BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

大村WチャレカTOPICS 4日目

ドキュメントTHE勝負駆け

 

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2R

 イン深川真二と3コース長田頼宗が3周ぶっ通しのデッドヒート! 互いに回り足がやや甘い部分もあって?ターンマークごとに差しハンドルが突き刺さる。そのまま舳先をぴったり揃えて差しの応酬を繰り返し、最終ターンマークだけ長田が全速のツケマイを放った。深川か、長田か。最後まで舳先を揃えた激闘は、アタマ差ほどの僅差で深川に軍配が上がった。これがもしも優勝戦だったりしたら、かの植木VS中道の賞金王レベルとして語り継がれただろう(笑)。この勝利で深川は後半7Rに微かな希望を残した。2着の長田は6.20で文句なしの予選突破。3着の平本真之は5.17で後続レースの結果を待つ立場になった。

 

3R

 石野貴之44号機がやっとエース機に相応しい豪快な一撃を決めた。問答無用の4カドまくり。2・3コースが凹んでいたのでまくり差しの方が安全な勝ち方に見えたが、力ずくでインの石渡鉄兵まで引き波にハメた。伸びがなければできない芸当だ。この1着で7.00まで押し上げた石野は、わずかながら予選トップの可能性も残して予選を終えた。

 

4R

 インの丸岡正典がきっちり逃げて6.20の悠々当確。2着の桐生順平は5.17で微妙な立ち位置となったが、着順点で同率の平本を上回っているのが大きいといえば大きい。昨日、1号艇以外で唯一の勝者となった笠原は5着に敗れて5.00。かなり苦しい状況となった。

 

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6R

 ①着で5.00の6号艇・田村隆信が動き、5号艇の菊地孝平もブロックしながら連動。156・3/24という変則隊形になったが、2コース菊地が持ち前のデジタル勘でスリット突き抜ける。一気にインの徳増秀樹を叩きに行ったところ、激しい同県競りの直後に菊地が振り込んで不良航法、減点7を喰らった。予選トップから一気に13位に下落するという、ある意味大波乱のレースとなった。同県競りを尻目にズッポリ差し抜けた田村は5.00も、着順点が厳しくほぼほぼ赤信号。3着の赤岩善生は暫定2位という好位置をマークした。

 

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7R

 前半2Rのデッドヒートに競り勝った深川が、勢いそのままに豪快な3コースまくり。インの松井繁まで一気に呑み込みピンピン連勝で予選終了。これで大逆転予選突破、となれば文句なしのMVPなのだが予選成績は5.00。次点の19位で後のレースを見守ることになった。

 

8R

 菊地の陥落で暫定トップに立った坪井康晴だったが、6コースの遠さを克服しきれずに4着止まり。なんとかトップの座を守ったものの、2位の赤岩=7.20と僅差の7.40まで落ち込んだ。ボーダー争いでは原田幸哉が5着大敗。412655という尻すぼみの戦績でV争いから脱落した。うーん、最近の幸哉のSGはこのパターンが多すぎるな。

 

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10R

 吉川元浩21号機がスリットほぼ同体から逃げきったか、と思いきや、ターンマークを外したところを2コース森高一真の俊敏差しを喰らった。森高が日々パワーアップしているとは言え、21号機としては物足りない足色にも見えた。うーーん、もっともっと伸びるはずなのだが……。

 この10Rを終えて、予選トップ&ボーダー争いの概要がはっきり見えてきた。ボーダー争いは篠崎仁志か深川真二か、ふたりにひとり。トップ争いは坪井、赤岩、重成、辻のバトルロイヤルで、その結果次第では7.00で待っている石野にもわずかなチャンスあり。いずれにせよ、そのすべては最終12Rに託された。

 

12R

 レース前の予選成績はこうだ。

①辻 栄蔵 6.60

②井口佳典 6.20

③重成一人 6.80

④坪井康晴 7.40

⑤赤岩善生 7.20

⑥篠崎仁志 5.60

 

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 まず、ボーダー争いは簡潔明瞭。仁志が4着以内なら仁志、5着以下なら深川が準優に駒を進める。ちょっと複雑なトップ争いは、こんな感じである。

A/坪井と赤岩のどちらかが2着以内なら、先着したほうがトップ確定。

B/坪井、赤岩がともに3着以下なら重成、辻で勝った方がトップ。

 ざっとこんな感じ。ABともに成立しなければ、石野も含めて勝率上位がトップとなる。

 で、この12Rは1マークを回ってすぐに「Bコース」に傾いた。逃げる辻と鋭くまくり差した重成の一騎打ちムード。勝率上位だった坪井と赤岩は完全に後れをとっている。こうなってしまうと重成と辻、先着したほうがトップの座をゲットする。バック直線、有利に見えたのは内の重成だ。このまま辻をしっかりブロックし、2マークを先取りすればトップ確定か? ただ、今節の辻の足は日々アップして今や鬼の領域。その回り足が2マークでも火を噴いた。一瞬にして逆転。「勝てばトップ、2着なら5位以下」という身の上だけに、この一撃差しの意義はとてつもなくでかい。鬼足とともにその貴重なリードを守りきって、辻が予選トップのゴールを駆け抜けた。逆に、差された重成は5位に……。イン天国の大村水面だからして、「明暗を分けた1周2マーク」と呼んでもいいだろう。また、3着・赤岩と6着・坪井も準優1号艇を逃した。予選の上位6人の勝率は、

★7.17…辻

★7.00…石野、森高、魚谷、重成、赤岩(着順点の良い順)

