10Ｒ 大阪ワンツー
１着：田中信一郎、２着：松井繁。大阪の超実力者によるワンツーが出来上がった。レース後に特別、歓喜を交わし合うシーンは見られなかったが、大阪支部にとって最高の結末だったのは間違いない。とりわけ、先頭を走った田中は感慨があっただろう。会見でも「あの松井繁を従えて、ですから」と気分の良さを口にしている。明日は大阪支部が３人、ファイナルで戦う。田中はもちろん、今日の再現＋１号艇の後輩まで従えて、を狙うレースを見せるだろう。
松井は、大阪ワンツーについては「強さを見せられてよかった」と語っている。大阪支部最強を自任する彼らにとっては、やっぱり最高の結果だった！ 井口佳典に声をかけられてのこの笑顔が、すべてを物語っていると言ってもいいはずだ。
悔しかったのは新田雄史だ。１マークを回った時には、差し残したと見える隊形だったのだ。しかし、握った松井が旋回出口からすーっと新田を追い抜いていった。さらに最後は６着にまで後退している。やや調整にミスがあったのだろうか。新田はレース後、すぐさまペラ調整所に向かっている。昨日までのデキだったら残せたかも、という思いがあったか。レースが終わったずっと後には、山口剛にもそのあたりのことを突っ込まれ、新田はただただ苦笑いを浮かべながら、何度もうなずいていた。やや悔いを残してしまうセミファイナルとなってしまったわけだ。
小野生奈は、胸中はともかく、レース後は竹井奈美に声をかけられて爽快な笑みを見せた。バック６番手ながら、４着にまでアップしたのは上出来だろう。今日の経験を、さらに上を目指すという意味において、大きな糧にするはずである。今節は本当にナイスファイトだったぞ！
11Ｒ ニュージェネワンツー
１着：茅原悠紀、２着：桐生順平。大阪ワンツーの次はニュージェネワンツーだ。
これを完成させてしまったのは、山崎智也だ。茅原の差しを許し、２周１マークでは桐生にツケマイ逆転を喫してしまった。これは悔しい。智也は負けた時ほどよく笑う。もう何度も書いてきたことで、やはり今日も毒島誠の出迎えに笑顔を見せた。これが智也の、周囲に向ける悔しさの表現。敗戦を軽く受け止めているわけではない。１号艇で敗れて、なにも感じていないということではない。事実、智也はヘルメットを一時置くときに、露骨に不機嫌な表情になった。５日目の今日はボート洗浄が行なわれるが、それに参加するために智也は、ヘルメットを洗い場の近くに置いた。そのときに、表情が変化したのだ。今夜の智也は、時折レースを思い起こして、悔いに耐える時間を過ごすのかもしれない。
勝った茅原、逆転２着の桐生は、もちろん明るい表情をレース後に見せている。勝った茅原はもちろん、２着といっても智也をきれいに沈めた桐生も、会心の優出のはずだ。会見では、茅原は「獲りたいです。優勝したいです」と力強く言った。桐生も「ＳＧ連覇というより、ひとつのＳＧを獲りたいです」と語った。明日はひたすらに勝ちに行くレースを見せてくれるだろう。松井が６号艇になり、前付けもありそうなメンバー構成。これに対して二人がどんな戦略で臨むのかについても、非常に楽しみだ。茅原は「内枠であれば何コースでもいい」と言っているので、枠主張だけでなく、柔軟な対応もあるかも。
12Ｒ 90期台ワンツー（←かなり強引）
大阪ワンツー、ニュージェネワンツー、と来て、12Ｒのワンツーで期待されたのは言うまでもなく、兄弟ワンツーである。そりゃあ、１号艇の石野貴之は超抜で、かなり高いハードルではあるが、この流れで来たのだから、ひょっとして乗っかっちゃうんじゃないか、などと一人想像してじんわりと興奮していた。
１着：石野貴之、２着：篠崎元志。そうそううまくはいかないか。ふたりの共通点はとりあえず90期、96期の90期台ということで、相当に強引だが、見出しに使って統一感を出しました。キツい？
それはともかく、石野はもう、自信満々の優勝戦ということになるだろう。「レースは何があるかわからないので、気を引き締めていく」と会見で語ったが、ならばそっち方面の死角もないということではないか。今日は様子を見ながらスタートして、外から誰も来なかったのでそのまま行ったそうだ。スタートタイミングはコンマ19。実際は、５番手スタートなのだが、そこからグイグイ出ていったことが「外から誰も来ない」という感覚になったのだろう。会見で明日のスタート目標、設定を問われて「ない」と答えた。つまり明日も、外の様子を見ながらのスタートになる。ようするに、それで充分なのだ。踏み込む必要はまったくない。ほぼ同体でありさえすれば、スリット後に出ていく足ということ。こっち方面でも死角はないのである。
逆に、元志は「優勝戦に入れば劣勢かもしれない。正直、自力で攻められる足はないです」と、機力では白旗状態だ。実際、今節の元志を見ていて、足がいいとは思えなかった。それで優出したことが、むしろたいしたものなのだ。福岡の現トップ４がすべて優出したなかでは、厳しいのは間違いない。
それでも、地元で唯一の優出者となった元志は、まったく諦めていない。地元を背負って、地元のファンのためにも、全力で勝ち筋を探す。会見の最後で「弟の分までいいレースをしたいです」と語ったように、それが多少のリップサービスだったとしても、絶対にその思いも胸に、それをパワーにもして、元志は勝負をかけるだろう。
篠崎仁志は残念！ ２番手争いには加わったが、優出切符は手に入らなかった。そりゃもう、悔しくて当然。控室の途上には報道陣とカメラマンが大量に待ち構えているということもあってか、顔を歪めたりうなだれたりということはなかったが、胸の奥底には地団駄踏みたいほどの悔しさがふつふつと沸いていただろう。「兄ちゃんは優出できたからいいや」なんて気持ちは、宿舎に帰った今はともかく、レース直後は皆無のはずだ。仁志の今年の野望はもちろんＳＧ制覇。今日の敗戦でその思いはさらに強まったに違いない。
優勝戦は偶然にも大阪vsニュージェネの構図になった。明日は大阪ワンツー、ニュージェネワンツー、どっちだ!?（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
