BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――SGだ!

 

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 SG開幕! ということは、グランプリへの道が今年も本格的にスタートしたということでもある。実際、石野貴之と山崎智也はドリーム会見でこう言い放った。

「早く活躍できれば楽になるので、頑張ります」

 明らかにグランプリ出場を見据えての発言。彼らのようにグランプリ出場をノルマであるかのように己に課している選手たちにとっては、SGも始まったばかり、などという意識ではなく、いきなり出場へのメドを立てる一戦となる。いや、今年のSG戦線を余裕を持って戦えるという特典つきの、大事な大事な一戦なのである。

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 というわけで、一発目のSGでどこか華やいだ雰囲気もありつつ、同時にSG独特の緊張感も漂う前検ピット。今年に入ってバトルトーナメント、レディースオールスターと取材をしてきたが、やっぱりSGのピットにはその両者にはない、濃密な空気がある。バトルトーナメントでは笑顔が非常に目立っていた菊地孝平が、早くも戦闘モードに入ったような顔つきを見せていたのが、ひとつの象徴だ。

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 まだスタート練習とタイム測定が始まる前、整備室を覗き込むと、魚谷智之、安田政彦、芝田浩治、向所浩二が話し合う姿があった。おぉ、これはチーム兵庫だ。魚谷は昨年のグランプリ戦士であり、芝田も昨年はダービーでSG初優出。一方、安田と向所はこれが久々のSG出場となる。安田は2年前のクラシック以来、向所は4年前のクラシック以来。SG出場はそれほど多くはなく、それは芝田も同様。グランプリ戦線という意味では、決してその中枢に陣取る存在とは言えない。しかし、真剣に何かを話し合う様子には、やはりSGらしい大一番感が浮かんでいる。これがSGというものだろう。

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 やはり3年前のクラシック以来のSGとなる山下和彦も同様。「明るく楽しく元気よく」がモットーの山下も、その実、ピットでは闘志あふれる表情を見せてくれる一人だ。話しかければ、まさしく明るく楽しく元気よく応えてくれるが、作業に励む様子は勝負師然としている。安田にせよ向所にせよ山下にせよ、久しぶりにそんな顔を見せてくれるのはなかなかに嬉しいもの。あ、この3人、70期の同期生じゃないか。70期からはほかに前本泰和も参戦。今節はなかなかの一大勢力だ。肝心な人が一人欠けてるけど。

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 スタート練習&タイム測定が進んでいくと、整備室はどんどんと賑わっていく。モーターを格納するための作業をしている選手も多いが、ギアケース調整をする選手も非常に多く、その作業台周りは常に混雑の様相を呈することとなる。選手名をあげていったらキリがないほど、多くの選手がギアケース調整に励む。とりあえずエコひいきで、飯山泰をあげておこう。あと、手元が陰に隠れて見えなかったが、赤岩善生がギアケース調整用の作業台の向こう側で、何かの調整をしていた(キャブレターかと思われる)。赤岩が前検から整備をするのはまったくもっていつも通りのこと。今年も赤岩は姿勢をいっさい変えることなく、己の流儀を貫いて戦っていくわけだ。

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 さてさて、そんなピットでも微笑ましく眺めてしまうシーンももちろんたくさんある。たとえば、村上純を見つけたJLC専属解説者の田辺通治さんが嬉しそうに駆け寄って、談笑しているシーン。村上は10年以上も地元水面を走っていないのだが、それだけにこのピットで再会できたことが田辺さんは嬉しかったようだ。村上もとびきりの笑顔で会話を交わしており、田辺さんの軽妙な人柄も相まって、実に楽し気な先輩後輩の久しぶりの出会いと見えた。

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 ドリーム会見で今垣光太郎が、児島との相性を訊かれて「大好きですね」と言った。なにしろ、忘れられないSG初制覇の地(1999年クラシック)。そりゃ大好きに決まっている。と思ったら、理由はそれだけではなかった。「食事も最高です。それとタバコ吸えるところが山と海が見えて最高です」。ダハハハ、メシが美味くて景観もいい、と。タバコ吸えるところ、というのが下の写真です。

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 桐生順平がちょうど一服つけているところを激写しました。ここ、たしかに気持ちいい。報道陣もここで吸えるのだが、目の前に広がる瀬戸内海、その向こうに見える緑の陸地が本当に気持ちいい。光ちゃんとかと時々出くわして、ちょっと緊張したりもするんだけど。あ、明日のドリームは3号艇の今垣だが「明日は引っ張らないと思います」とのこと。3カドなしかあ。出足型というのがその理由で、4号艇の菊地孝平は「今垣さんが引きたそうにしていたら、向けて3コースも」と警戒しているのだが、どうやら普通に3対3になりそう。ただし光ちゃん、かなり機嫌が良さそうな様子で、足に手応えありと見たぞ。(黒須田)