BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――いざ、一発逆転へ!

 

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 SGクラスはそもそも仕事が早い。仕事が、というより、異変を感じ取って、整備の判断を下すのが早い、と言うべきだろうか。3日目あたりの朝は整備室が閑散、というのはそういう面もあるわけで、それもまたトップで戦えるかどうかの資質と言えるのかもしれない。

 チャレンジカップでは、その早さが何割か増しになる、というのは先入観にとらわれすぎだろうか。赤岩善生や平本真之が昨日の前検日にいきなり本体を割っていたというのは、そんな現象にも見えるのだ。今日も、7R6着の長田頼宗がレース後さっそく本体整備をしていた。長田の整備はそれほど珍しいとは言えないが、初日1走での決断はやはり早いように思える。逆転グランプリ行きを決めるためには、迷っているヒマはないということか。

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 湯川浩司も本体整備。同じく7Rに出走して4着。やはり素早い判断だ。

 その湯川がらみの話になるが、朝は快晴だった大村も、午後には雲が広がってきて、終盤の時間帯には対岸からの横風がピットに強く吹き込むようになった。11月下旬とは思えない暖かさだったのが一転、肌寒く感じられるようにもなっていた。そんななか、水面際のアリーナに、湯川はTシャツ一枚で登場。急転した天候に驚いた湯川は身を縮めて震え、それを見た佐々木裕美と大瀧明日香に大笑いされていた。レース後、控室に消えた湯川は、銀河系ジャージに厚手のベストを着込み、いきなり重装備になっていた(笑)。まあ、風邪ひいたらいけませんからね。でも服装の一変は、ちょっと微笑ましかった。

 でこれを書いている今は、さらに雲が広がり、風も強くなっている。明日は雨予報も出ていて、天候は変わりそうだ。選手たちはそれに対処すべく、忙しい一日を過ごすことだろう。グランプリへのラストチャレンジだからこそ、天候の変化に泣き言など言っていられないのだ。

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 逆に一発逆転組は、すがれるものなら何でもすがりたい。田村隆信は、「チャレンジカップは初戦2着の選手の優勝が多い」という話を振ってきた。たしかにここ6年で5人が、初戦2着で優勝。11年の田村自身もそうだった。BOATBoyに書いてあったらしいが、記憶にありません……。ただ、田村は「それは1号艇でも適用されるのか」と問うてきている。今日の田村は初戦1号艇2着だった。この2着は、単なる敗戦になるのではないか、と気にしているのだ。他誌の情報っぽいけど、胸を張って言わせていただきました。「適用されます!」と。気持ちをポジティブにして臨めるなら、そのほうがいいに決まっているからだ。1号艇で失ったポイントは、他の艇番で取り返せばいい。ゲンのいい2着発進を前向きに捉えるべきなのだ。

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 笠原亮は10R5着。最近のSG初日としては珍しく悪い着順となってしまった。だが、僕はそれでいいと思ったりもした。というのは、最近の笠原は予選中盤で序盤の貯金を使ってしまって、4日目に勝負駆けを強いられるパターンも多いからだ。先日の尼崎周年もそう。結局予選落ちしてしまっていて、笠原自身も「また尻すぼみ」と苦笑していた。というわけで、今回は初戦5着からの尻上がりでどうだ! 序盤好枠で好成績、中盤外枠で成績を落とす、というケースもよく見られたから、6号艇を初日に使って尻上がりになっていければ、勢いをつけて終盤に臨める。と声をかけると、笠原もうなずき返す。落胆の様子は少し残ってもいるようだったが、これもまた前向きに考えるべきなのである。

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 女子。賞金ランク11位で逃げ込みをはかる山川美由紀が、9Rでまさかの落水失格となってしまった。引き波に引っかかるかたちでの落水は不運かつ無念。選手責任での減点がついて、冷や汗を強いられる立場となってしまった。後続の喜井つかさが事故艇をよけきれずに接触していたので、山川の容体が心配されたが、着替えを終えてすぐに整備に取り掛かっていたので、まずは一安心だ。予選突破は厳しい状況でも、ベスト12入りを見据えれば、残されたレースで1円でも多く上積みして、逃げ切り態勢を作りたいところ。明日からの奮闘にも期待したい。山川美由紀がいないクイーンズクライマックスにはきっと違和感があるだろうから。

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 クイーンズクライマックスシリーズに回ったりしたら、やっぱり違和感があると思われるのは、日高逸子も同じだ。なにしろ、クイーンズクライマックスは皆勤賞。グレートマザーのいないクイクラはやはり考えにくいのだ。6号艇の今日は、昨今の女子戦では珍しくなったとも言える前付けをバリッと見せてくれた。いったんは舟券絡みの目も充分にあったが4着。しかし、気合はしっかりと表現した。レース後は整備に忙しく、きびきびとした日高らしい動きを見せている。もちろん、まだまだ巻き返せる位置だけに、明日からも引き続き注目したい。現時点で12位以内には4000番台が圧倒的に多いが、「今節は男子もあわせてダントツの最年長」がそこに食い込んで、クイクラに激辛のスパイスを加えてほしいぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)