BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――予選終盤の52人

 4日目後半のレースは、誰もが得点率の状況を気にかけている。それにまつわる会話もあちこちで聞こえたりする。まあ、それ以外の会話ももちろんあるのだが……。

 

●今村豊 10R発走直前くらいに競技棟前でバッタリ。ミスター、別に誰に言うでもなく、ぼそっとつぶやいた。「寒っ!」。ハァッ!? 思わず立ち止まって声をあげてしまった。だって、僕、めちゃめちゃ暑いんですけど! 今日のミスター、51kg。私、約2倍。ミスターが自分の体重と同じ重さの服を着込んでいるようなものだから、そりゃ暑いか。って、いやいや、暑いものは暑いです。ただ、たしかに終盤の時間帯は気温が下がってはいて、ギリギリの体重に節制しているミスターとしては、寒く感じたかも。1便でお帰りでした。

●田頭実 10R、3コースから握って攻めようとしたが、2コースからジカまくりの山崎智也とかぶってしまった。ピットに戻ると、やはり苦笑い。もちろん智也のまくりは想定にあったようで、峰竜太も「8割方、握ってきますからね」と笑っていた。名人はどれだけ年を重ねようと、自分で攻めたい!

●今垣光太郎 勝負駆けに失敗。少し脱力感があるようだった。予選後半の6着2本、痛かった……。

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●松井繁 4着に終わった予選最終走。ピットには淡々と戻ってきている。それが王者流でもあって、敗れても忸怩たる内心を表に出さない人なのである。

●服部幸男 やっぱり居残りペラ調整。準優進出を決めて、明日への準備という意味合いももちろんあるだろう。

●市川哲也 1便でお帰りでした。

●田中信一郎 1便でお帰りでした。出発を待つ間、中野次郎とにこやかに話し込んでいた。田中と東京支部の絡みは意外とよく見かけるのである。

●山下和彦 1便でお帰りでした。

●前本泰和 1便でお帰りでした。6コース1着で勝負駆け成功、さすがに気分は良かっただろう。

●濱野谷憲吾 1便でお帰りでした。得点率は6・00。予選落ちの可能性があると思い込んでいたようで、JLCの展望番組インタビューに「もし落ちてボツになってもいいから」と自分から収録を希望してきたそうだ。6・00なら、問題なく予選突破です!

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●山崎智也 2コースまくり不発で、レース後は落胆した表情を見せてもいた。まくり切れていたら準優1号艇だっただけに、その分の無念もあったか。敗れた悔恨を笑いで隠す山崎智也、しかし最近はこうしてストレートな悔恨の表情を見ることも多くなったような気がする。

●石渡鉄兵 前半1着で、12Rに望みをつないだ。もちろん断固たる決意で全力を尽くす。調整にも余念がなく、闘志はたしかに伝わってきたものだ。結果は残念。しかし、勝負駆けらしい戦いを見せてくれた一人と言える。

●辻栄蔵 レース後は淡々と戻ってきて、淡々と作業に移った。準優1号艇だが、その高揚もなく。ペラを点検して、わりと早く引き上げた。1便でお帰りでした。山口剛以外の広島勢は1便でお帰りしましたね。

●徳増秀樹 今日も1便でお帰り。ただし10R発売中までペラ調整。辻とは違う意味でのギリペラだったのだ。

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●原田幸哉 11Rで勝負駆け成功の1着! 5号艇から篠崎仁志を破ったものだけに価値は大きかった。ピットに戻ってくると笑顔が弾ける。エンジン吊りに加わった峰竜太らと少し高揚した感じで話し込んでいた。一方で、破った仁志を気遣う場面も。2着でもOKだった勝負駆けだが、1着で一気に4号艇!

●白井英治 原田とは対照的に11Rは勝負駆け失敗。ピットに戻ったときのヘルメットの奥の目が悔しさにあふれていた。ヘルメットを脱ぐと、エンジン吊りに参加した寺田祥、森高一真に反省の弁を述べる。その姿もまた、悔しさにまみれていた。6着では望みがないことはわかっていただろうから、勝負駆けうんぬんよりも大敗への悔恨が大きかったかもしれない。

●重成一人 石野貴之の野望を打ち砕く差し技で予選突破。地元での準優行き、それも1着での予選締めは気分がいいに決まっている。差したときの状況を、遠藤エミに対して身振り手振りで大袈裟に伝え、大笑いしていた。うーん、見ているこちらも嬉しくなってしまうほどの高揚感だ。森高一真が予選落ちしてしまっただけに、明日はなお気合が入るだろう。

●池田浩二 10R5着で、疲労感をにじませるレース後。結果的には得点率48位は圧倒的に不本意だろうが、苦境を脱するべく調整に励んだ姿を僕は見ている。今年のSG、どうにもモーター運が悪く、苦しむ池田浩二ばかりを見てきた気がする。この苦労が、この夏以降実を結ぶことを祈ろう。

●寺田祥 寺田も今節は苦しんだ。池田と同様、次のSGで努力が報われんことを!

