BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋レディチャン 準優ダイジェスト

悶絶ハイパワー

 

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10R

①細川裕子(愛知) 29

②田口節子(岡山) 12

③長嶋万記(静岡) 27

④松本晶恵(群馬) 11

⑤樋口由加里(岡山)15

⑥喜井つかさ(岡山)16

 

 やはり、強いホーム向かい風の影響なのか。スリット隊形がバラバラになってしまった! 激しく遅れたのはインの細川と3コースの長嶋だ。他艇に遅れること、ぴったり1艇身。強い向かい風は、起こしからの加速がつきにくいスロー勢には難敵なのだ。そんなスロー勢でただひとり鋭発に成功した2コース田口が、一気にインの細川を叩いた。さらに、長嶋を飛び超えたダッシュ3艇が一斉に襲い掛かる。その中から、もっともコースが有利なあっきーがしっかりと田口の外に貼りついて、狙いすましたまくり差しハンドルを突き刺した。なんとなんと、先頭に立ってしまうとは!

 

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 バックでは1着・あっきー&2着・節っちゃんで早々に大勢が決したかと思われたのだが、そこに割って入ったのがまさかまさかの裕子りん!? 田口に叩き潰されたはずの細川が、ゾンビのように復活していた。そして2マーク、田口が握って流れた瞬間にくるりと小回りで大逆転。2番手を取りきった細川は田口との差をぐんぐん広げ、さらに先頭のあっきーとの差をジリジリ詰めてゆく。なんとか猛追を凌いでゴールに辿り着いたあっきーだったが、細川の鬼足ばかりが網膜に焼きつくレースではあった。

 

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 1着・松本、2着・細川。

 あっきー49号機のパワーは現状、上位レベル。より正確に鑑定するなら「全部の足がチョイチョイ強めのバランス型で、トータルで考えると上位級」という感じか。今日はスタートと展開の利でなんとか勝ちきったが、パンチ力のなさが随所に感じられた。初下ろしの節では上野真之介が節イチ級のレース足(出口から押して行くパワー)を誇っていたので、そのあたりは明日の調整で強化できるかも知れない。

 

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 そして、今日の細川62号機だ。素晴らしい! 前節まではほとんど目立たないモーターだったから、よほどペラ調整が当たっているのだろう。伸び足が岸17号機に匹敵するほどで、他の部分も力強い。4カドにぴったりのパワーでもあり、スタートで後手を踏まない限り(明日もそれが最大の課題か)優勝戦では最大の脅威になり得ると思う。

 

百戦錬磨ターン

 

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11R

①日高逸子(福岡)08

②五反田忍(大阪)18

③中谷朋子(兵庫)15

④遠藤エミ(滋賀)10

⑤今井美亜(福井)14

⑥寺田千恵(岡山)17

 

 激闘を制したのは、百戦錬磨の経験則だったか。まずはスタート。「強い向かい風はスロー勢の難敵」というセオリーを蹴散らすように、インの日高がしっかり踏み込んだ。コンマ08のトップタイミング。4カドから昨日同様に遠藤が絞め込んだが、中谷にブロックされてインまでは届かない。スリットから大きなアドバンテージを得た逸子ママが、くるり回って先頭に躍り出た……と思いきや!?

 

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 驚いたのは五反田のレース足だ。強い強いとは思っていたが、想像以上だった。やや凹んだスリットから3コース中谷のまくり差しを浴びそうになったが、ぐんぐん伸び返してこれをブロック。その作用反作用を生かすようにして、ブイ差しから伸びる伸びる。バック中間では日高の内フトコロに舳先を入れきっていた。細川も凄いが五反田も凄まじい。

 ただ……2マークの戦法を誤った。バック水面は強烈な追い風、主導権を握った五反田は日高を徹底ブロックしてから落として回るべきだった、と思う。今日の五反田は内からスルスル伸びてきた遠藤の姿を認めると、日高を捨てて全速で遠藤を叩きに行った。風がなければ正解だったかもしれない。まくり屋の五反田らしいキップのいい攻撃でもあった。が、猛烈な追い風がその攻撃を押し戻す。前に進まず、真横に流れた。10Rの田口もこのレースの五反田も、風に泣かされた。

 五反田が流れる間に日高がしっかり減速して冷徹な差しハンドルを入れ、同時に遠藤をも捌ききっていた。身体が勝手に動いたのだろうが、五反田と遠藤を出し抜くのに「ぴったり」のターンだった。握りすぎず落としすぎず、外すぎず内すぎず、これぞ百戦錬磨の熟女ターン! その後も遠藤の追撃を的確なターンで凌ぎきり、55歳のグレートマザーが優勝戦のキップを手に入れた。

 

