BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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王者が全部もってくセミファイナル

 

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 まず復活戦。とにかく1着を獲らなければ敗者復活の道はなく、だから6コースから大まくりを放った西野雄貴にはひたすら拍手! スタートもビシッと決めているし、1マークは躊躇なく外に行ったし、素晴らしい走りだったと言うしかない。ただ、今回は一発目の5Rでトーナメント4着の坪井康晴が逃げ切ったため、トーナメントで5着6着だった選手にはその時点で権利がなくなっていた。それを把握していたかどうかわからないが、引き上げてきた西野には高揚感が見られなかった。8Rを勝った山田雄太も同様。勝って嬉しくないわけはないが、しかし複雑なものもあっただろう。

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 6Rでは坪井同様トーナメントで4着だった真庭明志が勝って、これで抽選は確実になった。結果2人だけの抽選ということになったわけだが、実は坪井が勝った時点で松井繁が菊地孝平に「これでツボは確定じゃないの?」と尋ねている。去年も、岡崎恭裕がトーナメント4着、復活戦1着で、4着勢では選考順位がいちばん上だったために自分がファイナル行きだと思っていた、ということがあった。抽選と聞いて驚いていたわけだが、松井は一般戦の成績が絡んでくるものと思っていたらしい。坪井は昨日の一般戦で1着。復活戦でほかに一般戦1着&トーナメント4着は津田裕絵のみで、選考順位は坪井のほうが上だから、ということだろうか。他のシリーズではまったく採用されていないシステムだけに、選手たちも把握し切れていない点があるのだろう。というわけで、抽選の結果、真庭がファイナル行きとなった次第だ。

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 つづいてセミファイナル。勝ったのは小野生奈、今井美亜、平本真之、松井繁だ。4人とも爽快な笑顔を見せており、1着条件の勝負駆けをクリアした喜びが伝わってきた。平本は、こちらの顔を見るなり、胸に手を当ててほっと息を吐いており、安堵感も大きかったか。ここに乗り込んでくる前、グランプリ、正月開催と1号艇で負け続けていた平本。そのトラウマは昨日の逃げ切りで払拭されたはずだが、しかしどこかで頭をよぎったのかも。今井は、同じレースを戦った森野正弘と笑い合いながら引き上げていった。106期の同期生ですね。

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 2着でファイナル行きは峰竜太となった。他のセミファイナル2着3人はトーナメントで2着もしくは3着。トーナメント1着は峰のみで、抽選なしで決定となっている。峰は「これでまた美亜ちゃんと戦えますよ。よかった~」と笑顔。あ、そうか。昨年のファイナルワンツーが今井-峰ではないか。つまり10Rは昨年のファイナルワンツーがそのまま決まったのだ。今度は自分が、でしょ? そう振ると「もちろん! メディアのためにも」と言って、その場にいたマスコミ関係者を大笑いさせていた。そりゃ書きやすいですからね、「峰竜太、今井美亜にリベンジV」とか。

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 さて、バトルトーナメントのキモとも言うべき枠番抽選。今日は5回行なわれている。ひとつはファイナルの1~4号艇。あとの4つは選抜戦。さらにもうひとつ、復活戦からのファイナル行き選手決定抽選。すべて選手代表の王者が立ち会って、今日もまたおおいに盛り上げている。

 まずは9R発売中に復活戦からのファイナル行き抽選。坪井と真庭だ。ここは坪井の盟友・菊地孝平が盛り上げた。真庭に「ファン感謝デーなんだから、辞退してもいいんだぞ」と迫ったのだ。まあ、格的にはA1でSG3Vの坪井のほうがたしかに上ですからね。しかし真庭も引くわけにはいかない。というか、抽選がルールですから、菊地選手(笑)。

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 この抽選は、昨年はプロ野球のドラフト同様、当選くじが入った封筒を引いて、全員一斉で封筒を開ける、というものだった。これがおおいに盛り上がったわけだが、今年は白と黒の球を入れたガラポンを回して、白が出たほうがファイナルへ、というもの。報道陣からは「封筒のほうがええのに」という声があがっている。で、ガラポンを回す順番はジャンケンで決めることになり、これに勝ったのが真庭。ガッツポーズ! たかがジャンケンで勝っただけなのに派手なガッツポーズを見せたから、菊地から「そこでガッツポーズ使っちゃうのかよ!」とツッコミが入った(笑)。で、真庭がガラポンを回して出てきたのは白! さらに派手なガッツポーズ! これには坪井も溜息で、苦笑いしながら黒しか出ないガラポンを回していた。菊地も苦笑いしながら、真庭を祝福! 辞退うんぬんはもちろん冗談です。誰かが「これで前付けだな!」と野次を飛ばしていたが、真庭選手、どうしましょうか。

