BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋レディチャンTOPICS 3日目

風に吹かれて……

 

 風は恐ろしい。7m前後の強い向かい風が吹き荒れる芦屋水面(特に前半の4~6Rあたりが猛烈だった)を見て、何度もそう痛感した1日だった。とにかくスリットから行き足のいい選手、スタートを全速で張りこんだ選手が伸びるわ伸びるわ。

 

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 まず1Rでは2コース五反田忍が凄まじい行き足でインの山下友貴をひとまくり、さらに4カドからスタートを張りこんだ竹井奈美が伸びなりのまくり差しで突き抜けた。3Rは4カド細川裕子がバイオレントな伸び足で内3艇を軽々と呑み込んだ。4Rは4カド香川素子のスタート勝負に連動した堀之内紀代子がズッポリのまくり差し。5Rは4カド田口節子が猛烈な絞めまくりで圧勝。6Rも4カド谷川里江が気合の絞めまくりでレースを作り、佐々木裕美に逆転されたものの300倍の大穴を演出した。

 

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「追い風ではダッシュが利かず、強い向かい風が吹けばダッシュ勢が伸びる」はボート界の常識だが、近年の記念戦線でこれほど4カドが大暴れ&イン受難が続いたケースは珍しい。前半戦で舟券に絡んだイン選手は、2Rの垣内清美(2着)ただひとりだけだった。すべて風のなせる業とは思わないが、風がなければこれほど極端な結果は生じなかっただろう。

 

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 やや風が穏やかになった後半も、イン受難は続く。7Rでは3コースの角ひとみが「何かが乗り移ったとしか思えない(笑)」絶品のまくり差しで、インの樋口由加里を出し抜いた。8Rは6号艇で超人気薄の高橋淳美が4コースに潜り込み、ゼロ台のスタートから展開を突いてまくり差し。9Rは3コース田口の絞めまくりに連動した大瀧明日香が豪快なマーク差しを突き刺した。10Rではじめて海野ゆかりが逃げきったが、今日の水面で1号艇を与えられた選手たちには「お疲れさまでした!」と労いの言葉を贈るしかない。

 さてさて、これほどレース全体に多大な影響を与える風が、明日以降はどうなるか。九州にゆっくりと台風が近づいているだけに、あるいは今日以上の荒天になる可能性も否めないな。「強い追い風なら2コース差し、強い向かい風なら今日のような外コース狙い」という“定石”を肝に銘じつつ、臨機応変に舟券攻略を組み立てたい。

 

後生、畏るべし!

 

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 向かい風とともに激しい空中戦が繰り広げられた3日目、とりわけ熾烈な攻防があちこちで勃発したのが6Rだった。火付け役は、先にも書いた谷川里江。初日にフライングを切った里江姐さんだが、あっさり降りるようなヤワな性格ではない。今日も4カドからコンマ08まで踏み込んだ。他艇もコンマ10前後でスリットほぼ同体、そこから伸びなりに絞める絞める! 昨日の山川美由紀といい今日の谷川といい、何年たっても若々しいお転婆娘なのである(笑)。

 

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 で、1マークからがまた凄い。カド受けの川野芽唯は谷川まくりを浴びてずり下がったが、他の面々は巧みに立ち回ってバック直線では5艇がほぼ横一線。向こう岸から観戦する人がいたとしたら、バック水面でレースが始まったように思えただろう。しかも、単なる横一線ではなく、最内で遠藤エミと中村桃佳が艇をぶつけて激しくやり合っている。そのまま双方相譲らず2マークを旋回、大競りで流れている間に佐々木裕美がズッポリ差し抜けた。さらにレースを作った谷川が巧みな旋回で2番手を取りきり、3着争いはまたしても遠藤と中村のマッチアップ。遠藤がわずかな差で常にリードを保っていたが、あの手この手で猛追する中村が最終ターンマークで大逆転の差しをねじ込んだ。うーん、3周丸ごと天下のエミに“喧嘩”を吹っ掛け、ついには負かしてしまうとは……なんという気の強さ、そしてなんと素晴らしいレースセンス!! この大舞台で現在の女子の第一人者に競り勝った経験は、すぐに大きな自信とともに血肉へと昇華されるだろう。後生畏るべし、とは今日の桃佳にぴったりの言葉だと思う。

 

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 展開の利もあったとはいえ、大乱戦を制した佐々木裕美は昨日から怒涛の3連勝! パワーは中堅上位あたりだと思うのだが、強い気持ちをそのまま水面に投影するような凛々しいレースっぷりが目を引く。好不調の波はやや激しいものの、ひとたびリズムに乗ったら手の付けられないほど強い。私は勝手にそんなイメージも抱いている。とにかく6111という派手な成績も含め、今節の台風の目であることは間違いなさそうだ。

 

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 そしてそして、今日の4Rの1マークももつれにもつれたが……6号艇6コースのあっきーは、その乱戦を横目にブイ際をシャープに旋回。あっという間に2番手を取りきっていた。昨日書いたとおりの「3~6号艇で1232着」という理想的なシナリオができかかったし、5=6の舟券を買っていた私も快哉を叫んだものだが、2周1マークで鋭く切り返した香川素子を避けきれずに接触。その間に平高奈菜に抜かれ、香川にも逆転されてしまった。あの場面は難しい局面ではあったものの、強い向かい風も踏まえて全速の抱きマイで交わすべきだったと思う。ほんの一瞬だけ迷ってから握ったのが、命取りになった気がするな。実になんとも残念だ。

 

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 着順をふたつ落として4着、目下の予選ランクも12位に留まったあっきー。この4点の差が今後の明暗を分けるかもしれないが、明日は好枠の1・2号艇が待っている。ここで20点を取りきることができれば、微かながら大逆転の予選トップの可能性も残されている。まずは午後イチ、「1年1組」での豪快なイン逃げに期待したい。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)

 

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