BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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宮島レディースオールスターTOPICS 3日目

やらずやり、やりやらず。

 

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 今日は「スタート展示×本番進入」でちょっとした紛れが発生した。まずは4R、スタ展でまったく動く素振りを見せなかった6号艇の海野ゆかりが、本番でゴリゴリの2コース奪取。スタートこそ凹んだが、見えないところからの痛烈なジカまくりでバック突き抜けた。これぞ、地元の意地! 進入に関してはいわゆる「やらずのやり」戦法で、同レースの選手たちはもちろんのこと、多くのファンもこの“奇襲”に目を白黒させたことだろう。6コースと決め込んで海野の2・3着で勝負していたある男が、哀愁の叫び声をあげていた。

「カネ、返せーー!!」

 レース後のピットもいささかビリビリしたムードが漂っていたらしいが、海野に落ち度はない。スタート展示の並びに何の拘束力もない以上、選手は本番で勝つために裏をかいたり裏の裏をかいたりしてもいいのだ。「やらずのやり」を卑怯だ、騙された、とか思うのなら、それはスタート展示という存在そのものを忌み嫌うべきだろう。選手を責めるのはお門違いだ、と私は思っている。

 

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 その1時間後の6R、今度は真逆のケースが生まれた。まずはスタート展示、6号艇の谷川里江がゴリゴリ動いた。この前付けに2号艇の遠藤エミだけが抵抗し、並びは26134/5の変則隊形に。当然のことながら、それ以降2=6のオッズがぐんぐん下がって行った。3着に香川素子を据えた3連単2-6-5は、30倍台から7倍台(1番人気)まで暴落した。

 いざ本番、谷川は戦法を変えて、枠なり3対3の6コースに収まった。海野とは正反対の「やりのやらず」。この瞬間、スタ展を信じて2-6勝負していた多くのファンはこう思っただろう。

「カネ、返せーー!!」

 気持ちはわかるが、これも谷川を責めるのは筋違い。スタート展示は動いてみたものの「スローからでは足がもたない」などの思惑で作戦を変更するケースは少なくない。スタート展示がある以上、シンプルな進入予想だけではない、「グーチョキパーの探り合い」みたいなオプション予想も突き付けられる気がするな。ほんの1時間ほどの間に「やらずのやり」と「やりのやらず」が出現したので、あれこれ書かせてもらった。スタート展示を「スリット付近の行き足計測」として重宝しているファンは多いので全否定はしないが、こと待機行動(進入争い)に関しては「余計な紛れを生じさせる厄介な存在」だと思う。進入争いをより活性化させる意味でも、できればスタート展示を廃止してもらいたい。それが私の勝手な持論である。

 

突き抜けない“ピンピン”

 

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 宮島に「絶対エース」として君臨し続けている11号機に、異変あり?? 今日の長嶋万記・11号機は、7Rで3コースからのまくり差しが惜しくも届かず(初動でややバランスを崩したのが響いたか)2着。インコースから満を持して臨んだ12Rも、2コース細川裕子の差しを浴びて2着。初戦のドリームから②2222という煮え切れない成績で3日間を走り終えた。宮島自慢の11(ピンピン)が、まさかこれほど2着を並べるとは……。

 うむむ、前半の2着はともかく、イン戦で取りこぼした12Rはどうしたことか。先マイを打って、細川の舳先がわずかに入った。まあ、万記のターンがややターンマークを外していたから、ここまではいいとしよう。問題はその直後だ。真のエース機なら、ターンの出口でセカンドのギアに突入してスッと突き抜ける。そんな二の足の軽快さが感じられず、直線でも逆に2号艇の舳先がグイグイ食い込んでいった。おそらく、この直線で万記の自信も大いに揺らいだことだろう。

 実のところ、BOATBoyの今月号で「(11号機は)スリットから一撃で突き抜ける足や道中で一気に逆転する足、つまりはパンチ力ではやや劣る」的なことを記している。ただ、それはモンスターと評される戸田44号機と比較したもので、この宮島ではやはり抜けた存在だと思ってきた。前検の足もピッカピカで、申し分なく見えた。3日後のいまは「ターン出口の足をはじめ、ちょっとちょっと物足りない」という不安を感じている。万記は初日からペラを叩き続けて「自分の納得のゆく仕上げ」を目指しているようだが、その方向性が合っているかどうか、再確認する必要があるだろう。もちろん今の足が「悪い」というわけではなく、「全部の足が強めの超抜パワー(Sランク)」であることは間違いないのだが……SS級への変わり身を期待したい。

 

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 一方、11号機以上に期待していた川野芽唯20号機は、日々少しずつ全体の足をアップさせて、今は11号機と遜色ないパワーだと思っている。課題の伸びも上位レベルまで底上げされたし、あとは回転がバッチリ合ったときだけ実現する「得体の知れない爆発力」みたいなモノが来れば、現状の11号機を飛び越えるだろう(かつて、そんなメガ進化状態が2節ほどあった)。心の師匠・瓜生譲りの整備力でどこまでそこに持っていけるか。誰が乗っても伸びる11号機よりゾーンが狭いだけに、腕の見せ所ではあるな。

 まあ、なんだかんだで3日間を終えて川野20号機が予選2位で、長嶋11号機が同3位。暫定トップの山川美由紀は4・6号艇の試練の枠を残しており、川野は5号艇、長嶋は6号艇で熾烈なトップ争いになりそうだ。予選を終えてみれば、「宮島ツートップエンジンが1・2位独占」という可能性も小さくない、と思っている。

 さてさて、この新シリーズは「登録番号4600台以降のB1レーサーがどれだけ活躍できるか」がひとつの見どころでもある。明日の勝負駆けに向けて、準優進出の可能性を残す面々を列挙しておこう。

 

★4678水野望美…6R6号艇で⑤着条件

 

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さすが女子ビッグの常連、予選突破どころか優出&それ以上!も期待できる予選7位。同世代では、貫禄の違いさえ感じさせるなぁ。ただ、残された枠は最難関の6。予断は許さない。

 

★4680後藤美翼…10R3号艇で⑤着条件

昨日たっぷり書かせてもらったが、今日も3・2着と手堅くまとめオール3連対で暫定8位。強敵が揃った10Rでも舟券に絡めば、準優の好枠が見えてくる。

 

★4642松尾夏海…8R3号艇で②着条件

 

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今日は3コース一撃まくりで横綱・遠藤エミを引き波に沈める大金星! この10点増しが効いて暫定21位まで浮上、パワー的にも勢い的にも予選突破があっても不思議じゃないぞ。

 

★4758富樫麗加…6R2号艇&10R5号艇で②②着条件

 

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白百合のお嬢さまが、ミラクル予選突破に挑む。低いハードルではないが、現状・上の下レベルのパワーをさらに引き出せば不可能ではないはず!

 

★4804高田ひかる…5R5号艇&9R2号艇で①②条件

 

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道中、粘っこい追い上げで大崩れなく、ギリギリの勝負駆けに持ち込んだ。麗加さまよりさらに険しいハードルだが、無欲無心で粘っこく攻め続けてほしい。

 

※推定ボーダー6.33

 

(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)