BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@グランプリ――本格開戦

 

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 ここからが真のグランプリ、と称する向きもある。たしかにピットの空気はもう一段、ピリリと引き締まった感がある。たとえば瓜生正義。いよいよ戦いを前にして、その表情は明らかに鋭くなっていた。いつでも穏やかで朗らかな瓜生は、こんな日でも顔を合わせれば爽やかに挨拶をしてきてくれるのだが、そこでいったんほころんだ頬が次の瞬間にはキュッとなって、気持ちがファイティングモードに切り替わっていることをうかがわせる。人格者瓜生も、ここでは戦士だ。

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 ベスト6組は、本格的に開戦の時を迎えたわけだから、昨日までとは違う表情になっていて当たり前である。エンジン吊りに並んで向かう菊地孝平&坪井康晴も、言葉少なに緊張感を漂わせて歩を進める。これから時間が経つにつれ、ますます瞳には力が宿っていくだろう。そんな様子を想像すれば、たしかにグランプリ本格開戦という気になってくる。

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 2nd組では、石野貴之の動きが早かった。1R発売中にすでに、係留所での調整作業を行なっていたのだ。今日はステージで公開インタビューがあったので、ピットに戻るや作業に向かったわけだ。他の2nd組(1stから駒を進めた選手も含めて)はペラ調整に励む選手が多かったなか、これはかなり早い水面作業であった。なお、2R発売中には、松井繁も着水している。大阪勢の仕掛けが早いのだ。

 なお、午前中の撮影はやぶさかではないということで、今のうちに石野の姿を押さえたいカメラマンが鈴なり(笑)。かえって多くのレンズの放列を浴びていたのだった。まあ、午前中の段階ではまだまだ石野は戦闘意欲をむき出しにしているわけではなく、柔らかな表情も目立った。午後になればこれがひたすら雄々しい表情になって、自分の世界へと没入していくことになるだろう。

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 1stからステージアップした6人では、池田浩二がモーターの調整を行なっていた。大きな整備とは見えなかったが、先述のとおり多くがペラ室に姿があったなかで、整備室と整備室周辺で鋭い表情の池田を見たのは印象に残った。おそらくこのあとはペラ調整に取り掛かり、万全を期していくだろう。昨日までよりもさらにギラつく視線で、ペラと向き合うはずだ。

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 整備室ではもうひとり、辻栄蔵も見かけている。作業はゲージ擦り。機力に余裕がある選手の作業、というイメージである。ただ、それが辻だけにどうだろう。そのゲージを使って、今日もまたギリギリまでペラ調整を続ける心づもりだと見たがどうか。辻は12R出走だから、ペラ調整終了の予想時刻は15時40分。11R前にペラ室を覗けば、きっと辻の姿がある。シリーズ組が居残り調整を行なっていないとするなら、辻の姿だけを見かけることになるだろう。

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 基本、それぞれに緊張感を漂わせながら作業していく中で、やや余裕が見えたのが、太田和美だ。足取り軽くピットを闊歩する様子には、風格が感じられた。これはもう、くぐってきた修羅場の数の違いか。誰もがバッキバキに心を奮い立たせていくなかで、太田のたたずまいはかえって目立つ。初戦6号艇でも、かなり怖い存在と見たがどうか。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)