●赤岩善生 前半で不良航法をとられ、これが2回目であることから賞典除外に。12Rは一気に消化試合チックなものとなってしまった。しかし、状況にかかわらず全力投球が赤岩の信条。しっかりと調整をして、気合も入れ直してレースに臨んでいる。結果は2着。

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●坪井康晴 10R2着で、その時点での18位となった。もっともそわそわするポジションで、予選の最終盤を見届けなければならなくなったわけだ。しかし坪井は落ち着いて、ボートを磨き上げていた。もしかして、気を紛らすための作業だった……といったら考えすぎだろうか。

●菊地孝平 終盤の時間帯、エンジン吊りにはハチマキを巻いて登場。いつだったか、やはり夏場のSGで、選手が次々とハチマキ姿でピットにあらわれたことがあった。今日は菊地が2人目。もしかして、明日からハチマキが流行るのだろうか?

●秋山直之 12R出走で、夕暮れの時間帯には黄昏を背に点検作業をする姿があった。その後は、近くのベンチにひとり腰を下ろし、水面を見つめていた。実に絵になる光景。秋山はこうして、戦士としての自分を作り上げていく。

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●中島孝平 中島商店の登録商標「孝平」。なんか日本酒っぽいぞ。中島のハンドル捌きのように、ウマそうですな。平成11年創業ということは、中島もデビュー18年になるわけか。新人王を獲ったことが懐かしい。

●笠原亮 10R後、坪井先輩の順位を気にしていた。18位であり、おそらく12Rの石渡鉄兵次第となるであろうことを伝える。その12Rに笠原は出走。「僕がやっつけたら、坪井さんは残るんですね」と笑う。もちろん石渡をターゲットにして走ったわけではないし、前半に続く連勝を狙ってレースに臨んでいるのだが、つまり選手たちは仲間の得点率や順位についても常に気にかけているということである。笠原選手、坪井先輩は残りましたよ!

●井口佳典 予選突破を決めても、レース後のルーティンは何も変わらなかった。ボートを磨き、プロペラを叩く。状況でブレることはありえないのである。なお、10R発売中まで試運転をしていた。

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●森高一真 菊地の項で書いたハチマキ。やり始めたのはこの男である。何年か前のSGで突如ブームになったときも、始めたのはこの男だった。よっ、ミスターハチマキ!

●丸岡正典 前半の2着に続いて後半も3着にまとめ、見事に予選突破だ。まあ、レース後は淡々としたものだったが。1便でお帰りでした。

●吉田俊彦 10R、いったんは2着の目もあっただけに、4着のレース後はさすがに悔しそうに顔を歪めていた。その後はペラ調整。予選が終わっても、パワーアップへの模索は続く。

●萩原秀人 11Rは3コースから渾身のまくり差しを放ったが、届かずに後退。結果、予選落ちとなってしまった。わりとサバサバしているふうもあったが、内心はいかばかりか。

●中野次郎 田中の項でも書いたとおり、1便でお帰りでした。

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●石野貴之 うーん、残念! SG3連続優勝、同一SG3連覇の大偉業が潰えてしまった。ピットに戻り、エンジン吊りをそそくさと済ませて、誰よりも早く控室へと消えていった。大阪の先輩たちが気遣っているようにも見えた。偉業達成を逃したことにせよ、予選落ちを喫したことにせよ、何であれ悔しさを露骨に表に出すようなところはなかった。サバサバしていたとは思わないが、表情や仕草などは特別変わらなかった。僕はそれを、変わらないように見せていたと思ったりもするわけだが、石野に尋ねても肯定はしないだろう。自分は目の前の仕事をしっかりやり切るだけ、周りが勝手に騒ごうとも……というのが石野のスタンスだが、しかし周囲の期待や注目はひしひしと感じていたはずで、そんななかで己を貫いて戦うというのは難儀な部分もあったに違いない。残念だが、石野の戦いぶりに拍手を送りたい。もちろん、明日も変わらず調整作業を進め、全力でレースに臨むだろう。

●久田敏之 残念ながら予選落ち。終盤の時間帯は調整などでも大きな動きはなく。

●山口剛 10R逃げ切りで予選突破。ピットに戻ってくると、ヘルメットの奥の目が嬉しそうに細くなっていた。会心!

