BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――同期の桜満開

 

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 昨日の前検では、ちょっと珍しいことが起こっていた。5班が60期で占められていたのだ。さらに、6班が全員61期。これまでのSG、プレミアムGⅠでは記憶にない事態だ。

 前検の班は、ビッグではドリーム戦組が1班で、2班からは登番順に入る。それが偶然、同班にまるまる収まるという事態が珍しい。それも2組も。同期から6人がビッグ参戦というのはなかなかないことで、たとえばSGでは銀河系軍団が何度かやっているのだが、前検の班はいつも分かれていたはずだ(全員同班なら気づくはず)。というわけで、今節の前検で起こった2班において1期独占は実に貴重! 今節はレアなプレミアムGⅠである。

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 で、今日の終盤は60期の絡みは何度か見かけた。というか、谷川里江と同期の絡み、か。8R終了後の烏野賢太はギアケース調整。整備士さんにアドバイスをもらいながら、丁寧に作業を進めていた。そこに谷川が歩み寄る。烏野作業を見守ると、二言三言、声をかけた。11R発売中には、レース後のプロペラ調整を始めた川﨑智幸のもとに谷川が寄っていった。ペラ談義だろう、川﨑と数分間、言葉を交わしていた。

 10Rは、川﨑と倉谷和信のワンツー。このときは、カポック脱ぎ場となっている洗濯室で、笑顔でレースを振り返っている。勝ったのは倉谷で、もちろん笑みは深くなっていたが、川﨑も同期で上位独占に満足だったのだろう、同じように苦みの交わらない笑顔だった。

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 一方、61期の絡みは見かけた記憶がないなあ。メモにも記されていないし。11Rは野長瀬正孝がまくり差し快勝。もし丸尾義孝が2着で61期ワンツーになっていたら、やはり笑顔を交わし合っていたのだろうか(丸尾は4着)。野長瀬のエンジン吊りには作野恒、新美恵一が同地区ということで参加していたはずなので、そのときに絡みはあったかもしれないが、残念ながら見逃している。作野&新美という同県同期がいるわけだから、明日からも彼らの動きには注目しておこう。

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 今日の津では植木通彦さんのトークショーが行なわれた。その植木さんと同期の59期からは4人が参戦。彼らの絡みは、森竜也が班長ということもあるのか、まあまあ見かける。今日の11R終了後には森&垣内清美の同県同期コンビが楽しそうに談笑していた。地元からはこの二人だけの参戦。今節は協力し合って一節を円滑に進めていくことだろう。ただ、このときの会話は文字通りの談笑で、垣内がなんともかわいらしく笑い転げていたのだった。まるで本栖研修所での自由時間かのように、なんだか二人とも訓練生の頃にまで若返っていたように見えたぞ。この30年間、こんなふうに励まし合ったこともきっと多々あったはずだ。

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 そうそう、昨日、ボート界の上下関係は登番、と書いたが、その典型的なシーンが今日は見られた。11R発売中、渡邉睦弘と乙津康志が明日の艇旗艇番の準備をしていた。そのとき、渡邉の言葉に対して、乙津はすべて敬語。「はい、はい、そうですね」てな具合に。渡邉は、今年がマスターズデビュー。一方、乙津は昨年マスターズデビュー。年齢は乙津のほうが上なのだ。しかし、登番がすべてのこの世界、渡邉は年下でも完全に先輩なのである。こういうのって、ジャンルによって違いますよね。同じ公営競技でも、競輪は年齢が上下関係を作る。プロ野球もそうですよね。芸能界はボート寄り? プロレスはボートとまったく同様です。もちろん、個々の関係によっていろいろあるもので、先輩後輩であってもタメ口の関係性もあるだろうし、同期でも年上に対してはさん付けの関係性もまたある(西島義則は大嶋一也を大嶋さんと呼んでいるはず)。ともあれ、年に一度の同窓会みたいなところもあるマスターズだけに、ベテランたちのさまざまな絡みが気になるという次第であります。

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 さてさて、今日はインが7勝。マスターズはそこまでインが強いというイメージはないから、まあこんなものか。出場メンバーもインが今ほど強くない時期にバリバリだった世代である。しかし、やはりインで勝てないというのは悔しいものだ。10R、1号艇を活かせなかった熊谷直樹は、思い切り顔をしかめて、無念をあらわにしていた。常にまくって内を潰すことを信条としている男だからこそ、逆に潰されてしまうことを極度に嫌ってもおかしくはない。イン屋とまくり屋は裏表なのだ。11Rで1号艇2着の山室展弘も、出迎えた亀本勇樹に向かって、両手を開いて手のひらを上に向け、「Oh,No!」みたいなおどけたポーズを見せている。熊谷のように感情をさらけ出すタイプではないが、逃げ切れなかった悔しさは隠せず、それが山室の場合、道化を演じるかのような表現になっているのだろう。明日は天気が回復する。レース傾向はどう変わり、選手の表情はどうなる?(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)