BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――さすがグレートマザー!

 

f:id:boatrace-g-report:20171227162940j:plain

 なんといっても日高逸子だ。魚谷香織の結果を受けて、3着以上がクイーンズクライマックスに出場する条件だった。ただ、おそらく日高はそこまで計算していない。確実に自力当確となるのは2着。2マークのターンは、明らかにそれを意識しての先マイ策だった。

 日高の艇にブレーキがぐっとかかり、小野生奈の前に出たとき、“アリーナ席”には大歓声が起きた。その見事すぎる逆転ターンが、選手たちを沸かせたのだ。開会式で本人が言ったとおり、男女あわせてぶっちぎりの最年長。大先輩が見せた迫力があり、意地も垣間見えてくるターンに、若き後輩たちは胸躍らせた。隅のほうでは、これでクイクラ行きが消えた魚谷香織が慰められる姿もあったが、雰囲気は総じて興奮が渦巻くものだったと言っていい。

 レース後は淡々としているようにも見えたが、モーター格納時に仲間に囲まれたときには、笑顔も見えていた。あの逆転の瞬間の興奮を伝えられもしただろう。これで日高は、クイーンズクライマックス皆勤賞! どれだけ若い選手たちが台頭してきても、日高は高みの位置を決して手放さないのだ。グレートマザーが加わるベスト12は、非常にコク深い戦いを繰り広げてくれるだろう。

f:id:boatrace-g-report:20171227163006j:plain

 遠藤エミは、完勝だ。小野のまくり差しに迫られたように見えたが、艇が前を向いた時には、すーっと突き放していた。あとは一人旅。「ターンミスがあったが、エンジンが前に押してくれた」と足の違いを強調していた遠藤ではあるが、それも含めて文句なしの優勝である。

f:id:boatrace-g-report:20171227163022j:plain

 GⅠにしろGⅡにしろ、女子限定であればいつ獲ってもおかしくなかった遠藤である。出迎えた仲間に祝福されて笑顔を見せてはいたが、とてつもなく大きな歓喜がそこにあったようには思えなかった。やはり、まずは女子限定のGⅠ、そしてさらに混合戦での記念こそが遠藤の目指すところだ。今日は淡々と勝ちに酔って、さらに意を強くしてもっと大きな舞台に向かってほしい。ひとまず、おめでとうございます!

f:id:boatrace-g-report:20171227163037j:plain

 最後に、小野生奈は悔しさしか感じていないだろう。狙いすましたまくり差しは不発に終わり、さらに大先輩に抜かれ、最後は大瀧明日香にも逆転を許してしまった。女子の枠に収まらない高みを目指す小野だからこそ、この敗戦には落胆しかないだろう。今年は5V。本人が目標としている来年のクラシック出場には王手がかかっている。できれば12月はもう1回は優勝が欲しいところだが、それがクイーンズクライマックスなら最高だろう。この悔しさは大晦日に晴らせ!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)