ピットでのレース観戦は、整備室内のモニターを外からガラス越しに見る、というのが児島でのスタイル。２Ｒ、スリットを過ぎた瞬間、たしかに椛島アナの悲鳴が聞こえてきただった。スリットで前に出ていたのは、間違いなく今垣光太郎。ドリーム会見で「クラシックはその年最初のＳＧでテンションが上がるので、平常心でいきます」と言っていたのだが……。
モニターには「返還③⑥」の表示が出て、にわかに福岡勢の動きも慌ただしくなる。渡辺浩司を出迎えるべく、レース途中だがリフトへと駆け出したのだ。渡辺がコンマ02、今垣がコンマ07のスリットオーバー。今垣は、コンマ05以上のオーバーだから、即日帰郷ということになる。それが感覚としてあったかどうか、ともかく今垣は痛恨の表情となっていた。渡辺も渋面を作って結果を悔いていたが、今垣の落胆ぶりははるかに大きかった。悔いを隠すことなくとことん表現するのは今垣らしさだが、この姿はあまりにもツラい……。
勝ったのは海野ゆかり。しかし、勝ち方が勝ち方だからか、あまり歓喜を表現していない。決まり手も恵まれであり、会心の勝利というわけではない。湯川浩司の追撃を競り落としての勝利ではあるが、素直に喜べるものではないだろう。むしろ疲労感が伝わってくるレース後で、長嶋万記、松本晶恵と語り合っている最中にちらりと笑みが見えた程度だった。９Ｒはスッキリした走りをしてほしいところだ。
その前の１Ｒは、篠崎元志が２コースからまくり切っての１着。イン村上純のスタート遅れということもあってか、こちらも笑顔は控えめだった。村上と陸の上で顔を合わせると、申し訳なさそうな苦笑いを浮かべる場面も。村上も、やっちまった、というような苦笑となっており、お互いの気持ちはそれだけで伝わり合っただろう。
このレースでは、３着の山崎智也が、海野のそれとは質は違うが、疲れたような表情でピットに上がってきている。決して楽な３番手争いではなかったから、そんな顔つきになったのだろうか。２Ｒ終了後、飯山泰と顔を合わせた山崎は、笑いながら「どうもすみませんでした！」と飯山に頭を下げていた。２周ホームで山崎の艇尾が飯山の艇首に少し接触していたシーンのことだろうか。もっとも飯山もニコニコと笑っていたが。これはむしろ、じゃれ合いの延長のように見えたのだった。
敗者はもちろん、勝者にしてもあまり爽快な表情が見えなかった２日目序盤戦。レースの綾により、こんなこともあるのが勝負事ということだろう。
さて、１Ｒ発売中に毒島誠と松本晶恵が隣同士で本体整備をしていた。やがて松本は整備を終えて、組み直したモーターをボートに装着。一方の毒島は、それからも長く整備が続いていた。毒島は昨年、ＳＧでモーター抽選運にまったく恵まれなかった。それでも立て直して優出が２回。これは数字以上に価値があるものである。そして今日もまた、整備に追われる。次にＳＧでいいモーター引いたら、あっさり獲っちゃうかもね。今日の整備で立て直して、毒島らしいレースを見せてくれるだろうか。
なお、池田浩二も１Ｒ発売中に本体整備を始めていた。昨日に引き続きの整備だ。なんとかパワーアップを！（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 ＴＥＸＴ／黒須田）