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 選抜戦の枠番は、セミファイナルの上位着順から内枠に入り、同着順の選手たちはトーナメントの着順でさらに内外が決まる。たとえば、2着選手は1人がファイナルに行くので3人が選抜戦に出場するわけだが、トーナメント2着だった馬場貴也と渡部悟が1号艇で、3着だった毒島誠は2号艇となる。そうなると、2号艇がひとつ空いているので、ここにセミファイナル3着のなかから一人、トーナメントの着順が最上位の選手が入ることになるが、3着4人のなかで松本晶恵と石橋道友がトーナメント2着とまったくの同着順で並んでいるので、この2人で抽選が行なわれるわけだ。

 抽選に臨んだのは松本と石橋、井口佳典と三浦永理(セミ3着トーナ3着)、菊地孝平と山本隆幸(セミ4着トーナ3着)、そして樋口由加里と森野正弘(セミ5着トーナ1着)ただし、樋口と森野の抽選にはもっと大きな意味がある。セミファイナルは4個レースだから、それぞれの着順が4人ずつ。選抜戦は2個レースだから、本来は2着が1~2枠、3着が3~4枠、4着が5~6枠で埋まるはずなのだが、2着1名がファイナルに行くため、5着から一人だけ、選抜戦に乗れるのである。そう、樋口と森野は選抜戦の6号艇を決めるものであると同時に、選抜戦か一般戦かの分かれ目でもあるのである。この抽選に勝ったのは森野で、樋口は無念の一般戦行き。それを知った王者は、「樋口さん、選抜乗れんの? ごめんな」と謝っていた。王者のせいではないのにね。王者の気遣いを見せつけられた。ちなみに、松井は女子選手にはみな「さん」付けだったな。SG常連になれば、「さん」が取れるのかもしれない。

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 で、選抜戦抽選は、割りばしの先に白と黒を塗ったものを筒に入れ、それぞれが引いて、白が出たほうが勝利、というもので、ジャンケンで勝ったほうが先に選び、森野vs樋口以外は同時に引くという方式になった。別に同時でなくともいいんだけど、菊地が「同時に引いたほうが面白い」と森野vs樋口のあとに提案したからだ。というわけで、菊地vs山本はジャンケンから白熱! 菊地が勝ってガッツポーズ! 引いたら菊地が勝利! 菊地は山本にガッツポーズを何度も見せつける! キクちゃん、おめでとう! まあ、5号艇をもぎ取ったんですけどね。つまりこれは5号艇か6号艇かを決める抽選で、山本は一言「ああ、しょうもない」(笑)。そんな抽選なのに、めちゃくちゃ盛り上げた菊地と山本に敢闘賞をお贈りします!

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 あと、ジャンケンのときには、勝ったほうに王者が「はい、ガッツポーズ」と命令していました。「だって盛り上げなきゃなあ」とのことで、松本晶恵ちゃんが石橋道友に勝ってかわいくガッツポーズ見せてくれました。萌えたぜ。

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 さあ、最後はファイナルの枠番抽選。5号艇は峰、6号艇は真庭で確定しているので、1~4枠の抽選。抽選順はトーナメントの上位着からで、ピンピンでファイナルに進出した平本真之と小野生奈はジャンケンで順番を決めることになった。運命のジャンケンになるかもしれないだけにおおいに盛り上がる! 最初はグーと小野がグーを出したら、平本は「最初はシーサー!」とグーじゃなくてシーサーポーズ。はい、滑ったあ~! しかもジャンケンにも負けて、平本は「恥ずかしい」とうずくまっておりました。そんな平本の抽選では、「3回続けてはダメだぞ」とブーイング。すべて1号艇ともなれば神ってるとしか言いようがないが、出たのは黒。平本ガックリで、なんだか散々な抽選となったのであった。ご愁傷さまです(笑)。

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 そして結局、いいトコをぜーんぶ持ってったのは王者! 平本の次に白か赤かの抽選をし、出たのは見事に白!「安いとこは出るで~」と宣言しての白ゲットに、王者は今日も堂々たるガッツポーズ。賞金高いところではなかなか出ないですもんね。それどころか緑がよく出るし。というわけで、なんだかんだで王者が空気を支配しちゃってるバトルトーナメント(あとキクちゃんも)。2代目チャンプは王者で決まりか、それとも……!?(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)