を戦う選手は、なにも赤岩と毒島だけではない。1便で帰った選手はモチベーションが下がってる、なんてこともない(赤岩も整備を素早く終えて、1便で帰っている)。西島義則も1便で帰っているが、なにしろ仕事の早い西島だ。準備などとっくに終えてしまっているだろう。明日3Rの6号艇でも、予選と何ら変わらぬ勝利への執着、前付けを見せてくれるはずだ。1号艇がミスターであろうと、真っ向から斬りにいくだろう(憧れの存在だけに、むしろ張り切って勝負を挑む?)。

 我々ファンとしては、やはり注目するのは準優。舟券勝負も準優が中心となろう。勝ち上がりのない一般戦を消化試合ととらえてしまうところがあるのは否定できない。またそれが悪いということではない。だが、一般戦もSGのバトルという意味では、準優と変わらないのである。明日は朝からアツい戦いが続き、10R以降にマックスになるというだけ。一般戦組の戦いにもぜひ熱視線を! 今節の舟券がサッパリの私も、まず一般戦で気合の勝負駆けを頑張ります。

 

 最後に、6Rで久田敏之がSG初1着! 辻栄蔵との壮絶な競り合いを制しての嬉しい初白星となった。残念ながら、仕事の都合で水神祭には駆けつけられなかったので、スタンドの記者室から猛ダッシュでピットに向かった中尾カメラマンの写真をたっぷりどうぞ。スタンドの記者室とピットは、ちょうど対角線上にある。距離にしたら500mくらい? 6Rの中尾カメラマンの戦い(?)もアツかったのです!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)

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