BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――第2戦の明暗

 

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 ピットに戻ってきた山川美由紀を、たくさんの選手が取り囲んでいた。2周目バック、竹井奈美との先頭争いは後手を踏んだものの、2番手を走っていたはずの山川は、大きく5番手まで後退している。いったい何が起こったのか、と周囲は心配そうに山川の説明に聞き入る。ツキのなさをみんなして嘆いているようにさえ見えていた。

 たしかに不運な後退だった。2周1マークを握った小野生奈と接触してバランスを崩し、その勢いで内にボートが進んだところで差していた平山智加とも接触し、またバランスを崩した。山川は接触の際の衝撃も身振りで周囲に示している。これが後退の原因なのは明らかだ。

 今日の山川はクランクシャフトとキャリアボデーを交換。昨日もクランクシャフト交換をしており、整備に明け暮れた2日間であった。その甲斐あってか、1マークでは竹井のまくりを受け止めている。差した小野に迫られた分、2マークは大回りになって竹井に先行を許したが、小野には先んじられまいと絞めていく気合の走りを見せている。スタートタイミングもコンマ03。渾身のスタートである。しかし、レースの魔に魅入られたかのような後退。これでファイナル行きがほぼ絶望的になってしまっただけに、その悔しさは半端なものではないだろう。顔色が曇るのも当然だ。

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 6コースから見せ場も作れなかった海野ゆかりも、山川と同じ点数に留まっている。1号艇で敗れ、次に引いたのが6号艇というのは流れとしては最悪で、それを覆せなかったのだから、海野も険しい表情を見せて当然。実績ある二人が、不本意な戦いしかできずに頂点への道を閉ざされかかっているのだから、トライアルは過酷だ。明日は一矢報いて、少しでも鬱憤を晴らしてほしいものだが……。

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 一方で、快調に初戦2戦目と戦ったのが寺田千恵と松本晶恵。12Rはワンツーフィニッシュで、ともに得点は19点となった。明日は無事故完走でファイナル行き確定。ファイナルの枠2つは当確ランプが点ったことになる。

 寺田はピットに上がるや、福島陽子の祝福を受けて、嬉しそうに目を細めている。女子ビッグの日常的光景だが、今日も福島と寺田が話し込む姿を何度も見かけている(福島の場合は、寺田のみならず、岡山支部の後輩たちともよく話している)。まさに岡山支部の精神的支柱の二人であり、寺田は後輩にもあたるわけだから、福島のアドバイスを仰いでもいるだろう。実際、会見で寺田は福島のアドバイスが大きかったと語り、「頼りにしすぎちゃってます」と笑った。寺田としては、今日の勝利は福島に笑顔で報告したいものだっただろう。福島もまた笑顔で返し、結びつきの強さを改めて痛感させられる。明日も福島のパワーを得ながら、ファイナル好枠を狙う戦いを繰り広げるだろう。

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 松本を出迎えたのはもちろん関東勢だが、エンジン吊りが終わってすぐに駆け付けたのは平山智加だった。98期の同期生であるふたりは、しばしばピットで言葉を交わしたり、話し込んだりしている。1着2着とトライアル2走を乗り切った松本の健闘には、平山の顔も嬉しそうにほころんでいた。平山も、3着2着と悪くない2走。ファイナル揃い踏みも見えてきて、それもまた喜びとなっているか。ちなみに足に関しては、松本は「今日は合っていなかった」、平山は「たぶん私がちょうど真ん中くらい」とのこと。松本は明日はきっちり合わせて、平山はパワーアップをはかりながら、トライアル最終戦に臨む。

 

<シリーズ組>

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 予選トップは川野芽唯だ! トライアルが始まる前は、報道陣が次々と川野のもとを訪れていた。トップ通過選手の儀礼的なものと言えるだろう。そのすべてに、爽やかな表情で応える川野。スッキリとした顔つきに、充実感が見て取れる。昨年ティアラを手にしたものとして、シリーズ予選トップは決して本意とは言えないだろうが、鬱憤晴らしの舞台は整ったとも言える。2年連続大晦日Vというのも、悪くはないだろう。

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 10Rを差し切った原田佑実は、会心の勝利に頬が緩む。出迎えた大阪勢、近畿勢も笑顔で勝利を称えていた。そこに岩崎芳美もやってきて、原田を祝福。二人の絡みはあまり見ていないだけに、意外ではあった。岩崎はやけに熱心に原田を称え、最後はぽんぽんと肩を叩いて、深くお辞儀。原田の頬がもう一丁、緩むのだった。準優も気分よく戦えそうだぞ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)