BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――苦闘しながらも!

 

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 11Rで岩瀬裕亮が逃げ切り、愛知支部にやっと活気が生まれた。

「愛知初だぞ!」

 ボートリフトで岩瀬を出迎えた磯部誠が、凱旋したヒーローに向かってそう叫ぶ。他の愛知勢も嬉しそうに微笑んでいた。これが待望の地元勢1着。そして、1号艇での連敗も最後の砦でストップをかけられた。反撃はここからだ! 予選後半戦、一気にテンションを上げて突っ走ってもらいたい。

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 佐藤博亮も、6号艇6コースから2着。見事なまくり差しでシンガリ続きを免れた。それでも、足色的には決して満足はいっておらず、その後も必死の調整は続く。少しはホッとした? そう尋ねると、佐藤は少し渋い顔をしながらも「そうですね」と言った。その顔つきがいまだ不満あり、の証しであろうが、少しはメドが立ってきたのも確かなようだ。もちろん2着で納得しているわけではなく、地元ビッグでの勝利を心から欲している。明日も調整作業にレースに、奮闘することだろう。

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 ホッとした、といえば、ディフェンディングチャンプの松田大志郎も同じなのではないか。3Rで5コースからのまくり差し一閃。鮮やかな勝利であった。というわけで大志郎に話しかけに行ったのだが、大志郎は少しもホッとなどしていないのであった。「今日は足じゃなくて、ツキですよ」。つまり展開が向いただけ、と強調する。展開が向いたって勝てるとは限らないのがボートレースだが、しかし明日からのことを考えたら、ホッとしているヒマなどないわけである。今日もとにかく整備に時間を費やし「疲れました」と笑う大志郎。そして「明日もたぶん、忙しいんじゃないですかね」ともう一丁、笑った。前年度覇者の苦闘は、もう少し続きそうだ。

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 終盤の時間帯で忙しそうにしていたのは、まず河野大。本体整備だ。この時間帯に整備室にいたのは、いわゆる整備作業では河野ひとりだった(モーター格納作業をしている選手はいた)。河野は1R1回乗りだったわけだが、レース後は6号艇3着にもまるで納得していない表情を見せていた。たっぷりと試運転や調整をする時間があった今日、河野は1便が出発しても居残って、整備室にこもり続けた(蒲郡の宿舎はピットのすぐ裏にあって、移動は徒歩なのだが、やはり1便はあって、10R終了後に出発する)。まあ、途中で村岡賢人の水神祭に参加しているわけですが(笑)。明日はセンター枠2走。今日の成果を迫力ある走りというかたちで見せつけたいところだ。

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 あと、8Rを逃げ切った山田康二が、その後も試運転とペラ調整を続けた。後半レースで勝った選手がその後に試運転、というのはなかなか珍しいケース。勝ったのにボートを片付けずにふたたび水面に向かったのだから、すなわち足色的には納得していないのである。ピット離れでインを獲れて勝てただけ、というのが山田の自己評価なのだろう。結局、山田がボートをあげたのは12R発売中である。遅くまで試運転をしていたのは、山田と島村隆幸と渡邉優美だった。

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 その試運転組のエンジン吊りに参加しまくっていたのが堀本和也だ。今日の作業は終わったということなのだろうが、控室でのんびりしたりするわけでなく、新兵仕事などもこなしながら、試運転を終えたボートが上がってくると、リフトに走った。同県の島村が遅

くまで走っていたことも関係していただろうが、もちろん島村以外の選手のもとにも走っていた。

 今日の堀本のレースは惜しかった。4カドから思い切ってまくったのだが、2コースの黒井達矢に抵抗されたかたちで突き抜けられなかった。堀本は「これがGⅠの選手の仕上げなんだ」と感服したという。一般戦なら確実に一撃を決めている展開なのに、黒井は2日目にしてスリット後の足を仕上げて追いつき、しかも勝った。堀本はそれを大きな糧となったという意味でポジティブに捉えているようだ。その意気や良し、だ。勝てなかったが、今日のレースはまさに堀本の持ち味発揮、だった。「もっとああいうレース、します!」という言葉が心強かった。

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 さてさて、本日の気になる背中は椎名豊。「ワンチャン狙ってます」。狙っているのはチワワかゴールデンレトリバーか、それとも……のわけがなく、もちろん「ワンチャンス」だ。足色は間違いなく良い椎名だけに、ワンチャンは必ず来るだろう。それを何としてもモノにするのだ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)

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大敗後に先輩と反省会、の図2つ。山田祐也も白神優も悔しそうに顔を歪ませていたが、先輩と語り合うことでそれを消化し、前に進めるものだ。島村隆幸も渡邉和将も、そんな経験をしてきて、今ここにいるのだ。