BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――余裕ある者、忙しい者

 

f:id:boatrace-g-report:20180102123338j:plain

 3日目ともなれば、それなりに仕上がっている選手はもはや、ドタバタと動いたりはしない。岡村慶太が余裕の雰囲気である、といえば、初日2日目を見ている方なら、そりゃそうだろうと思っていただけるだろう。無傷の3連勝で、足も抜群。大きな作業をしていたら逆におかしい。表情も穏やかであり、仮に昨日までのレースを見ずに今日の岡村の様子を見たとしても、「エンジンいいんじゃないの?」と想像したに違いない。

f:id:boatrace-g-report:20180102123353j:plain

 岡村以上に余裕がうかがえるのが前田将太。1Rのエンジン吊りに出てきたときの服装が、部屋着のようなジャージで、作業を始めた様子などまるでない。ボートにはまだモーターも装着されておらず、リラックスしまくっているのだ。今日は10R1回乗りだから、時間的にも余裕があるのは確かだ。夜の時間帯は気温がぐっと下がることが予想されるので、調整はもう少し日が翳ってから、というのも理にかなってはいる。だが、前田の様子はそんなお話とは別次元にあるような気がする。仕上がったと判断すれば、あとはレースに集中する。そんなスタイルを感じるわけである。

f:id:boatrace-g-report:20180102123410j:plain

 一方で、忙しく動かざるをえない選手もいる。代表格は小野生奈か。4Rにはクランクシャフト交換で登場しているが、交換して即レースとはいかないわけで、1R発売中から試運転を続けては、ペラを外して整備室に全力で駆け込む、という姿が見られた。エンジン出てたって、常に全力でピットを駆けまわる小野ではあるが、今節は間違いなく意味合いが違う。今日の2走で大敗すれば終戦を迎えてしまうだけに、まさに背水の陣である。

f:id:boatrace-g-report:20180102123422j:plain

 近江翔吾も忙しそうにしていた。今日は1号艇が回ってきたが、ここがすでに勝負駆けである。取りこぼせば、予選突破の可能性は大きくなるだけに、負けられないイン戦だ。だから、逃げられる足を作り上げるべく、必死の調整が続く。試運転、調整を繰り返しながら、序盤の時間を1秒も無駄にすることなく使っているのだった。

f:id:boatrace-g-report:20180102123433j:plain

 1Rを終えて、塩田北斗が整備室にこもった。塩田はすでに本体整備を行なっており、多少は上向いたものの、劇的に変化したということはなく、1Rは4着。これで準優突破は厳しくなってしまった。しかし、塩田は投げ出すことなく、さらなるパワーアップを求めた。成果が出るかどうかはやってみなくちゃわからないが、努力をやめることはないのである。塩田は4R1回乗りだから、これから夜まで時間をたっぷりと使うことになるのだろう。

f:id:boatrace-g-report:20180102123443j:plain

 さてさて、昨日の6コースからの2着に続き、佐藤博亮は3コースまくり差しで1着! 6着2本を巻き返して、明日につなげる結果を残した。待望の地元プレミアムGⅠ1着だ。しかし佐藤は、歓喜をあらわにはしていない。まだ足的に納得がいかないのか、ここで浮かれている場合ではないと気を引き締めているのか。少なくとも、顔つきに力強さが宿ったのは間違いない。明日の勝負駆けは簡単ではないだろうが、気合はひときわ高まっている。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田){image:706964,medium}}