BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

福岡オールスターTOPICS 初日

とんでもダイブ!

 

 ここは本当に福岡なのか?

 と思えるほどインが幅を利かせた1日ではあった。1Rの竹井奈美のイン逃げ=SG水神祭にはじまり、後半戦は7R~11Rまで5連勝。つらつらレースを見る限りは1マークでのうねりがほとんど感じられず、イン選手にとっては走りやすい水面だったのかも知れない。

 

f:id:boatrace-g-report:20171230113441j:plain

 

 11Rまで1号艇=インコースがすべて舟券に絡み続けた福岡水面で、最後の最後に大波乱が待ち受けていた。哀しい“主役”はファン投票1位の峰竜太。「ファンの期待に応えるべく、全部勝つつもりで頑張る」と気合満々で臨んだこのドリーム戦。スタートはコンマ13全速と過不足のないものだったが、3コース桐生順平のそれが破格すぎた。コンマ05、ほぼ全速! 半艇身遅れから必死に伸び返してブロックした峰だったが、わずかに合わせきれずに桐生の引き波の餌食となった。ズルリと艇が滑って、バックは大差の6番手。

 嗚呼、そして……そこから数秒間は、峰の心理がそのまま最悪の形で水面に投影された。「ファンのために、なんとか舟券に絡みたい!(推測の心の声)」と無理な態勢から最内に切り込もうとして、振り込み&キャビテーション。見るからに気持ちとハンドルが噛みあっていなかった。で、普通ならそこで6着を覚悟して態勢を立て直すものだが、今日の峰は違った。振り込んだまま、スロットルレバーを握り締めた。「ここで諦めたら、みんなに申し訳が立たない!!!!(推測の心の声)」という一心で、前に突き進んだ。もちろんターンマークを目指したと思うのだが、はやる気持ちがそれを許さない。ターンマークの数メートル手前で峰はネトロンに衝突し、乗り上げ、そしてダイブしてホーム水面に飛び降りた。オールスター史に残る珍プレイ。寛容なるファンの皆様におかれては、「この独り相撲のとんでもダイブこそが、峰竜太のファンに対する熱い気持ちの顕れ」と思っていただきたい(もちろん、罵詈雑言もありですな)。

 

f:id:boatrace-g-report:20171230113458j:plain

 

 こんな大失態を演じた峰ではあったが、奇跡的な幸運にも恵まれた。まず、着水した時にボートにしがみついて落水も転覆もしなかった。水面に落ちていたら、それだけで責任転覆の減点5を食らっていたはずだ。さらに、篠崎元志と池田浩二が咄嗟の判断で危険を回避したため、「(おそらく)順位の変動もなく、接触もなかった」という判断から不良航法も免れた。さらにさらに、あれだけの衝撃を受けながらエンジンは停止せず、回り直して2マークを通過することができた。これらの僥倖が重なって、あれだけド派手な失態を演じながら減点を食らわなかったのだ。この裁定に異議を唱える方もいるだろうが、とにかく峰は5点ゲットでV戦線に踏みとどまった。明日以降、ファンの期待に応えるべくシャカリキに走る姿が目に浮かぶ。うん、その強すぎる心意気が、再び空回りにつながらなければ良いのだが……。

 

主役は渡さん!

 

f:id:boatrace-g-report:20171230113516j:plain

 

「お帰りなさいませ、ご主人さまっ!」(2006年、戸田オールスター表彰式)

 やはり、このシリーズにはこの男の1着がよく似合う。Mr.オールスター山崎智也が初日から本気モードに突入だ。度肝を抜いたのが5Rの1マーク。3コースから凄まじい切れ味のまくり差しを決めたのだが、スリット同体から引き波にハメた2コース選手は茅原悠紀! 異次元のターンスピード&今節の目玉モーター29号機を擁する超難敵を、まさか一撃の割り差しで叩き潰すとは……。「まだまだ、この舞台では役者が違うぜ」とシャウトするような悶絶ターンだったなぁ。

 

f:id:boatrace-g-report:20171230113533j:plain

 

 後半10Rは道中の追い上げでファンの目を奪った。アウト6コースの最内差しはまったく届かず、バック最後方。そこからターンマークごとにぐんぐん追い上げ、2番手の白井英治を強烈なツケマイで攻め潰してしまった。その鬼気迫る追撃も凄かったし、それを実現させた足色にも唸らされた。智也24号機の戦前の下馬評はあまり高くなかったのだが、今日のふたつのレースのパワーは、間違いなくAランクかそれ以上だったと思うぞ。うーーん、やはりオールスターの神様が智也の背中を押しているかも??

 

f:id:boatrace-g-report:20171230113555j:plain

 

 3号艇1着&6号艇2着で18点ゲット。初日の順位は7位なのだが、今日の水面でもっともコストパフォーマンスの高いレース&着順を実現させたのは智也だったと思う。しかも、今日のパワーをしっかり維持しつつさらなる上積みができれば、このポイントは飛躍的に増幅していくだろう。最終日の最終レース後に「お帰りなさいませ、智也さま!」と迎え入れる準備を、今から整えておくとしよう。

 

f:id:boatrace-g-report:20171230113613j:plain

 

 最後に、この智也も含めた初日のパワー番付を簡潔に記しておく。前検での感想どおり、スリットから1艇身も突き抜ける超抜パワーは見当たらなかった。期待した竹井奈美も前半こそ逃げきったが、後半はスタート展示からモッサリしていて頼りない足色だったし。とりあえず、Aランクは以下の通り。

 

Aランク/遠藤エミ、菊地孝平、松井繁、田中信一郎、石野貴之、岡崎恭裕、、山崎智也、竹井奈美

 

f:id:boatrace-g-report:20171230113632j:plain

 

 智也はターン回りから出口で押していくパワーが強力で、他はどちらかというと行き足~伸びのストレート系が強い。もっとも評判の高い茅原29号機は、まだ本来の力強さに至っていないと思う。Aに近いのが濱野谷憲吾、松村敏、日高逸子、桐生順平あたりか。逸子ママと松村はどこかで大穴を開ける可能性があり、穴党は常に注意しておきたい。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)