BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

津マスターズTOPICS 初日

 

エースの底力

 

f:id:boatrace-g-report:20171228195445j:plain

 

 今日の津水面は荒天のため1~7Rまで安定板装着。正味の足色が測りにくい1日になったが、突出して目立ったパワーは見当たらなかった。昨日、私がトップ3に推奨した野長瀬、山一、大嶋も過大評価だったと認めざるを得ない。3人ともに直線がかなり弱い高橋勲(←安定板の前半はソコソコ、外した後半はサッパリ。昨日よりはややアップして、回り足は水準級か)とのマッチアップで良く見えてしまったのだろう。

 ただひとり、「おっ」と思わせたのが11Rの野長瀬正孝だ。3コースのやや凹んだ隊形から伸び返して、そこそこ余裕のあるまくり差し勝ち。もちろんこの勝ちっぷりも上々だったのだが、それより不気味に見えたのが直前のスタート展示だ。スリット同体からシュッと伸びた瞬間にいきなり減速したのである。これを勝手に裏読みすれば「しっかり合わせきった手応えを掴んだから、他の選手に足色を見せないようにした」ということになるのだが……その後の実戦足も含めて、野長瀬はSSに止めておきたい。大嶋一也、山一鉄也も明日以降に期待する。

 

f:id:boatrace-g-report:20171228195739j:plain

 

 で、もっとも気になるのは、シリーズ前から期待していた70号機=渡邉睦広だ。今日も特訓の気配はさほど目立たなかったものの、実戦では2・2着とまとめてみせた(3・1号艇なので威張れるほどではない)。2走ともに安定板だったので明言はできないが、スリット前後の行き足とターンの出口から押していく感じはかなり良さげに見えた。明日は6号艇のワンチャンス、特訓の気配を含みにしつつ舟券に絡めてみるつもりだ。

 

f:id:boatrace-g-report:20171228195839j:plain

 

 他の面々は……悪天候&安定板で、正直わかりません>< なんとなくだが、谷川里江の足はしっかりしていて明日以降も「谷川&外選手」で大穴を狙っていきたい。明日は1・2号艇だけど。

 それから、前検で「ストレートが弱い」と指摘した熊谷直樹に微かな光が。今日の前半は懸念した通りまったく伸びないムードだったが、後半にキャリアボデーを換えて直線の足が中堅レベルまでアップした。まあ、本当に微かな光で、回り足もちょっと厳しそうではあるな。足が来なければスタート勝負に持ち込むタイプなので、とりあえず直線がアップしたことは収穫ではある。明日は4号艇。今日の1号艇→4着で人気にならない可能性もあり、舟券を視野に入れておきたい。

 とにもかくにも、パワー相場としては前検時計通りの大混戦ムード。で、ドリーム戦士6人の足がしっかりしているため、満遍なく散らばる明日はパワーより腕&近況の調子がモノを言いそうだ。実力通りの堅めの決着か、逆に銘柄級がぶっ飛んで大穴か。そんな両極端のシリーズになりそうな気がしている。

 

★今日のMVP

 

f:id:boatrace-g-report:20171228195857j:plain

 

 ひとりもピンピン連勝がいなかった初日。11Rで山室展弘が逃げきっていれば有力候補だったのだが、野長瀬58号機のまくり差しに屈してしまった。となると、やはり約800倍という配当のでかさで7Rの作野恒だろう。レースっぷりも、なかなかに豪快だった。6コースから内2艇が凹んでいると見るや、迷わず艇を傾けて絞め込み態勢に。ただ、2艇を叩いた直後、内3艇とはほぼ同体に見えたものだ。それでも作野は行った。強ツケマイで2・3コースを引き波に呑み込み、握って応戦したイン睦広を回してからの的確なまくり差しハンドル。この舳先が見事に睦広の内を貫いて、あっと驚く800倍の立役者となった。

 最近の作野のイメージは「捌きタイプの差し巧者」なのだが、今日の自力絞めまくりからの割り差しは肉食系のどう猛さを感じさせた。おそらくパワー的な手応えも感じているはずで、明日以降も要注意。どんなにバリバリの差し屋でも、伸び型のエース機などを手にしたらその節間は人が変わったようにまくりを連発したりするのだから。

 

f:id:boatrace-g-report:20171228200029j:plain

 

 続いて、審査員特別賞(←だれ?笑)は6Rの亀本勇樹に授けたい。単に逃げきっただけではあるのだが、6号艇には泣く子も黙るイン屋の鈴木幸夫。さらに58kgというヘビーウェイト。このふたつの難敵を克服しての逃げきりは天晴れと言うしかない。レース後のインタビューもポイントが高かった。泣きそうなトホホ顔で

「6号艇に鈴木さんを入れるなんて……津競艇さん、無茶するわぁ」

 合わせ技一本ってな感じでした!

 

f:id:boatrace-g-report:20171228200047j:plain

 

 もうひとり、女子で唯一18位以内に食い込んだ山川美由紀にも「佳作」あたりをプレゼント。4Rは1号艇で2着、8Rは3号艇でこれまた2着。特筆するほどの成績ではないが、8Rの3コースから内の市川哲也にツケマイを浴びせ、さらに2マークで艇団のど真ん中を力強く切り裂いたレースっぷりに拍手を贈りたい。レディースオールスターを制した勢いで、どこまで百戦錬磨のオッサンたちを苦しめるか。明日以降が楽しみになる2・2着だった。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)