BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

津マスターズTOPICS 2日目

長州軍vs京の天皇??

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171230093702j:plain

 

 今日はいろんな意味で大暴れした山口支部の3人を取り上げよう。まずは……

 いやあ、還暦を迎えても強いこと強いこと。今日のMVPは、9R6号艇の新良一規に贈りたい。まずはピット離れ。昨日から軽快な飛び出しを見せていたが、このレースでもヨーイドンで軽く1艇身。そのまま舳先を内へ内へとねじ込んで、新美・西島に続く3コース奪取だ。でもって強い追い風の中、スタートはコンマ10間違いなく全速。スリットから力強く伸びて、その勢いのまま内の西島(コンマ07も、アジャストしたか)を強引に絞め込み、インの新美恵一までも引き波にハメそうなまくりを打った。

 

f:id:boatrace-g-report:20171230093716j:plain

 

 バック直線は、ギリギリ舳先を残した新美との一騎打ち。1マークで西島が転覆したため、2マークの一発勝負だ。新良は舳先ちょい掛けで粘る新美を先に回して、差しハンドルに構えた。その初動といいスピードといい、20代かと見まがうような若々しいターン。しっかりと新美の内に舳先を突き刺し、そこで1着を確定させた。うーーん、バナレあり前付けあり強ツケマイあり俊敏差しあり……新良さん、あんたホンマに還暦でっかーー??ってな感じの天晴れなレースだった。去年、天の川ボートに永年斡旋された同期の冨好和幸さん(イン屋の神様)も、目を細めて観戦していたことだろう。

 この6号艇での貴重な1着で、新良の予選勝率は6・67。相棒の61号機は日に日にパワーアップしているムードだし、バナレという武器もある。還暦でのマスターズVがあっても不思議じゃない、とお伝えしておこう。山口の2000番台のスターは、今村豊だけじゃない。

 

f:id:boatrace-g-report:20171230093730j:plain

 

 と書きつつ……今日のミスターも強かった。いや、強すぎた。まず2号艇だった前半6Rは、新良に負けず劣らずのピット離れから一瞬にしてイン奪取。ただでさえ最強レベルなのに、バナレまで付いてしまってはまさに鬼に金棒だ。コンマ18のトップスタートから1マークを先取り、2コース上田隆章の怒りの?ツケマイをしっかりブロックしてあとは一人旅に持ち込んだ。

 で、最終12Rは1号艇。展示時計はブッチギリだわ、すでに6Rで“予行演習”は済ませてるわ、スリットはただひとりゼロ台まで踏み込むわ、そっからさらに伸びて1マークまでに2艇身ほど突き抜けるわ……5-4などという荒唐無稽な舟券を買っていた私は、1マークの手前でクシャクシャに丸めた。まさに影も踏ませぬインモンキーで、デビュー2700勝に「逃げ逃げピンピン連勝」という花を添えたのだった。バナレといいパワーアップといい、新良ともども長州勢は何か秘術を掴んでるのかも??

 

f:id:boatrace-g-report:20171230093742j:plain

 

 その12Rでミスターの露を払うように、ぴったり2番手を走り抜いたのが大賀広幸だ。今日の4Rは大嶋・江口らの曲者たちをインから一蹴。昨日から312着と安定感抜群の走りを見せているのだが……なんとなんと、昨日の不良航法-7点(個人的には厳しすぎる裁定だと思っている)に続いて、今日の12Rでも空けすぎによる待機行動違反-7を喰ってしまった。その減点、合わせて14!! 目の前が真っ暗になるような悲惨な数字だが、この好成績だからしてまだ予選突破の可能性は残されている。この絶望的なビハインドを跳ね除けて、頂点まで上り詰める道(狭くて急な山道)を突き進んでもらいたい。単一の藩で英国に戦争を吹っ掛けた長州のサムライ魂に期待しよう。

                 ★

 さてさて、2日目を終えて誰がトップに立ったかというと……山田豊! 豊は豊でも、長州ではなくかつて「びわこ天皇」と呼ばれた豊だった。いつの間に?ってな感じではあるな。昨日はトップSからしっかり逃げきって10点ゲット。これは想定内として、今日の10Rはド派手な10点満点だった。

 まず、4号艇の山田は亀本勇樹を入れて5カドを選択した。往年のファンなら誰もが知っている「カド獲り名人・山田」。伸び足の差が激しかった昔は、山田(猛烈な伸び型にして1号艇でも常に4カドを選択)がカドに居座るたびにその動向に目を奪われたものだ。今日も自然に目が向いたが、スリット隊形は最悪。山田のコンマ13に対して、カド受けの亀本がコンマ06。さらに内の3艇もすべてゼロ台まで踏み込んでいた。

 ダッシュ勢は届かないな。

 

f:id:boatrace-g-report:20171230093756j:plain

 

 そう決めつけて内に目を寄せようとしたとき、いきなり山田が動いた。半艇身ほど前にいる亀本に襲い掛かった。で、重量級であまり伸びない亀本にツケマイを浴びせた瞬間、3コース江口も絞めまくりで内を攻めはじめた。ぽっかり空いたど真ん中の水面に、山田はまくり差しのハンドルを突っ込んだ。この差しが、バックで先頭まで突き抜けていた。展開がハマッたのは間違いないが、それもこれもありえない隊形から自力で攻め潰しに行ったからこそ。カドの山田。やはり、恐るべし! もちろん2走での勝率10・00=予選トップは、まだまだ手放しで喜べる立場ではない。ただ、今日の果敢な握りっぷりといい、バックで最内からグイグイ伸びきったパワーといい(昨日のイン逃げだけでは、これほど伸びるとは気づかなかった)、こちらの“豊”もまったく侮れない存在だ、と肝に銘じた。今日のパワー気配なら、もう2、3度ほど「カドの山田」があっても不思議じゃないだろう。たとえそれが準優、優勝戦の1号艇でも……。(←近代ボートレースではありえないような妄想だと自覚してます、はい)

(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)