 近年、稀に見る大接戦と言っていいだろう。

 一方、二者択一のボーダー争いは、熾烈な4着争いの中から全速ターンを連発して仁志がガッチリ獲りきった。これまた価値ある4着。“自力”で準優チケットをもぎ取り、逆にピンピン連勝で暫定19位まで浮上した深川は、惜しくもそのまま次点に終わった。

 

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賞金ランキング   明日   短評

 

★1菊地孝平 9608 準優 優勝戦直前まで1位キープでGP優位に

★2瓜生正義 9598 準優 優勝戦直前までに1位奪取でGP優位に

★3石野貴之 8915 準優 準V以上で1、2位を目指す

★4桐生順平 8080 準優 Vでトップを目指す

★5坪井康晴 7856 準優 7位以下に抜かれぬよう尽力

★6松井 繁 7579    6位以内ピンチ

 ――

★7平本真之 7119 準優 GP当確。優出3着以上でベスト6目指す

★8山崎智也 6968    GP1st組確定

★9井口佳典 6804 準優 GP当確。準V以上でベスト6目指す

★10池田浩二 6776    1st組確定

 11篠崎元志 6673    1st組確定

★12岡崎恭裕 6436 準優 GP当確。優勝でベスト6目指す

 13白井英治 6019    1st組確定

★14篠崎仁志 5788 準優 GP当確。優勝でベスト6目指す。

★15太田和美 5584    GPほぼ当確

★16重成一人 5372 準優 GPほぼ当確。優勝でベスト6目指す

★17辻 栄蔵 5335 準優 油断禁物も優勝でベスト6目指す

 18茅原悠紀 5256    事実上、GP権利消滅

 ――

▲19峰 竜太 5239    事実上、GP権利消滅

★20魚谷智之 5230 準優 キーマン。優出当確、Vでベスト6も?

▲21田中信一郎5182    事実上、GP権利消滅

★25赤岩善生 4513 準優 優勝当確、準V微妙

★29吉川元浩 4317 準優 優勝条件

★31谷村一哉 4062 準優 優勝条件

★34森高一真 4002 準優 優勝条件

★35長田頼宗 3986 準優 優勝条件

★37丸岡正典 3960 準優 優勝条件

※★印はチャレカ参戦中、▲は他場参戦

※単位/万円。千円単位から切り捨て

 

グランプリ勝負駆けの動向

 

●ボーダー18位争い

 超キーマンの魚谷智之が準優入りしたことで、茅原、峰、信一郎らのベスト18の可能性が事実上消滅。明日からの2日間は、この大村チャレカの中だけで当落が決まることになった。つまり、現状で魚谷は実質18位と考えていいだろう。優出で当確。魚谷が2人に抜かれるケースは「赤岩が準V、29位以下がV」で、とりあえず辻と重成の賞金超えを目指す戦いになる。

●TOP6争い

 現在のTOP6組では松井だけが予選落ち。これはかなりのピンチで7位・平本~20位・魚谷まで準優入りした7選手のすべてに抜かれる可能性がある。予選トップが下位の辻というのも嫌な材料だ。松井が6位に踏みとどまるケースは「優勝がTOP5の誰かで、準Vが平本か井口のふたり以外」で、これも十分にありえるだろう。

 5位の坪井もわずかながら落ちる可能性があるが、松井に抜かれることはないという状況は大きくほぼ当確と見ていいだろう。

 

レディースチャレカ部門

 

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女子賞金ランキング    予選 短評

★1遠藤エミ  3254 1位 当確

★2海野ゆかり 3025 8位 当確

★3松本晶恵 2924 14位 当確

★4小野生奈 2912 5位 当確

★5長嶋万記 2892 3位 当確

 6平山智加 2652    当確

 7寺田千恵 2589    当確

★8竹井奈美 2473 4位 当確

★9樋口由加里 2401 9位 ほぼ当確

★10中谷朋子 2400 15位 ほぼ当確

★11山川美由紀 2376 17位 選抜戦は乗りたいが、予選落ち確実

12渡邉優美 2317    ほぼ絶望

 ――

★13魚谷香織 2311 11位 優出で優位に

★14日高逸子 2236 10位 最低限優出

★15平高奈菜 2062 18位 優勝条件

★16平田さやか 2039 20位 優勝条件

 17細川裕子 2019 ―

 18田口節子 1971 ―

★19藤崎小百合 1958 19位 優勝で?

★20川野芽唯 1958 6位 優勝で?

★21佐々木裕美 1953 7位 優勝で?

★22水口由紀 1924 13位 優勝で?

★23大瀧明日香 1881 2位 ―

★24喜井つかさ 1850 12位 ―

★25中里優子 1787 16位 ―

 

クイクラ勝負駆けの動向

 

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 賞金11位・山川美由紀の予選落ちが確実になったことにより、キーウーマンの魚谷香織、日高逸子のチャンスが広がった。香織は優出3着あたりで、日高は準Vで山川を超える可能性は高い。ただ、そのふたりが今日は揃って成績を落とし、それぞれ予選11位、10位でファイナル進出に黄信号が点った。日高は優出を逃した時点でクイクラの可能性がほぼ消滅するので、石に噛り付いても勝負駆けを決めたい。香織の方は明日の1走で1着を獲れば12位に浮上し、同時にファイナル進出の可能性も高まる。

 

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 Vで一発逆転を狙うグループでは平田さやかと平高奈菜のヒラヒラコンビがともに予選落ち確実に。今年のクイクラ参戦の可能性は事実上消滅した。逆転のチャンスがあるのは川野芽唯、佐々木裕美、水口由紀の3人で、それぞれ6位、7位、13位に付けている。明日の勝負駆けに失敗すれば、もちろんその場でクイクラ入りの夢は消滅する。(photos/シギー中尾、text/畠山)