●毒島誠 プロペラ調整からゲージ擦り。今日は居残って作業を続けている。

●渡辺浩司 予選突破の目がないなかでの12R出走、しかし渡辺はけっこうギリギリまでペラ調整に励んでいた。どんな状況であれ、全力投球なのだ。

●長田頼宗 終盤の時間帯には特に大きな動きはなかった。

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●岡崎恭裕 勝負駆けの1号艇、ところが敗れたうえに不良航法までとられてしまった。さぞ気落ちしているだろう……と思ったが、レース後は粛々とゲージ擦りに励んでおり、選手仲間との絡みでも表情に暗さはなかった。

●岡村仁 ペラ室で姿を見かけた時間帯もあったが、終盤になってくると特に動きは見せなかった。

●峰竜太 ゲージ擦り。あれこれ書こうとするととんでもなく長くなりそうなので自粛するが、一言、今までにない雰囲気の峰竜太になっていると思う。

●平本真之 9R終了時点で、平本は17位だった。井口同様、10R発売中まで試運転をしていた平本に、「頼む!」と祈るような表情を見せると、平本もお願い!とばかりに顔に力を込めた。しかし待つ身はつらく、また望みどおりにはいかないもの。平本、次点でありました。残念!

●新田雄史 ペラ室でも整備室でも姿を見ないという時間帯があって、なぜか慌てた。その後、整備室で格納作業をしている姿が合った。なぜか安心。

●松本晶恵 今日、いちばん最後まで試運転をしていたのが松本晶恵だ。予選は終わったが、戦いは終わっていない。もちろん、松本晶恵のSGロードもまだまだこれからだ。努力をやめることなど、できるはずがないのである。

●茅原悠紀 ゲージ擦り。ということで、ゲージ擦りテーブルにいたのは毒島、岡崎、峰、茅原。ゲージ擦りテーブルをニュージェネが占領!

●桐生順平 12R、意地の逃げ切り! これで流れが変わってくれれば!

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●篠崎仁志 11R、1号艇2着。逃げ切ればまさに王道Vロードに乗っかるところだったが、さすがに苦笑いが浮かんでいた。原田幸哉に声をかけられても苦笑いが浮かぶ。結果として、2着でも予選1位である。おそらくそれは把握していただろう。しかし、インで敗れたことに対して悔しさはつのるし、そのときは予選順位のことなど気になっていないだろう。あるとするなら、「1号艇2着で1位はカッコ悪い」くらいのことか。予選トップ争いもまた、勝負駆けである。だが、それよりも敗戦自体が悔しいシチュエーションもある。さあ、これが準優、優勝戦にどんな影響を及ぼすだろうか。仁志の戦いぶりこそ、明日明後日のハイライトであるのは間違いない。

●遠藤エミ 6号艇3着で準優2号艇をもぎ取ったのは立派である! SG予選突破は初めてではないが、この突破の仕方は価値があるだろう。レース後はゴキゲンな笑顔も見えていたぞ。

●小野生奈 こちらも予選突破で、女子2人が予選突破とはなかなかの快挙であろう。遠藤エミと長く話し込む場面もあって、明日はお互いに刺激を与え合って、3人目の女子優出という快挙に挑む。4号艇だから、チャンスは大アリ!

●松田大志郎 SG4節目にして、水神祭と初の予選突破をかなえた。遅くまでペラ調整をする姿もあって、浮かれた様子はひとつもなし。この人が浮かれている姿ってのはちょっと想像がつかなかったりするのだけれど。

●中田竜太 2着勝負の9R、6着大敗。レース後は、それはそれは大きな大きな苦笑いだった。もう笑うしかない、って感じか。

●竹井奈美 本体整備! 予選を終えたところで、本体を割ったのだ。整備士さんたちが心配そうに見守るなか、竹井は本体に手をつけた。これ、SGでは時折見かけるものである。予選落ちした選手が、一般戦で一矢報いんと、思い切った整備に出るわけだ。このクラスは、一般戦だからといって気落ちなどしないし、むしろ予選落ちの屈辱を晴らさんとパワーアップを目指すわけだ。竹井も立派なSG戦士。明日は一撃に期待しよう。

●岩瀬裕亮 水神祭がかなわなかったのは残念。あと2日、渾身のレースを!

 

 明日明後日のピット記事は、姫園淀仁にバトンタッチ。この形式もここまでになると思います。3日間、お付き合いいただきありがとうございました。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)