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 1着・日高、2着・遠藤。

 日高16号機は初日から上位レベル。もっと言うなら、初下ろしから2節目に乗った小野勇作が強烈なレース足で優出するなど、その足色は随所に目立っていた。ただ、日によって足色がいささか極端に変わるのがちょっと気になる。伸び型で回り足がやや物足りなかったり、逆にサイドが掛かる代わりに伸びが一息だったり……昨日あたりからは全部の足が強めのバランス型で安定感が増したように思うのだが、逆にパンチ力が半減したような気もするし。気温や気圧などに左右されやすいパワーなのかもしれない。台風(低気圧)が近づく明日はどんなパワーになるのか、それをどう調整するのか、ここでも百戦錬磨マザーの腕の見せ所と言えるだろう。

 

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 遠藤50号機は初日から出足主体に中堅上位はあると思っていたし、昨日からはっきりと伸びがきてトータル上位に肉薄するパワーになったと思う。その天性のターンスピードを加味すれば6コースからでも勝ち負けは可能だ。ただ、今日も4カドから攻めきれなかったように、優勝戦に入ると6コースから自力で勝ちきれるほどの足ではない。ヘビー級のパンチ力を誇る細川&岸のツープラトン攻撃?にどう連動できるか、が勝敗の分岐点になりそうだ。

 

強いっ!

 

12R 並び順

①小野生奈(福岡) 09

⑤山川美由紀(香川)11

②岸 恵子(徳島) 13

③佐々木裕美(山口)15

④川野芽唯(福岡) 19

⑥守屋美穂(岡山) 18

 

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 進入からパワー相場から、もっとも波乱が起こりやすいレースと考えていたのだが……。6艇がスリットを通過するまで、そんなヒリヒリとした怪しい予感がつきまとっていた。「5コースでは勝負にならない」と見た山川が動いて、進入は内2艇だけが深い15/2//346。しかも、3カドにも近いポジションを得たのは岸17号機。内2艇にとっては背中が凍り付くような進入隊形だったはずだ。

 が、小野・山川はその脅威を気合のスタート力で緩和した。ともに10前後で、ほぼ全速だったと思う。わずかに遅れてスリットを通過した岸の行き足も力強かったが、まくりきるには至らない。インの生奈が強めに握って完璧にブロックし、そのまま優勝戦1号艇への花道を突き進んだ。しっかりと風を考慮に入れた、素晴らしいインモンキーだった。スタートといいこのターンといい、今日の生奈を表現するなら「強い」の一語で十分だろう。

 

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 2着争いは熾烈を極めたが、最初から最後までアタマひとつほどの主導権を握り続けたのは岸17号機だった。佐々木の舳先を振りきり、川野の度重なる強ツケマイを受け止め、僅差のアドバンテージを守り続けた。岸の粘り強い走りと17号機の超抜パワーがシンクロした2着と言えるだろう。うん、私が穴パワーとして密かに狙い続けていた川野21号機も、期待に応える走りを見せてくれた。特に握ってはならない2マークをすべて全速で握り続け、岸との差を詰め、最後に守屋を抜き去ったターンは天晴れの一語だ。もちろん、それが芽唯ちゃんの身体能力の成せる業と自覚しつつも、「負けて悔いなし川野21号機」と納得できるレース内容だった。スリット隊形がもう少し乱れていたら、頭まで突き抜けていたはずだと勝手に思っている。

 

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 1着・小野、2着・岸。

 生奈19号機のパワーは「伸びがトップの一角で、他の足は中堅上位レベル」が私の勝手な見立てで、その評価は2日目あたりからほとんど変わっていない。インからスリット同体以上なら、今日のようにしっかり伸び返して十分に逃げきれるパワー。ただ、スタートで後手を踏んだり、1マークである程度のターンミスを犯したら、一撃でやられる危険も秘めていると思っている。まあ、今日のレースを見る限り、どちらのアヤもなさそうなのだが。あとはスリット隊形で自分が踏み込んでも、2・3コースが凹んだとき、だな。4・5号艇のパンチ力が生きる展開になったら、大波乱もありえるだろう。その鍵を握るのは、明日の風でもある。

 

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 岸17号機は、多くを語る必要もないだろう。初日から行き足~伸びを主体に抜群レベルで、同時にターン回りでも器用な一面も持っている。しかも、ピット離れも出るときは節イチ級に出るし。つまり、明日は細川のまくりに連動する展開あり、ピット離れを生かしてセンター筋から自力で攻める可能性もあり、と実に臨機応変に頭を狙えるパワーだとお伝えしておく。

 

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 さてさて、1999年から続いている「西暦奇数年はインコースが勝てない」という法則が、今年の大本命・生奈にも適用されてしまうのか。だとするなら、誰が大穴を開けるのか。はたまた生奈がそんなオカルトをインモンキーで蹴散らすのか。適材適所に伏兵が配置されただけに、明日のファイナルは本命党も穴党も胸を躍らせることができるだろう。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)